サンデーモーニング

あれからずっと
君が好きだよ
小さな心のなか

サンデーモーニング/つじあやの

ふとした瞬間に、思い出すメロディーがある

食器の泡を洗い流す流水音に
規則的なテンポなんてあるはずないのに
日常生活の間隙で
脳内カセットテープのリールが
動き出したのかと思うくらい鮮明に
規則的なリズムと共に
なつかしいメロディーを思い出す瞬間がある

思い出せそうにないメロディーの一部は
擦り切れてしまった
テープの上を通過しているみたいで
そこだけぽつりと音符が抜け落ちる

大抵はその曲を思い出す前に
目の前の動作を優先して
思い出していたことさえ忘れてしまうのだが

どうしようもなくそのメロディーが愛おしくなって
ブランケットに包まるように
手繰り寄せたくなる時もある

蛇口を止めて
思い起こされた歌詞を検索したら
記憶通りの曲がヒットした

晴れわたる風のすきま のぞき込んでるのは
君のひとみかな とてもまぶしいよ
君に会いたいな

サンデーモーニング/つじあやの

作詞・作曲はつじあやのさん

2003年『天才てれびくんMAX』で放送され
子役の飯田里穂さんが歌う曲だった

天てれ世代なので
当時テレビで観ていた歌を思い出したのだろうと
示し合わせることもできたのだが

20年以上前の曲を思い出せるほど
熱心な天てれ視聴者ではなかった気もするし
現にどんな番組だったかほとんど思い出せないし
どうして急に浮かんだろうなぁという
不思議な気持ち

軽快な口笛
たくさんの陽だまりの種類を知ってるような
ウクレレの音色
つじあやのさんのやわらかな歌声

いつどこで覚えたのかはっきりとしない
曖昧模糊な記憶だけれど
当時の僕はこの曲が大好きで
ずっと口ずさんでいて

歌を歌っているこの瞬間だけは
物怖じもせずに
水槽のように大きな水たまりだって
またいで下校できたんだ

不鮮明な過去の記憶のかなたにある
大好きなメロディーという鮮明な記憶

タイムトリップした大切なメロディーだけは
きっと何十年経っても
雨雲に隠れたままなんてことはなくって
いつかのどこかで
とりとめもない瞬間に思い出すことができる

僕はその瞬間がなによりも愛おしいと
感じることができる

長雨が止んだら
「さあ、出かけよう」
だって明日はサンデーモーニング

♫ サンデーモーニング/つじあやの