日野自動車の不正について私見

 3月4日に日野自動車から発表された検査不正は、日野のトラックを多く購入している当社にとっても、大きな衝撃がありました。

 4トン車は、排ガス規制を満たしていない。
 大型車は、燃費基準を満たしていない。

 4トンは、排ガス処理のマフラーを交換することになるらしいが、大型はどれくらい燃費が悪いのか、まだ発表がない。正直、燃費の悪い車を買わされたのだから、その分の燃料代を補填して欲しい。

 そんな思いとは別に、排ガスの規制について前から感じていることがある。
 いい加減、排ガス規制は十分じゃないの?ということ。

 排ガスについて専門家でもなく、車の専門家でもない、いち運送事業者の意見です。
 今回の不正は悪い。決められたことを守らずに、明らかに意図的に不正をしていたことは悪いです。ですが、排ガスの規制が行き過ぎていて、国が決めたことに逆らえない苦しみがあったのではないかと思ってしまいます。

 これは日野自動車が作ったグラフです。
 排ガスの規制は、NOx(窒素酸化物)とPM「粒子状物質)を減らす規制です。片方だけ減らそうとすると、もう片方が増えてしまうそうで、両方をバランスよく削減するために、各メーカーが苦労をしています。

 ただグラフにあるように、短期規制、長期規制、新短期、新長期、ポスト新長期、ポストポスト新長期と、言葉の意味はよく分かりませんが、何度も規制が強化されました。
 1999年に石原都知事が、排ガスの粉が入ったペットボトルを振り回したことから注目が集まりました。当社でも、2003年頃から排ガス処理のマフラーを後付けし始めたと思いますが、その前は確かに汚染物質を振り撒いて走っていたと思います。
 最近は減りましたが、地方に行くと、真っ黒な煙を吐いて走るトラックがまだいますり

 マフラーを付けるのも数十万円掛かりましたが、その後の規制が強まるたびに、数十万円ずつ車両価格も上がっていきました。

 誤解のないように言いますが、私はどちらかと言うと、環境保護を大事にする考え方です。なので、石原都知事のお陰で、一気に規制が進んだことは良かったと思いますし、運送業がそれを負担するのは仕方ないと思います。

 ただ、いつまで規制を強化し続けるのだろうかと、だいぶ前から疑問に感じています。
 まあ、お金をかけ続ければ、排ガスがもっともっとキレイになるのなら続ける意味はあるのかもしれません。でも、グラフにあるように、もうすでにかなりキレイになってると思います。
 今のトラックの後ろに立っても、黒い煙なんか全然出てません。

 私の願いは、そろそろ排ガス規制は置いといて、燃費を上げることに集中して欲しいということです。
 今回の不正に関わりますが、排ガスに力を入れると、燃費を上げるのは大変なのだと思います。

 トラックのマイナー、メジャーチェンジがあると、燃費も上がりましたとカタログに書いてあります。しかし、自社のデータを見ていると、ここしばらく燃費は変わっていないどころか、悪くなっています。
 これは日野自動車だけではないです。
 乗る人の技術や、積載物の重さにもよるので、一概には言えませんが、今まで新型になったから燃費が良くなったと感じたことはありません。あれば、そのメーカーの車を指名買いしています。

 それも結局、無理な排ガス規制を強制しているせいで、燃費向上を邪魔しているのではないのでしょうか?
乾いた雑巾をさらに搾るような規制は、この辺でやめてもらって、二酸化炭素の削減に力を入れる方が、よほど環境に貢献できる気がします。そして、運送業にとっては、コスト削減にもつながるので、他の改善にも投資ができます。

 排ガス規制によって、マフラーを付けるなどの初期コストが上がりましたが、ランニングコストも上がりました。
 ある程度走ると、マフラーが詰まってしまい、交換するのに100万円前後掛かります。また、燃料の噴射装置も繊細になったために、故障が多発し交換することも多いです。
 NOxを処理する尿素も、補給装置が壊れやすいです。

 さらに、先ほどのマフラーは、少し走ると詰まっているススを焼くために、燃焼処理が必要です。マフラーを高温にするために、かなりの燃料を消費します。

 どこまでが本当に必要な規制なのか、専門的なことはわかりませんが、かなり無駄なコストを払わされているような気がしてなりません。
 そろそろ誰か、石原都知事のように、こんな規制無駄だ!と、テレビで言ってもらえませんかね。
 期待しています。

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