"疑似親指主義"批判

このnoteは小餅(https://adventar.org/users/50355)さん主催の"推しは推せるときに推せ、アドカレは書けるときに書け Advent Calendar 2023" 9日目の記事です.
昨日は眼鏡派(https://adventar.org/users/24035)さんの"(書くこと)ないです"でしたが, どうやらまだ投稿されていないようです. 期日を超えに超えた私が言う事ではありませんが, どうかエターナらないことを祈りたいですね.

導入

ここ数年ほどでモバイル音楽ゲームはかなりの発展を見せました. 実際私のタブレットにも, よくやるものからあまりやらないものまで, 10以上の音楽ゲームが入っています.
ところで, こういったモバイル音楽ゲームの遊び方の一つとして, 下の図のように, デバイスを手で持ち, 親指のみで操作するというものがあります.

音楽ゲームを親指でプレイする人の図

それどころか, 一般的な遊び方はこれなのではないでしょうか. 私には娑婆の空気がわからないため, これがどれほど一般的か量りかねますが.
ともかく, このプレイ方法は2本の親指でしか操作できないため, モバイル音楽ゲームでは, "同時押しは2箇所まで"という制限を設けているところが多いです.

今回はこの, "同時押しは2箇所まで"という制限についての論説を行いたいと考えております.

注意

  • 論説などと言っておりますが, 事実上のお気持ち表明です

  • 論理的でない部分を含む可能性があります

  • 筆者は物書きの専門家やプロフェッショナルではありません. 文章の構成は稚拙である可能性が高いです

親指主義

以前の記事で"ポストモダン音楽ゲーム"とか自製の用語を定義して色々話していましたが, 今回も同様にやっていきます.

親指主義: 親指2本のみでのプレイに適した譜面を収録する音楽ゲーム

はい. 非常に曖昧な定義ですが, あえてそうしたつもりです.
なぜ曖昧にしたのかというと, "親指2本のみでのプレイに適した譜面"を定義することが難しいからです.

例えば"理論上親指で押せる配置"だけが収録されていることを親指主義の定義にするならば, おそらくこの世のすべてのモバイル音楽ゲームは親指主義です. なぜならいかなる譜面も, 逆あんみつすれば親指2本どころか親指1本でもプレイ可能だからです. 
以下の動画, 0:49頃を御覧ください.

尤も, このようなプレイが"適している"とは到底言えないでしょう. よって少なくとも親指主義のゲームには 3箇所以上の同時押しは含めてはいけないことになるでしょう.
では3箇所以上の同時押しを含めなければいいのかというと, そういうわけにもいきません.
例えば2箇所同時の 縦連などが来ると, 多指ならまだしも親指だけでは非常にやりづらいです.
縦連でなくとも, 2箇所同時配置が高速かつ連続で来る場合も同様です.
例えば, Line Timesの魔王地帯, この動画の1:21頃からなどは(モバイル音楽ゲームではありませんが)一例として挙げられるでしょう.

こういった配置は, 基本的に 親指を一定以上の速度で, タッチする方向に動かさなければならないため, 親指だけではやりづらいものがあるでしょう.

親指によるプレイは他にも, 親指の届く範囲が狭いなどの制約も抱えています.

そんなわけで, 親指主義を認められるためには,

  • 親指の可動範囲, 可動速度などを考慮し, 無理が生じたり, やりにくいような配置を避けて譜面制作をする

ことが求められる必要がありそうです.

もしかしたら, 3つ以上の同時押しがないという条件はいらないかもしれませんね. 上に挙げた条件で十分弾けますし, むしろ激緩判定の音楽ゲームがあったら, それこそ無理のない速度で逆餡蜜できますから.

親指主義のゲーム

ところで, 特定のゲームが親指主義がを判断するかは簡単ではなさそうです.

まず, 先に述べた" 無理が生じたり, やりにくいような配置"の定義が曖昧です. 結局, どこまで速い速度を要求されると"やりにくい"と感じるかはプレイヤーそれぞれです.

さらに, 音楽ゲームには少なくとも数十, 多ければ何千という譜面が存在します. その中には, 親指主義的譜面もあれば, そうでない譜面もあるでしょう. "このゲームは割りと親指主義的譜面が多い"とか, そういうことは言えても, "このゲームは完全無欠の親指主義だ"と言えることはほぼないのです.

私はそれなりの数音楽ゲームをプレイしているつもりですが, 個人的にD4DJ Groovy Mixは比較的強く親指主義的傾向が強い気がします. Arcaeaもそれなりかと思いましたが, 最近の上位譜面は親指で届くか甚だ怪しいような遠い配置も多数あるので, あまり上位には入れないでしょう.

疑似親指主義

親指主義は概ね定義ができたとは思いますが, タイトルにある"疑似親指主義"はまだ説明していません. 疑似親指主義は以下のように定義します.

疑似親指主義: 3箇所以上の同時押しを制限しているにもかかわらず, 親指主義に沿わない譜面を多く収録する音楽ゲーム

批判的な書き方ですね. 批判するための記事なので当然ですが.

例えば先に掲載したLine Timesの魔王地帯, 親指主義的譜面とは言いにくいだろうと上で述べましたが, 開始から6秒ほどは3箇所以上の同時押しがないので, ここだけ抜き出せば疑似親指主義的譜面とまでは言うことができるでしょう.

なぜ批判する?

さて, なぜ私はわざわざ疑似親指主義を批判しようとしているのでしょうか. それは, ここ最近のモバイル音楽ゲームに少しずつ見えつつあるある傾向を危惧したためです.

近頃, 親指だけでやらせるにはかなり渋い譜面を散々出しているにもかかわらず, 疑似親指主義にはまり3箇所以上の同時押しだけは頑なに出さず, 譜面の表現度や幅などの, 音楽ゲームにとって重要な首を自ら絞めている音楽ゲームが多いのです.

言わずともおわかりいただけるでしょうが, 代表格はプロジェクトセカイです.

それ以外にも, 様々なゲームでこういった譜面は見られることがあります.

それなりに親指主義に親和的なArcaeaなどもそうです.
(2:23付近など)

なぜわざわざ"譜面の表現度や幅"が損なわれていると考えたかというと, プロジェクトセカイのAppend譜面がそれまでの譜面と比べ生き生きして見えたからです. 尤もここまで来ると完全に感性でしかないのですが.
この動画はBrand New Day[Append]の動画ですが, 多指前提であること以外にも, 無理だったり奇妙だったりする配置などが少なくなっているように感じています.

Append譜面とそれ以外(一部除く)の違いは, 3箇所以上の同時押しがあるかないかです.
ただそれだけの違いしかないにも関わらず, この2つの間にそれ以上の違いを感じた方はいるのではないでしょうか.

あとはワールドダイスターでも同様に, Olivierとそれ以外では譜面に対する肌感が違うように感じます.

無論, これらはかなり感覚的な問題となってくることは確かなのですが...

存在しない, 仮想の超常能力を持った親指を仮想敵に据え, その割には逆餡蜜はしないなどという無理な仮定をし, そんな歪な状態から生み出された譜面は, どれほど良いものなのでしょうか?

最後に

プロジェクトセカイのAppendで追加された譜面を最初に見たとき, おそらく"ヒバナ -Reloaded-"のものだったかと思いますが, "楽しそう"という直感を得たのがこの記事を書くきっかけとなる出来事でした(まあヒバナはMasterでも結構面白い方の譜面ではあると思うのですが).

その後ワールドダイスターに出会い, プロジェクトセカイほど酷くはなくとも, Olivierとそれ以外の間にどこか面白さの格差を感じ, それについて思索をめぐらす中, 今回の親指主義と疑似親指主義の話を思いついたのでした.

この記事で言いたかったことは, 3箇所以上の同時押しを制限するぐらいならもっと徹底的にやれ, 疑似親指主義にハマるな, ということです.

この記事が音楽ゲーム運営の方々に届くことはほぼありえないでしょうが, もし何かの間違いでこの記事を目にした譜面師の方がいらっしゃいましたら, D4DJのようにほぼ全域に渡って美しい親指主義を貫き通すか, それともワールドダイスターのOlivierやAC音楽ゲームのように思い切って親指主義を破壊するか, どちらかに振れて中途半端はやめてほしいという私の思いをお伝えしたいです.

次の記事は, r114331(https://adventar.org/users/24254)さんの"オタクは自分語りが好き"です. どうぞお楽しみに.

更新履歴

  • "なぜ批判する?"の節にあった文の誤りを修正(2023/12/24)

  • 10日目の記事へのリンクを追加(2023/12/24)

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