刑法マメ知識

こんにちは、今日は、刑法のマメ知識をいくつか紹介します。

■1 修正された客観的危険説は実は具体的危険説の一種

表題の通り、実は修正された客観的危険説も結局は一般人を判断基準にするので具体的危険説の一種であるとされます(法学教室で現東大教授の和田先生が言ってた気がします)。

■2 結果的加重犯の読み方

結果的加重犯は「ケッカテキカチョウハン」と読む人が多いと思います。しかし、「ケッカテキカジュウハン」と読む人もいます。
なぜカジューハン派がいるかというと「重」と言う漢字は、「重い(オモイ)」意味と「重なる(カサナル)」という意味があります。「体重」や「重力」などオモイと言う意味で使われるときは「ジュウ」と読み、「重複」、「重畳適用」などカサナルという意味で使われるときは「チョウ」と読む場合が多いです。
なので、結果的加重犯はオモイの方の意味なのでカジュウハンと読むべきだ、というのが「カジューハン派」の主張なのです。
ちなみに、私の聞いたところによると山口厚先生がこの論者らしく、それに倣ったのか東大系の先生はカジューハン派が多いそうです。

■3 ブーメラン現象

ブーメラン現象という言葉は知っているものの、中身はよく知らない人が少なくないと思います。
違法性阻却事由の錯誤、つまり誤送防衛の事例で責任故意を否定する場合、過失犯の成立を認めるためには再度構成要件該当性の判断に戻ることになりますが、再び故意犯の構成要件該当性が認められてしまい再び責任故意が否定され、またまた構成要件該当性を検討しても故意犯の構成要件が認められてしまう…(以下略)というふうに、あらまあなんと不思議なことにずっとループしてるせいで過失犯の成立が認められないじゃないか!というのがブーメラン現象です。
(井田良・講義刑法学2版383頁の注15など)

法学的には正しいのかもしれませんが、日常でこういうこと言うと嫌われそうだという印象があります。
知らなくても司法試験の合否には影響しない議論ですね。

■4 山口厚教授の構成要件論

山口厚教授は東大教授で最高裁の裁判官にもなったとっても偉い先生です。
そんな山口教授の構成要件論を紹介します。
山口教授は結果無価値論かつ違法類型論者です。つまり故意は構成要件に入ってません。
そこで、犯罪個別化機能をどうするかというと、構成要件とは別に犯罪類型という概念を持ち出してこれに犯罪個別化機能を担わせるというウルトラCを行います(山口厚・刑法総論3版29頁参照)。
これが一部からズルいと非難されてるとかされてないとか。まあ学者になるわけではない我々には関係のない話ですね()

■5 構成的身分と加減的身分

構成的身分=真正身分で、加減的身分=不真正身分です。
某予備校の口述再現で、口述の主査が構成的身分≠真正身分、加減的身分≠不真正身分であることを前提にしているような質問が書いてありますが、再現した人の書き間違いなので騙されないように。

以上です。また面白い小ネタがあったら追加しておきます笑

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