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フェルメールか?フェルメールじゃないほうか?上野でジャッジしたい

ブログ『青い日記帳』をいつも読んでいます。

展覧会はもちろん、アート情報をわかりやすく発信されています。

しかも毎日更新。私もnoteを始めて、この「毎日更新」が、どんなにスゴイことか、わかるようになりました。

『青い日記帳』の管理人は Tak(たけ)さんです。

ご自身を「素人」と、ご謙遜されていますが、とてもそうは思えません。

『青い日記帳』を、20年近く続け、他にもアートにかかわる活動をいろいろされています。

2018年には、ご自身の本も出されました。

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長いあいだブログを読ませてもらってるのに、本はまだでしたので読んでみました。

「展覧会に出かけて絵をどのように観たらよいのでしょう?」という多くの方が抱える問題の解決の小さな手助けとなることを目指し執筆した「美術鑑賞超入門書」です。

「小さな手助け」って、ここでもご謙遜されています。

西洋美術7点、日本美術8点を紹介。観に行けるように、日本にある作品に絞られています。

その中で、「観てるようで観てなかったー」と、思わされたことを。

第2章 フェルメールは何がすごいのか?
フェルメール 《聖プラクセディス》(個人蔵、国立西洋美術館に寄託)

フェルメールは、1632年?〜1675年のオランダの画家。

日本では、20年前ごろから知名度が上がり、今では作品が来日すると、必ず話題になります。

今年11月大阪、来年2月東京に、フェルメールがやってきそうです。

そんな大人気のフェルメール。日本にも1点だけあります。

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『聖プラクセディス』 1655年頃  国立西洋美術館 寄託

西洋美術館の常設展示室にあります。2015年から寄託。預かってるんですね。

優しそうな女性が、画面いっぱいに描かれています。

画家、フェルメールって、あのフェルメール!?ってなりました。

よーく見ると、「フェルメール帰属」と書かれていました。

帰属???どういうことでしょう?

フェルメールなの?フェルメールじゃないの?意味がわかりません。

『真珠の耳飾りの少女』や『牛乳を注ぐ女』とは、なんだか違う感じ。

Takさんによると、「帰属」とは「断言できない」ということで、専門家のあいだでも、揉めているらしいです。

違うのは、「画風」ではなく「画題」でした。

『牛乳を注ぐ女』は「風俗画」、『聖プラクセディス』は「宗教画」です。

フェルメールは20代前半は、「宗教画」を描いていたらしい。

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『マリアとマルタの家のキリスト』1654年-55年頃。スコットランド国立美術館(エディンバラ)

この絵、来日してます。『フェルメール展』 2018年東京、2019年大阪。

Takさんは、『聖プラクセディス』を、どう観られたのでしょう?

「帰属」だから、専門家の意見も踏まえつつ、本物かどうかを自分の目でジャッジできる。それをフェルメールの作品でできるんです。なんと贅沢で幸せなことでしょうと。

素通りしていた私とは大違い。

他にも、なぜ日本人はフェルメールが好きなのか?なぜ西洋美術館にあるのか?オマケに、この絵が広末涼子のドラマに登場したことまで。

多くの方に、アートを楽しんでもらいたい気持ちが伝わってきます。

また、暗記する必要はないけれど、『聖書』の内容を知っていると、より深く作品を楽しめますと。

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この絵の『聖プラクセディス』とは、ローマの聖人で、彼女がキリスト教の殉教者を看取っている場面らしいです。

手には十字架と海綿のようなものを持ち、吸い取った殉教者の血を絞って水差しに集めています。って、

ビックリ!そんな絵だったなんて!

後ろ、首を切断された殉教者が倒れています。

反対側には、もうひとり、彼女の姉妹、聖女プデンティアナらしき女性が小さく描かれています。

まったく気づいてませんでした。

絵も怖いけど、もうじゅうぶん観たという、自分の思い込みも恐ろしいです。

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