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とりこじかけの胎教グルーヴ

モーツァルトを聴かせるといい。英語を聞かせるといい。絵本を読み聞かせるといい。などなど、わが子がお腹にいるうちに教育をする、胎教。

胎教に科学的根拠はないらしいが、それでもダメ元でも取り組む(又は過去に取り組んだ)人はたくさんいるだろう。
科学的根拠なんてなくても、モーツァルトも英語も絵本も、なんとなく良さそうな感じがするし、ダメ元でやってみればいいと思う。

と言いつつ、わが家では特に何もしていないのだが・・・

赤ちゃんは、妊娠3ヶ月頃には外からの情報を得ているらしい。しかし、3ヶ月てまだハムスターにも満たないサイズ(50mm程度)で、手足はなんとなくぽいものがチョビっと生えてるか生えてないかというぐらいだ。
そんな時から、あれもこれも聞かれていたのかと恥ずかしいというか、気まずい。まだ小さいからと、赤ちゃんの能力をあなどってはいけないのだ。

ということなので、なるべく早くに胎教をはじめるのなら3ヶ月からでもいいわけだが、実際の3ヶ月はそれどころではない。

大体の人はその頃に妊娠が発覚して、「どーしよう!」となって、病院行って、役所で母子手帳貰って、つわりもあって、テンヤワンヤで、モーツァルトよりベートーベンな気分だ。
よって、落ち着いた5ヶ月から7ヶ月くらいに胎教をはじめるというのがベタでベターなようだ。

つまり、現在わが家は胎教にちょうどいい時期にさしかかったわけだが、私もゲゲもどうもやる気がない。
やらないといけないことでもないので問題はないのだが、将来、「なんで胎教してくれなかったの?お母さんのバカ!」なんてわが子に言われたらショックだ。
その時にやっときゃよかったと嘆いても遅い。わが子と溝ができてしまわぬよう、今のうちに何かすべきような気もするのだ。

だけど、モーツァルトなんて聴きたくないし、英語なんて聞いていられない。モーツァルトに関しては聴きたくないは言いすぎ(クラシックは詳しくないが好きな方)だが、モーツァルトを聴くなら、電気グルーヴを聴いて踊ってブッ飛んでいたいのだ。

ゲゲも私も、何を隠そう隠す気ないが、電気グルーヴが大好きだ。年末から年始にかけて公開された電気グルーヴのドキュメンタリー映画は、もちろん二人で観に行った。
映画としてはイマイチ以上普通以下という感想を持ったが、やっぱり電気グルーヴはかっこよくて、「やっぱり電気グルーヴかっこいいネ」と二人共興奮した。

電気グルーヴの映画なので、当然と言えば当然、電気グルーヴのライブ映像や音楽がふんだんに使用されひっきりなしに流れていたのだが、ちょっとおもしろいことが起こった。わが子が電気グルーヴに反応を示したのだ。

ポコ(わが子の呼び名。ポコポコ動くから)はその日、私がその大切な存在を忘れるほど、一日中静かに過ごしていた。ゲゲがトントンとちょっかいをかけても素っ気なく、一応トントンとは返すけど、今日はそんな気分じゃないのヨという態度で、あまり動かずだった。

そのポコが、電気グルーヴのライブ映像と音楽で、急に活発になったのだ。それも、ポコポコの域を超えて、ボッコンボッコンと激しい。
石野卓球が放った低音に合わせるかのように私のお腹を鳴らし、ピエール瀧の如く私のお腹で踊るのだ。

ふっじっさん!ふっじっさん!高いぞ高いぞふっじっさん!ふっじっさん!ふっじっさん!高いぞ高いぞふっじっさん!

ボッコボコン!ボッコボコン!高いぞ高いぞボッコボッコン!ボッコボコン!ボッコボコン!高いぞ高いぞボッコボッコン!

映画館に響く電気グルーヴと私のお腹に響くポコのグルーヴで、私の心はフジロックだった。フジロックなんて行ったことないし、そもそも人の多い場所が大の苦手なのでこの先も行くことはないだろうが、多分フジロックだった。

ポコも電気グルーヴが好きらしい。ということがわかって、私たちは大変喜んだ。それからわが家では、以前にも増して電気グルーヴを聴くようになった。

教育上あまり良くなさそう(むしろ悪そう)な電気グルーヴを胎教と呼べるはわからないが、わが家において唯一、胎教に近いことが電気グルーヴだ。

ポコには是非とも篠原ともえのように電グルにかわいがられるようなカラフルな女の子に育って欲しい。そんな願いを込めて、あの曲を聴きながら今夜はおやすみ。

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