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「今日からやる会議」とカメラ台数 P日誌:太田


 どうも!番組プロデューサーの太田です。日記、更新します。僕は制作の経験が長く、ビジネス的視点はほぼないため、今日も制作視点から「今日からやる会議」を解説します。ビジネス的には役立たないかもしれませんが、豆知識としてはめっちゃ役立つ(!?)かもしれません。

 明日の放送は、東京フォーク&スプーンが主題です。デザインばっかりに気を取られていたけど「使い勝手はどうなのか?」を検証する会議を行っています。突然ですがクイズです。

この会議にカメラは何台まわってるでしょうか?

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 ヒントとして…この会議の参加者は、さらば青春の光の2人、カミナリの2人、デザイナーの千原さんと秋山さん、それにテレ東からは太田の合計7人です。

 10秒考えてみてください。

 正解の発表です。まわっているカメラの台数は、8台。
 内訳は、フリー2台、さらば2ショットに1台、カミナリ2ショットに1台、全体を押さえるルーズショットに1台、さらば用ゴープロ1台、カミナリ用ゴープロ1台、千原さん用ゴープロ1台です。「フリー」というのは言葉の通り自由に動くカメラが2台あって、あとは固定カメラです。
「8台も!?めっちゃ多い!」
 と思いましたか?
僕は思います。では、次の質問です。
「カメラの台数が多いことはいいことか?」
 一見、カメラの台数は多いほうが取りこぼしがなくて良く思えますが、僕は、カメラの台数は少ないほうが好きです。
 なぜかといいますと、撮影において一番大切なのは、「フリー」カメラの存在です。このカメラは基本、「人の目線」と同じように動くのが良いとされます。話の流れに沿って、気になる人の顔を撮影し、スプーンの話になったらスプーンのクローズアップを抑える、みたいな感じです。
 ところがカメラの台数が多いと、それぞれのカメラに役割があるので、フリーカメラが「フリー」に動けなくなるのです。例えば、「会話の流れに沿って撮影するなら、ここはさらば青春の光の2ショットだな。けど2ショット用の固定カメラがあるから、あのカメラとかぶらないように別の物を撮影しよう」みたいになってしまうカメラマンがいるからです。
 これをやりだすと臨場感が削がれます。
 たとえば、千原さんが秋山さんに対して挑戦的な一言を言います。「さあ、秋山さんはそれに対してなんて言うのか?」と思った時、千原さんから秋山さんにカメラがパンするのが正しいカメラワークになります。

スクリーンショット 2020-10-06 15.16.55

 もっとわかりやすい例だと、大食い選手権で3人が競っていて、「1人が食べ終わりました!」となった時、3ショットから1ショットにカットで編集するよりは、3ショットからそのままズームインしてほしいわけです。

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 これはいずれも、カメラの動きと人の目線が同じだから、気持ちいいわけです。ところがカメラの台数が増えて、それぞれのカメラに役割があると、そういった動きがしづらくなるのです。なので、むやみやたらにカメラを増やすのは良いことではありません。
 カメラ台数が多いと、仕事はできないけどとりあえず人数はそろえました、みたいな感じになりがちなのです。それよりめっちゃ仕事できるヤツが2人いるほうがよっぽど現場はうまくいく、みたいなこと会社でも多くないですか?
 と、急にビジネス番組っぽいこともいれておきます。

 ただし「今日からやる会議」の現場は、カメラの台数が多くても理屈は成り立ってます。なぜかというと、この番組においては臨場感よりも「誰がしゃべっているか?」が大切になるからです。

 ちなみにこういったバラエティのカメラワークが注目されるきっかけになったのは、八峰テレビという技術会社の元木さんというカメラマンさんだそうです。めっちゃ遠いとこからすごい速さでズームインしたり、右端から左端にものすごい速さでパンしたり、けどピントはバッチリ、みたいなワークは©元木さんだそうです。
 僕は入社5年目の時に、一度だけロケ現場でご一緒したことがあります。めちゃ緊張したけど、偉ぶらないで優しい人でした。

 皆さんもテレビを観ていて、「なんか思ったよりドキドキしないんだよな」とか思ったら、カメラワークに問題があるのかもしれませんよ。
 来週からはまたしっかりビジネスの話に戻ります!

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