短編小説 小人との対話 ~タマゴの黄身と白身⑥~
『今回は、ある少女のところへ小人さんが現れたお話しです。どうやらタイトルに①とついているので、もしかしたら②以降もあるのかしら…と想像してみるのですが、どうでしょうか。いや、いつの間にか『①』が消えていることも考えられなくもありませんが…小人さんのみ知ることかもしれません。』
⑥まで来ちゃいました。しかも、今回はこの一話分長いです。
あとでこの『タマゴの黄身と白身』は纏めて独立させたいと思います。
多分、有料で読まれる方はまずいらっしゃらないことと思いますが(笑)、万が一読みたいと思ってくださった方は、今は読まずに、纏まったときにお読みいただければと思います。
短編8話分纏まった『小人との対話』は、こちらです。↓
小人との対話『タマゴの黄身と白身』⑤まではこちら↓
では、タマゴの黄身と白身⑥のはじまりです。
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タマゴの黄身と白身⑥
「この病巣は、そうね、そんなに大したことないんだよね。」
病院の先生は、内視鏡で撮られた写真をあたしたちに見せてくれながら説明してくれた。
検査の時に、小さいポリープやガンであろうものも小さいものは全て取ってくれたらしかったが、絶対に取り切れないような大きなものを指してお医者さんが説明してくれたのには若干驚いた。
え?じゃあ、進んでいるって言うのは?と訊ねようと思ったら、その前に、
「これね、大きいからまずいように思うでしょう?でも、これはそうでもない。まあ、ここまで成長しちゃってるから、悪いは悪いけど、取ってしまえば大したことない。でも、悪い顔したやつは、これ。」
指したのは、それほど大きくもないものだった。
「これがねぇ…うん、これが嫌なんだよね。」
素人は、何見せられてもさっぱりわからない。お医者さんにはわかるのだろう。
今回、説明を聴くにあたって、かくさんとあたしと、下の子も加わって聴くことにした。あたしは、こういう説明は何度聴いてもきっと理解はできないタイプだし、かくさんだけではあたしが不安だし、かくさんはオレだけでいいと言ったけど、みんなの耳で聴けば納得できるだろうから、と説得して下の子に来てもらったのだ。
下の子は神妙な顔をして先生の話を聴いていた。時々質問したりして、その度にかくさんの肩ががくっと下がるのがわかった。やはり、あまりよい状態とは言えないようだった。
今回は、手術のために入院して、その前に詳細を説明してくださると言うことだったが、もういろいろ考えても仕方がない。とにかくお医者さんを信じて、きれいに病巣を取ってもらうことを委ねるより他にはないんだから。
リンパに転移しているかどうかは、現時点ではわからないらしく、術後にわかるらしいが、もしその場合は、という説明もしてくださった。
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