心はどこにあると思う?【物語と現実の狭間(1)】
高校から帰る途中のことだった。
とりとめもないことを話すのが楽しくて、その友だちとわたしはふた駅分を小一時間ほどかけて歩くのが習慣になっていた。
不意に雑談が途切れ、少しだけできた間へ滑り込ませるように、
「ねぇ。心はどこにあると思う?」
と訊いてきた友だちの隣を、わたしは自転車を手で引いて歩いていた。
とっさに思い浮かんだのは「ははぁ、なるほどこれは引っかけ問題だね。読んで字のごとく心臓と答えるのが普通なんだろうけど、ものを考えるのは頭だから……て、ことでしょ