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マタニティブルーインザプール

先日、NHKが「産後うつ」についての番組をやっていた。番組によれば、日本の母親の約7割が不安や孤独を感じているのだという。

なんと、7割とは・・・多いなぁ・・・てことは、かつては自分の母親も、子育て中の友人も、ベビーカーを押す見知らぬ人も「産後うつ」なんじゃないか・・・よくやってるなぁ・・・スゴイなぁ・・・

マタニティブルーという言葉は聞いたことがあったが、そんなにも猛威をふるっているものだとは思ってもみなかった。そして、私もいずれ陥るかもしれないのだと思って番組を見ていた。

日本の母親が不安や孤独を感じるにはわけがある。核家族であること、父親が育児に参加する(できる)時間が少ないこと。ベビーシッターなどのサポート機能が足りないこと、活用されてないこと、などである。

家庭内にも家庭外にも頼れる人がおらず、一人で子どもと向き合わなければならない。一人で向き合う時間が多い。確かにこれでは、母親一人にかかる負担がデカい。母は強しと言っても、母も人間である。

そこで、日本の母親たちは、「ママ友」という世界で唯一の独自の救済システムを生み出した。「ママ友」という繋がりによって、互いに互いを支え合うのだ。

人付き合いが不得意な私にとって「ママ友」は、実際の良し悪しとは別に、その響きだけで恐怖を感じてしまうのだが、ソレ自体はどうやら理にかなっているらしい。
今はどことなくソレを拒絶してしまっている私も、いつかソレを求めたり、助けられたりする日が来るかもしれない。

「産後うつ」の原因としては上記した社会的な環境的な問題だけではなく、そもそもの生物的な問題、ホルモンがある。

またお前か!ホルモン!怒

その名は「エストロゲン」。エストロゲンは卵子や子宮の働きと成長を助ける作用があるため、妊娠中はドバドバ分泌されるのだが、出産してしまえば必要がなくなるため、急激に減少する。
エストロゲンが減少すると、自律神経のバランス崩れたり、体調や肌の調子が悪くなったり、頭痛がしたり、イライラしたりする。

なんだか厄介そうだが、これが人の体の仕組みであり、だからこそ備わった人の本能もあるのだ。それが「共同養育」である。

人という生物は、毎年でも子どもを産めるように体が出来ているらしい。人に一番近い生物であるチンパンジーでも、1匹の子どもを産み育てるのに最低3年(5年だったかも⁈)はかかりきりになるため、その間子どもを産むことはないそうだ。
しかし、毎年子どもを産むとなると、今度は育児をするのが大変になる。そこで解決策となるのが、みんなで助け合って育てようという本能「共同養育」なのだ。

人は、不安になったり孤独を感じたりすることで、誰かを必要とする。その心境が共同養育につながるというわけだ。

つまり、産後うつは、エストロゲンの減少と共同養育のためであって、決して人として未熟だとか母としてダメだとかってわけではなく、むしろあたりまえの現象であり、さくらももこと糸井重里のことばをお借りすれば、「そういうふうにできている」のである。

なるほどなぁ・・・しかし、もっとうまいこと仕組みや本能を作れなかったのかね・・・うつにならなきゃ共同養育できないのかね・・・微妙だなぁ・・・

人の体はとてもよくできているが、完璧には作られていないらしい。自分の体の機能の足りない部分を他の機能で補ったり、自分以外の誰かに頼ったりして、絶妙なバランスで立っているのだ。

だから、一人でなんでも完璧にこなせるなんてことはなくて当然で、誰かを欲したり、歩けなくなったり、ヘナヘナとその場にしゃがみ込んだりすることは、弱さでもなんでもないのだ。

番組は、産後うつについて科学的な根拠を踏まえながら、一人で悩まないこと、自分を責めなくていいこと、苦しまなくていいことを伝えた。

いつか産後うつのプールに漂うかもしれない私のために、以上を記しておきたい。

※番組を見た個人の感想です。

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