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つづきのない恋を終わらせよう。

もう会わないことも、会うことも約束せず私たちは、終電で帰った。話しても話しても相手の心がわからなかったのは正直、初めてだったと思う。彼の頭の中は、いつも仕事でいっぱいだった。

「一緒にいて面白いし、デートもしたい。長い時間一緒にいられるとうれしい。けど、付き合えない」。なぜなら、仕事が忙しいから。なぜなら、あなたの恋愛には理想があるから。なぜなら、1-2年は結婚を考えられないから。そういう言い訳を並べられた。

彼がやっていることは不誠実だった。でも、彼は最後まで”無駄に”誠実であろうとした。わたしと向き合っているようでわたしに背を向けている彼のずるさに、彼自身が気づいていない。

「君とは付き合えない。君とは曖昧な関係でいたい」。そう言った方がよっぽど潔くてかっこよかった。

「好きだから。もう会わないなんて考えられないから」。そう、自分でも嘘か本当かわからないことを言ってキスをし、笑顔で彼に手を振った。


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