電波塔のヒーロー🗼


⚫︎はじめに


下北沢SHELTERで行われた多次元制御機構よだか(以下、よだか)のワンマンライブから一週間と数日がすぎた。この一週間の間で、季節は一気に春となり、街路樹の桜を見上げながら歩くことも増えたような気がする。例年の今頃なら、お気に入りの春ソングを聴きながら街路樹を通り過ぎるはずなのに、今年は少し違う。

一週間と数日。
私はよだかの新曲ヒーローを聴き続けている。
シェルターで初めて聴いた時、とてつもなくいい曲がきたなぁ、と思った。
その日の夜は春雨が降っていて、シェルターの中は湿度が高くてフロアは満員。じめっとした窮屈な環境ではあったけれど、それをちっとも不快と思わなかったのは、よだかのパフォーマンスに魅せられ、夢中になっていたからなのだと思う。
4分の曲なので決して短すぎる楽曲ではないのだけれど、疾走感のあるビートが気持ちを逸らせ一瞬で過ぎ去っていくこの感覚は、どことなく、今の季節と似ている気がした。誰かが作った示し合わせのプレイリストを聴くよりも、よっぽど春めいた気分になれる。夜桜の下を歩くのが心地よかった。

それともうひとつ、ヒーローを聴き続けていたのにはわけがある。ずっと気になることがあって、胸の奥底でくすぶっていた。

この曲は津野米咲さんへ宛てた曲ではないか、ということ。

音源が配信されて歌詞を見た際、赤い公園の曲のオマージュとも思える歌詞が書かれていたことと、リリース直後の林さんのSNSの投稿が意味深だったので、彼女への想いを歌った曲なのではないかと思った。考察と呼ぶにはあまりにおこがましい。私自身が赤い公園が好きだったので、ファン心理としてそう思い込みたいだけかもしれない。後ろめたさがないわけではないけれど、ここ一週間ずっと感じていたことを、少しだけ書いてみようと思う。

彼女が大切にしていた赤い電波塔を守ろうとする、ヒーローの話。
(と、私が勝手に思ってる話)


⚫︎赤い公園のオマージュソングではないかと思った理由

1)赤いマントをたなびかせてやってきたヒーロー


赤い公園に対するオマージュソングと思ったきっかけは、サビ頭の赤いマントをたなびかせという歌詞を聴いた時である。赤い公園のKOIKIという曲も、歌い出しの歌詞に赤いマントたなびかせというフレーズから始まる。

赤いマントをたなびかせ
涙を隠しながら 空を滑っていく
(多次元制御機構よだか/ヒーロー)

赤いマントたなびかせ
颯爽とやってきたけど
なみの正義じゃ務まらない
(赤い公園/KOIKI)

いつだって、君がヒーロー
(多次元制御機構よだか/ヒーロー)

とてもじゃないけどヒーローだなんて柄じゃないね
世界が肩を落としても
あなたが笑っていたらいいじゃない?
(赤い公園/KOIKI)

似たような表現だったので、反射的にKOIKIのことが想起されたのは事実だった。

一方で、ヒーローを題材にした曲であればスーパーマンが連想され、たまたま「赤いマントをたなびかせる」という表現方法が似たよっただけかもしれないとも感じた。歌詞のインパクトはあったが、これだけでは赤い公園のオマージュソングという発想には至らなかったし、似ているなぁ、という解釈で終わっていた。

2)会場BGMに種も仕掛けもありふれていき______!?


ところがその後、林さんのSNSの投稿によって、赤い公園へのオマージュソングではないだろうかという疑念のほうが強くなっていた。1つめは、ヒーローが初披露された今回のライブに限り林さんが会場BGMを選曲されていた点である。


2月19日に開催されたairatticと多次元制御機構よだかの共演ライブ『Single-Coil-Syndrome 2』ではSOVA代表の本間翔太さんが会場BGMを作成。プレイリストをSNSで公開されていた。よって、よだかのライブの時に毎回林さんがBGMを選曲するとは限らないと考えられる。

会場BGMの作成が担当性なのか変動性なのか詳細までは知らないが、仮に過去のよだかのライブで林さんがBGMを作成していたとしても、それをSNSで公開することは今までなかったし(たぶん)なぜ今回だけ公開したのか疑問が残る。
毎回本間さんが作成されているのであれば、なぜ今回に限り林さんがBGMを作成したのか、やはり疑問が生まれる。林さんがプレイリストを公開した行為自体に何か意図があるのだろうかと、考えてしまう。ほんと耳っちいやつ、自分。

そんな感じで私は、考える人のごとくうつむき目をふせ思想にふけ始め・・・るというわけでもなく、耳っちいけど三歩歩いたらすぐ忘れる酉年生まれなので、プレイリストが公開されたことに歓喜して、会場BGMの楽曲をあさっていた。待機時間中、会場BGMがとっても良かった印象があり、すぐにでも曲タイトルを知りたかったのである。

これで終わっていたら、このようなブログは書かなかったと思うのだが、2つめ。プレイリストが公開された直後、以下のような意味深な投稿があった。


「種も仕掛けもありふれて」は、プレイリストに選曲されてる曲のひとつ。田淵智也さん作詞・作曲、CV茅野愛さんの夜桜四重奏のキャラソンである。
曲順が来る前に開演時間となったため、ライブ当日会場BGMとして耳にした記憶はなかったが、どうやらプレイリストには入っていたらしい。

「種も仕掛けもありふれていき______」

「田淵さんの書いた曲をプレイリストに選曲したよ」というサービス的な意味にもとらえられる一方で「会場BGMに種も仕掛けもありふれているからね」というメッセージとも受け取れた。なんとなくその気になりつつ勘ぐりながら聴いていくと、会場BGMの曲全てに赤い公園の楽曲に関するキーワードが入っていたことに気づいた。
とは言いつつも、推測浅めの半ば強制的にこじつけ解釈したBGMもあるのだが、プレイリストにある20曲に赤い公園に関するキーワードを見つけてみたので下にまとめる。なお、プレイリストの最初と最後の曲に関してはまとめてはいないが理由は後述する。(こじつけ解釈をして殊に自信がないものに関しては・・・が多くなっている仕様である←)


03.28(木) 下北沢SHELTER
多次元制御機構よだかpresents 「COCKPIT」
会場BGM 作成:林直大

  1. 銀河鉄道999/ゴダイゴ (後述)

  2. 毒林檎と英雄の遺書/Nostalgia Seven

  3. pray/赤い公園

  4. 永遠少女/ZAZEN BOYS

  5. 涙がこぼれたら/THE BACK HORN

  6. cheerleader/Porter Robinson

  7. Cough Cough/Everything Everything

  8. Wake Me Up/フォールズ

  9. our name is last love zombies/The bercedes men

  10. Pulling Teeth/Slow Joy

  11. 明日は明日の風が吹く/LEEVELLES

  12. Reebok/柴田聡子

  13. 種も仕掛けもありふれて/V・りら・F(CV:茅野愛)

  14. Around The World/MONKEY MAJIK

  15. プラズマクラシックミュージック/(夜と)SAMPO

  16. スイミー/Every Little Thing

  17. マシンガンをぶっ放せ/Mr.Children

  18. イエスタデイ/Bray me

  19. 流動体について/小沢健二

  20. うつむく蒼年/Nostalgia Seven (後述)



2、毒林檎と英雄の遺書/Nostalgia Seven
毒林檎と英雄の遺書の曲中に「黄色い花」という歌詞があり、赤い公園の「黄色い花」という曲タイトルが連想された。

漆黒の闇 無限の宇宙
小さく咲いた黄色い花

毒林檎と英雄の遺書/Nostalgia Seven



3、pray/赤い公園

ヒーローの「赤いマントをたなびかせ」という歌詞の着想からKOIKIに関連する楽曲ではないかという印象も強かったが、プレイリストそのものに赤い公園の曲が選曲されていたことに驚いた。後述するが、ヒーローの2Aの「脳内全域逡巡警報発令中/鍵をかけた瞼に鼠色の空」という歌詞は、目を閉じて何かを思い出しているような描写にもとれるが、この「鼠色の空」という表現はprayの「ちょっと黒いくらいの青い空」と同じ空色のような趣があるなぁ、と個人的に感じている。


4、永遠少女/ZAZEN BOYS
2024年1月に発売されたZAZEN BOYSの新アルバム『らんど』の1曲。ランド=公園や遊園地などの場所を示す施設を意味することから、公園というキーワードが連想された。また、永遠少女の曲の最後に向井さんが「探せ探せ探せ」と連呼しながら歌っているが「種も仕掛けもありふれているから探してみなさい」という林さんからのメッセージのようにも受け取れた。


5、涙がこぼれたら/THE BACK HORN
ネオン」という歌詞からの着想。赤い公園の楽曲の中で「ネオン」という歌詞が入っている曲は東京、TOKYO HARBOR feat.KREVAの二曲。

ネオンの夜
恋をしたストリッパー

涙がこぼれたら/THE BACK HORN

どこからでもわかるように
ネオンサイン光らせている
 (東京/赤い公園)

お決まりの愚痴含めて日課
ギラギラ輝くネオンサイン
 (TOKYO HARBOR feat.KREVA/赤い公園)


6、cheerleader/Porter Robinson

guys」という歌詞からyumeutsutsuの「そこどけGAYS」への連想をした。また、赤い公園の楽曲「ジャンキー」に「りんごをかじるジャンキー」という歌詞があるのだがcheerleaderのジャケ写はかじった林檎の写真が使用されている。

She's got hearts in her eyes
And she draws me kissing other guys

cheerleader/Porter Robinson

そこどけGAYS 私は行くよ
構わず行くよ どこまでも

yumeutsutsu/赤い公園


7、Cough Cough/Everything Everything
Everythingというアーティスト名から、津野さんが石野さんに宛てたとされる楽曲「」の歌詞の一節の「everything」にあたると着想・・・。

転がり続けようぜ やらかい石のまんま
わかちあえた夜と 早起きした一人きりの朝
everything gonna be alright
everything gonna be alright
everything gonna be alright
all you need is love

石/赤い公園


8、Wake Me Up/フォールズ
Wake Me Up。ME→私に、私の、私を、私(だ)を表す代名詞なので赤い公園の『』という曲タイトルへ着想した・・・・・。


9、our name is last love zombies/The bercedes men
メリーゴーラウンド」という同一の歌詞からの着想。赤い公園のカバー曲シリーズとして、久保田利伸さんの曲『 LA・LA・ LA LOVE SONG』があげられる。

今は二人互いに知らぬまま
燃え落ちていく メリーゴーラウンド

our name is last love zombies/The bercedes men

まわれ まわれ メリーゴーラウンド
もうけして止まらないように
動き出したメロディー
LA・LA・ LA・ LA LA LOVE SONG

LA・LA・ LA LOVE SONG/赤い公園(カバー曲)



10、Pulling Teeth/Slow Joy
津野さんがSMAPに提供された曲として『Joy!!』という曲がある。Slow JoyだからJoy!!なのかと着想した・・・・・・・・・。

11、明日は明日の風が吹く/LEEVELLES
「明日は明日の風が吹く」というフレーズはprayの2Aの歌詞と同様である。漢字表記など含めて一言一句、同一である。

12、Reebok/柴田聡子
『猛烈リトミック』に収録されている「」という曲への着想。柴田聡子さんの歌い方がしっかりと「KI」と発音する表現のため、流し聞きをしている最中でもくっきりと「」の文字が頭に浮かんだ。

いい匂い なんの
割れた香水瓶

Reebok/柴田聡子



13、種も仕掛けもありふれて/V・りら・F(CV:茅野愛)
前述の通り。


14、Around The World/MONKEY MAJIK
MONKEY MAJIKのMONKEYから、ジャンキーの歌詞の「モンキー」が思い浮かんだ・・・。

りんごをかじるジャンキー
うまれ続けるモンキー

ジャンキー/赤い公園



15、プラズマクラシックミュージック/(夜と)SAMPO
プラズマクラシックミュージックの「戦士」という歌詞からのUniteへの着想。また、プラズマクラシックミュージックのジャケ写は赤い色をしたブランコの写真であったのと、赤い公園の楽曲Yo-Hoの中に「風のシャンプー」という歌詞があり、どことなく「(夜と)SAMPO」と語感が似ている気がした・・・・・・・・・。

僕らダメになるまで戦える戦士じゃない

プラズマクラシックミュージック/(夜と)SAMPO

勇ましい戦士たち 祈り捧げるレクイエム

Unite/赤い公園



16、スイミー/Every Little Thing
もともとは絵本作家レオ・レオニさんの「スイミー」という絵本が由来。小魚のスイミーが、大きなマグロを撃退するため赤い魚たちと群を作り、大きな魚のフリをして、無事、大きなマグロを追い払う話。赤い魚といえば「絶対零度」が連想される。

息を吸って吐くことが奇跡なんだと知っても
淡い泡ひとつ潰したい
燃えるような赤い魚

絶対零度/赤い公園



17、マシンガンをぶっ放せ/Mr.Children
アーティスト名からの着想。「children」が入った楽曲としては『Children go home with the crow』が連想される。勇敢なこどもといった曲もある。



18、イエスタデイ/Bray me
YES』だと『Yes, lonely girl』という曲が、『Bray』だと耳障り、うるさいという意味があるので『消えない』の「何度も励ましてくれたお気に入りの歌がはじめてうるさく感じた」という特徴的な歌詞が思い浮かぶが・・・。『昨日』という歌詞でとると『恋と嘘』『セミロング』『おやすみ』があるが、普遍的な単語であるためこの辺りは疑わしい・・・・・・。



19、流動体について/小沢健二
カルピス
という歌詞から潤いの人が連想された。

ほの甘いカルピスの味が不思議を問いかける

流動体について/小沢健二

ます ます 小雨 なる のむ カルピス

潤いの人/赤い公園


3)「やっと赤色を任せられる」の意味


意味深に感じた投稿、3つめ。

やっと赤色を任せられるってどう意味なんでしょうね。「赤いマントをたなびかせ」という歌詞になぞらえた意味なのか、前作の「PILOT」のジャケットの枠がオレンジ色で、ヒーローは赤色だから、赤色のジャケットを任せられるとか・・・?さすがにジャケットの話ではないか、と思ってもみたり。

赤い公園に関するオマージュソングという意味合いでとらえるならば、かつて田淵さんが「言葉にしだしたらどうせラベル貼られて/他のあれこれと同じにされるよな/けどそろそろいいよな(もう君に会えない/UNISON SQUARE GARDEN)」と表現されたように、林さんのなかにも、想いを歌にする覚悟の伴った曲ができたという意味だったのではないかと思った。

・異例の会場BGMの作成とSNSへの公開
・赤い公園に関するキーワードを含んだ会場BGMリスト
・「やっと赤色を任せられる」という言葉の意味

これらのことを掛け合わせた時、ヒーローは赤い公園に向けたオマージュソング・・・具体的に言うならば、津野さんへの想いを歌った曲ではないかと感じた。たとえ違ったとしても、ヒーローという曲そのものが大好きだし、今後もずっと聴き続けると思う。もし彼女に贈られた曲なのだとしたら、林さんに作ってくれてありがとうって伝えたい。

⚫︎ヒーローを聞いてみての感想

ここから先は、曲の感想になる。赤い公園に関する曲という思い込みで聴いている節もあるため、少々偏った感想になるかと思うが、ご了承いただきたい。

1番の歌詞↓

都内全域怪獣警報発令中
逃げ惑う人の群れ 茜色染まる空
熱光線に焼かれて灰になった街
神様、と誰もが手を合わせた

慌てた様子のニュースキャスターが
東京タワーへ中継を繋ぐ
ズームの先で
かすかに動く口元
「みんな下がってな、
そいつは俺がやる。」

赤いマントをたなびかせ
涙を隠しながら 空を滑っていく
本当の強さはいつだって
下から二番目に弱い事だから
百万馬力さ お前のことなんて
1ミリも怖くないぜ

ヒーロー/多次元制御機構よだか

都内に出現した怪獣とヒーローの登場を描いたようなストーリー描写。個人的にいいなと思ったのはジャケットの写真で、歌舞伎町のゴジラロード入り口の写真とヒーローの絵が、曲の世界観ぴったりで素敵。ジャケット右上の「ステレオ」の文字も、赤枠のデザインと合わさってさながら東京タワーのよう(カーステレオから流れた〜♪いつかの最後のメロディ〜♪ってね)

東京タワーに出現したハヤシングヒーロー(?)がTV中継に映って「みんな下がってな、そいつは俺がやる。」と眼光鋭く言ってるような光景が思い浮かぶ感じも、林さんのソングライティングのセンスが爆発してて最高だ。

そして、東京タワーと聴いて思い起こされるのは赤い公園の『NOW ON AIR』である。(端的にいうと)津野さんがラジオへの愛着を表現した歌で、電波塔に関する歌詞がある。かつて、ラジオの電波を送信する役割を担っていた東京タワー。その東京タワーから出現するヒーローの様子は、津野さんの愛したラジオ(電波塔)を守ろうとしているようにさえ聴こえた。
サビの「赤いマントをたなびかせ」以降は前述の通りKOIKIのなかで歌われるヒーロー像と重なる部分がある。津野さんはいつも「本当の強さ」が何かを教えてくれるような曲が多かった。

2番以降の歌詞↓

脳内全域逡巡警報発令中
鍵をかけた瞼に 鼠色に染まる空
障害物未満撒菱以上に
散らばっていく
悶着に躓く day&night

何ができるの
何をしたらいいの
分からないままで時は往き過ぎる
星一つない夜空に願っていた
「いつか、貴方みたいに
なれるのかな。」

上手くいかない日々だって
100%の君で生きている証拠さ
立ち向かう勇気があるなら
どんな痛みさえ
悲劇じゃない、きっと

ヒーロー/多次元制御機構よだか

1番は物語性のある世界観だったが2番以降は「脳内全域逡巡警報発令中/鍵をかけた瞼に/鼠色に染まる空」と内省的な響きとなる。前述したこの「鼠色の空」はprayの「ちょっと黒いくらいの青い空」とイメージする景色が似ている気がしてならない。怪獣と対峙するその瞬間、彼女の残した曲を思い起こしているヒーローの姿が脳裏に浮かんだ。

それと「障害物未満撒菱以上」って言葉がとても好きだ。イメージは撒菱の撒かれたハードル走って感じ。練習すればハードル自体は乗り越えられる障害壁のひとつに過ぎないけれど、飛び越えたその先には撒菱が撒かれていて、進むためにはそれを踏み越えないと行けない。進めはするけれど、必ず痛みを伴うもの。進むことは血を流しながら痛みを伴うものだよって教えてくれたのは、いつも赤い公園のような気がする。「いつか、貴方みたいになれるのかな。」と呟くヒーローは、曲の最後に「立ち向かう勇気があるなら/どんな痛みさえ/悲劇じゃない、きっと」と撒菱の痛みを受け入れながら、前に進むことを誓ったようにも聴き取れる。

そして最後に。私は、いなくなってしまった人の名前を呼ぶことはとても大事なことだと思っているので曲の最後で「名前を呼ぶよ!!」と歌ってくれたことをとても嬉しく感じた。

⚫︎プレイリストの最初と最後の曲の意味


最後に、プレイリストの最初と最後の曲の話になる。ヒーローは津野さんを想って作られた曲であるという前提で聴いているので偏向的な意見になってしまうが、この2曲の歌詞は、林さんの心情そのものを言い表してるように感じた。

1、銀河鉄道999/ゴダイゴ

さあ行くんだ その顔をあげて
新しい風に 心を洗おう
古い夢は置いて行くがいい
ふたたび始まる ドラマのために
あの人はもう 思い出だけど
君を遠くで見つめてる

銀河鉄道999/ゴダイゴ

20、うつむく蒼年/Nostalgia Seven

僕は君を思い出す事なく
永遠に忘れる日々などないから
流れ星に願いを託し
灰色未来へ夢を持て

うつむく蒼年/Nostalgia Seven

電波塔のヒーローは、今日も彼女のことを想いながら歌を歌っているのかもしれない。

⚫︎おわりに

このブログを書いている間、季節の変わり目を迎えて春が来た。暖かい気候に誘われたように一気に桜が咲いて、どこからともなく示し合わされたように春ソング特集なるものが流れ込んできて、新年度を祝福しているかのようだった。(春ソング強制連行系リンクには絶対クリックせんと決めているので、今年もやっぱり自分の好きな桜ソングばかり聴くのだと思う。今はまだヒーローしか聴いていないけど)

そんでもって最近思うのは、春って本当に喜ばしい時期なのか、ということ。新学期、新社会人、新しい人間関係が始まって、予期不安を感じる、一年の中でもっとも多感に感じやすくなる時期じゃないかと思うの。

春って陽気な天候に移り変わって体感的には過ごしやすくはなるけれど、気分的には新しい環境だったり新しい人間関係を受け入れざるえなかったり、はたまた前年度のツケを抱えて新年度を迎えなきゃいけなくなったりして、焦燥感や拗ねたい気持ちをひた隠しにしたり。適応しなきゃとあれやこれやと取り繕っているうちに失敗しちゃったりなんかもして、悲しくなったりすることも多い時期なんじゃないかなって思う。

そんな時、綺麗に咲く桜を見て心が洗われたり励まされた気分になって明日も頑張ろうって思えるのはとても素敵な人。だけど、桜を見て励まされる感覚よりも「桜綺麗なのに落ち込んで綺麗って思えない自分が嫌だぁー」って泣きたくなるような時に寄り添ってくれる人いませんかねって思うの。

なんてこと考えてたら、桜咲く街路樹の近くの花壇に黄色い花がいくつか咲いててね(名前わからないし写真撮るの忘れた)、少し近づいて見てたら、花壇とコンクリートの隙間に一輪だけタンポポが咲いてるの見つけちゃって、すっごく嬉しくなったの!(こっちも写真撮るの忘れた)

季節柄、桜を見上げることが多い時期だけれど、下を見たら他にもいろんな種類の花が咲いていて、春の花って桜だけが主人公じゃないよなって気づいた。春ってたくさんの種類の花が咲くし、桜ばかりに心を寄せるのではなくて、道端に咲く一輪のタンポポに感銘を受けてもいいよなって。

そう思った時、赤い公園の「黄色い花」のことを思い出して、赤い公園の存在って、春期の王者、桜みたいな存在じゃなくて、道端のタンポポみたいに悲しいことがあったらただ隣に寄り添ってくれるバンドだったなぁって思い出して、また少しだけ愛おしくなったよ、というあとがき。

ではでは、本当に最後。

このブログを書くにあたり、プレイリストに選曲されているなかで特にいい曲だなぁと思った曲が2曲ある。

LEEVELLESの「明日は明日の風が吹く」と、(夜と)SAMPOの「プラズマクラシックミュージック」だ。

アーティストを調べたら、LEEVELLESのBa.宮地正明さん、(夜と)SAMPOのDr.寺岡純二さんは、それぞれ元フィッシュライフのメンバーさんと知って心底仰天した。

何が言いたい?

フィッシュライフ、天才軍団だったのかー!!!!!!!!!!!

これだけ。笑
とてもいい曲なので、もし良ければ聴いてみてね。

ばいばい。






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