33で、初めてフラれた。
「仕事が結婚相手で、僕は愛人みたいだ。」そう言われた日、私はフラれた。33歳で初めて好きな人と付き合って、あっという間に彼は私の前からいなくなった。
フラれてから一週間、時間単位で変わる自分の天気模様に絶望したり、無理やり希望を見出したりしながら、荒れ狂う海で必死に船を漕いでいた。でも、前に進めない。何も頭に入ってこない。なにせ初めてまともにフラれたのだから。どうしたらいいか全然わからなかった。これまで何があっても仕事だけはこなしていたのに、何も手につかない。その事実に驚き、自分を見失いそうになった。いや、完全に自分を見失っていた。
朝が来るたび、悲しみの堆積に押し潰されそうだった。受け入れがたいのに受け入れなくてはいけない。それはまるで飲み込めない何かを押し付けられて、無理やり飲み込めと言われているようだった。ちゃんと今、幸せになっている何人かの友人を心から尊敬した。だって、こんな失恋を乗り越えて、それでも自分の幸せを見つけにいったってことでしょう?こんなこと、2、3回繰り返すうちに、身体なんて溶けてなくなりそうだ。私にはとても耐えられない。
一体、自分の何がいけなかったのだろう。フラれた翌日から私は、内省しはじめた。そして、わかったことが一つある。
原因は仕事ではない。本質は、相手を大切にできなかったこと、にある。
「大切にする」というのは、恋愛と友情で意味合いが違う。そのことに私は全然気付いていなかったのだ。恋人として戯れ合っていたときも、ひとりでいた時も。私はずっと仕事に逃げていた。別れようと最後に言われた時、少しだけホッとしたのは、この恋愛をこのままの状態で続けるということに限界を感じていたからだと思う。今は、どうしたらよかったのかが前よりもずっとわかる。不思議だ。5時間もの話し合いは、ずっと平行線だったのに。
これから彼とどう関係していくかは全然わからないけれど、次はめちゃくちゃいい恋愛ができる気がしている。むしろ、うまくいく気しかしない。失敗は、次に向かうためにあるのだから。
相手を信じられないなら、まずは自分から相手を信じてみる。言葉にしない人なら、自分から言葉にしてみる(自分の思いを押し付けるのではなく、相手への思いやりを持って)。恋愛は、ひとりではなく、ふたりでするものなのだから。彼の本当の気持ちは、webに載ってないし、他人も知らない。相手を見つめた先にだけある。そういう超基本の基本がやっとわかったから。ここからもう一度はじめよう、あたらしい毎日を。あたらしい自分といっしょに。
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