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2021.6.16 ただ聴くこと

先日、森へ行きました。だいたい月に一、ニ度森へ行きます。そこで、三日から一週間ほど過ごします。

いつも足を運ぶカフェがあります。そこは、お正月とお盆以外営業しています。庭とテラス席もあって、蜜蜂が巣を作る箱が置いてあります。
カウンターにはいつも、常連さんがいらっしゃいます。

わたしたちは、たまたまそのカフェの本棚から目について手に取った草花の本があり、それを二人で眺めていました。

カウンター席に座ってらした方と、本に載っていた作者の方が「なんか、似てるなぁ」と、なんとなく感じていました。そんなことはすぐに忘れて、本を夢中でみていました。
その方が席を立ち、コツコツと足音を立ててこちらへ近づいてきました。
「そんなにじっくり本をみられると、照れるなぁ!」と笑いながら常連さんは、わたしたちに話しかけて下さいました。
まさか、とは思いましたが、わたしたちがみていた本の作者の方でした。

その方は「料理人のいらない料理っていう本のタイトルにしようと思ったけど、辞めたんだ。料理は、土や虫たちが目に見えないところでしてくれている。人の手はほとんど入れなくてもいい。調理器具も、たくさん必要ない。」と仰っていました。

そして最後に、カフェの店主さんが作者さんから「しあわせは、足元にある」という話をしてもらったという話を聴きました。

ここからは、わたし個人の話になりますが、このカフェにいたとき、わたしの心はザワザワしていました。
「わたしには、なにもない」という感覚が過り、ただ、それを感じていました。

そんなときに、草花の本をパートナーが「これ、あなたが好きそうだから」と、手渡してくれたのでした。
一項ずつ、みていくとじんわり温かくなって、虚無感や焦り、すべてが全部溶けていくようでした。
「しあわせは、足元にある」ということばは、心に沁みて目頭は熱くなりました。


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