「この東方アレンジがすごい」を通して思ったこと〜創り手と語り部〜
・初めに
まずは改めまして、「この東方アレンジがすごい2023」に関わったサークル並びに審査員の皆様方、大変お疲れ様でした。
今年はサークルによる自主エントリー制に変わりましたが、エントリー数が200曲近く来ていたということもあり、正直ここまで多くの方が参加すると思っていませんでした。
私もリスナーとして「24/7ライブストリーム」を全曲通しで聴かせていただきましたが、テーマもコンセプトもジャンルも曲調もバラバラ、まさに二次創作の醍醐味を煮詰めたような「東方アレンジ最大級のコンピレーション」を楽しめました。
https://www.youtube.com/live/4Q4RcvZb7yE?si=O5kEBLb6arZ2xpaJ
さて、前置きはこのくらいにして、ここから私がリスナー視点として個人的に今回のイベントを通して思ったことや伝えたいことを長々と書いていこうと思います。
先に言いますが、今回の放送を振り返って「受賞した作品のココがすごい!」とか「受賞しなかったけどこの作品がすごい!」など、特定の作品を取り上げて何かを語るみたいなことをやるつもりはありませんのでご了承ください。
・「すごい」とは?
今回豪華な審査員の方々で、様々な賞に分けて「すごい」東方アレンジを決めたわけですが、
改めて「すごい」ってなんでしょうね?
原曲のメロディーの使い方が斬新ですごい?
作品のテーマが面白くてすごい?
聴くだけで盛り上がりそうだからすごい?
東方アレンジを知らない人にも勧められそうなアレンジだからすごい?
まあ曖昧ですよね。もちろん人によって「すごい」の定義なんて変わるわけです。
逆に言えば、そんな「すごい」という曖昧な基準で決めているからこそ、この企画は成り立っている気がするんです。
そんな抽象的な「すごい」ですが、唯一はっきりといえる「すごい」があります。
・まず世に出せることが凄い
ビートまりおさんも放送の最後あたりで言っていましたが、作品を生み出せるというのは、本当に凄いことです。
だって考えても見てください。
「●●したいな〜」「▲▲やってみたいな〜」と思っても、
実際に完成まで至ったことって、中々ないんじゃないですか?
「やりたいな〜」と思ったけど実際に動こうとする人、そんなにいないです。
動いて様々な困難に直面したけど、それでも挫けず形にした人、そんなにいないです。
つまり「この東方アレンジがすごい!」にエントリーしたという時点で、
「自分のやりたいことを実行に移し、一つの作品を完成させ、さらにそれを様々な人に聞かれるというイベントに自ら申し込んだ」
という盛大な行動をしているわけです。
だからもう舞台に立った時点で優勝しているんですよ。そこに新参古参の差なんてありません。エンディングのクレジットにエントリーした曲が載っているのが証左です。
限られた時間の中、心血注いで作ったアレンジなんですから、もっと自信持ってください。貴方が作ったアレンジは「すごい」んですから。
そうやって自分達が頑張って作ったアレンジを今回の企画で知り、イベントでのスペースや動画のコメント欄で
「エントリーしたあの曲良かったです!」
「あの曲から貴方のサークル(チャンネル)
知りました!」
とか言ってくれる方がもし一人でも増えたら、ちょっと嬉しくないですか?
・あくまでピックアップしているだけに過ぎない
そもそも「この東方アレンジがすごい!」は
東方アレンジにハマり始めた新規の方々や音楽サークルに興味がある方に向けてのイベントだと思っています。
所謂、「最近東方アレンジに興味を持った」とか「今の東方音サーを知りたい」という方々への次なるステップとしての役割だと思っています。
そしてそうやって東方アレンジを知った方にとって次に欲しいのは、「誰かからのオススメ」なんです。
「イヤイヤ、そんなの自分で見つけるものでしょ!」
と思った方、貴方の考えは全然間違いではないです。誰かの情報に流されず、自分で探して好きなものを見つける、それはとても素晴らしいことです。
でも、今の時代のインターネットでは、中々難しいと思います。
十数年前とは比べ物にならない程膨大なコンテンツで溢れ返っていますし、一つのコンテンツをとっても消費が追いつかないレベルですから。
今回エントリーした東方アレンジだけでも全部聴くのは大変です。
そんな時代である今に必要なのは、「誰かからのオススメ」。一人で全部追いかけるのは大変ですし、ある程度ピックアップされたものを紹介しないといけません。(そもそもエントリー制で1曲に絞らせてる時点で「サークルからのオススメの1曲」になっているわけですしね。)
だから「この東方アレンジがすごい!」はただオススメを紹介しているに過ぎないわけです。
だから受賞した方は、今回受賞した曲に負けないくらい「すごい」アレンジをこれからも創り続けて欲しいですし、受賞しなかった方も落ち込む必要はありません。貴方の頑張りを見てる方はしっかりいますので。
だから創り手の皆様は好きなもの好きなようにを作ってください。周りを気にするも、気にしないも皆様の自由です。
↑サークルの皆様はこちらの記事を読んでみることをオススメします。エントリーしたサークル視点で今回のイベントを振り返ってらっしゃるので、共感するところは多いと思います。
・リスナーにしか出来ないこと
ここからがリスナー視点の私が一番伝えたいことです。さて、今回の受賞結果を見てこう思ったリスナーの方いるんじゃないですか?
「なんで自分の好きなこの曲がノミネートされてないの?」
「この曲のすごさが分からないとは、正気かい?」
そう思った方、「語り部」としての素質ありますよ。
だって中々いませんよ。そういう方って。
普通こういう受賞発表見たら「ふーん」で終わりですもの。「なんかよく分からないけどこの人達が凄いって言ってるから凄いんだろう」で終わりです。
でもあなた方はこの結果を受け入れようとはせず
どこかモヤモヤとした感情があるわけです。もしかしたら拗らせて怒りで満ち溢れているのかも。
「意味不明だ!」
「理解不能だ!」
「解釈違いだ!」
↓
「じゃあ私の答えを見せてやる!」
こうやって創作って生まれていくんですよね。
特に、同人誌など作られている方はこういう方はかなりいるイメージあります。その感情で何年やっているサークル、沢山ありますしね。
「誰もやらないから私がやる」その気持ちはとても大事。
あと、こういう純粋な感情から生み出された作品ってめちゃくちゃ「良い」んですよね。
それは周りの目を気にせず、自分だけが抱いている思いを放出出来る、「同人」ならではだから出来る純度の高さが垣間見えるからなんです。
なので、もしこの結果に満足出来ないと思ったそんな貴方には、貴方が導き出した「答え」を見せて欲しいんです。
自分の言葉で紡ぐ唯一無二の「語り部」となってほしい。それは絶対に素晴らしい作品になるから。
やり方はとても簡単。
貴方が思った好きな作品の「すごい」ところを語ることです。
いわゆる「好きな作品のいい所を語れ」という話なんですが、まあそんな単純な話じゃないのも分かります。
「感想なんてどうやって書いたらいいか分からない。」
「作品の魅力を語るのって難しくない?」
そんな方々のためにこんな記事が既にあったりします
音楽を作ったり、絵を描いていたり、プロットを綴ったりする「創り手」でなくとも、その作品の感想や魅力を伝える「語り部」だって立派な「創作者」なんです。
だって作品を通じて生まれた感想だって一つの「作品」なんですから。
だからあなた方も素晴らしい「語り部」としての第一歩、踏み出してみませんか?
貴方の中の「すごい!」をちゃんと「創り手」に伝えてあげてください。SNSでも、即売会のスペースでも動画サイトのコメント欄でも、何でも構いません。
貴方という「偉大な語り部」が紡いだそのメッセージは、創り手にとって、この賞で選ばれることの何倍もの価値があると思いますから。
だからまずは、自分が「すごい!」と思った創り手の皆様に「(今年の)あの曲が好きです!」と言うところから始めてみませんか?
そうやって初めて踏み出すその一歩がとても楽しい非日常の始まりだったりするかもしれませんよ。
(終わり)
追記:
このような企画がすでに始まっているそうです。
リスナーの皆様、貴方が好きな東方アレンジの「すごさ」を伝えるチャンスですよ。
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