INIのデビュー週を終えた感想

わたしはここ数年、ジャニーズの1グループのオタクをしてきた。

ジャニーズ事務所のアイドルみんな好き!というタイプではなく、好きなグループだけを追いかけるタイプのオタクだ。自担が共演した後輩を外から眺めるくらいだった。

わたしは日プ2から佐野くんの、そしてINIのファンになった。日プ1はゆる追いしていたものの、11pickまで全員脱落した。リアルタイム視聴していたサバ番から推しがデビューするのは、佐野くんが初めてだった。

日プ2を見始めた頃、日プ1のトラウマがあったから、絶対デビューする人を推したくて一番顔がカッコいいと思った人を推しにした。でも段々、就活で鬱になっていた選ばれる側のわたしと佐野くんを重ねて見ている自分がいた。

佐野くんがとにかくデビューすればいい。その一心で、親のスマホで毎日投票したり、オタクの友達に布教を続けた。佐野くんのデビューが決まった時は、自分のことのようにうれしくて泣いた。

あの日から、150日近くが経過した。デビュー週を終えて思ったことが大きく2つある。

1つ目。わたしはINIをどんどん箱で推し始めているということだ。

ランダムのジャケットもトレカも、そりゃ佐野くんが出るのが一番うれしい。とはいえ、他の人でもそこそこうれしいのである。理人くんのトレカを引いて喜ぶわたしを見て、母から「誰のファンなの?」と言われた。

あと、わたしは今メールを7人分取っている。あと4人もこうなったら取れよ、という話である。佐野くんのメールが一番うれしいけど、最近は大夢くんの丁寧なメールにほぼ毎日ときめかせていただいている。本当に大夢くんはかわいい。

INIステーションで苦いお茶を飲んで大変な顔になる威尊くんを見てゲラゲラ笑ったのは本当に楽しかった。彼はNSC何期生の人だっただろう、と最近ナチュラルに思ってしまう。

日プ2の期間中は佐野くんしか見えていなくて、というかほかの人を見たら負けだと思っていた。一瞬の油断で佐野くんが脱落したら、と思うとほかの人を見られなかった。でも、これからは、別の人をチラ見しても佐野くんは脱落しないのである。なんて幸せなのだろう。

MINIというかわいいファンネームをもらったけれど、わたしはずっとMINIを自称できなかった。佐野くんのオタクだ、と思ってきた。でも、KCONのたじくんのパフォーマンスに叫んだり、Brighterの藤牧くんの歌声に涙を流したり。こんな経験を重ねていくことで、箱推しっぽくなり始めているわたしはそろそろMINIを名乗れるのかもしれない。

2つ目。追い買いへの見方が変わったということだ。

わたしはずっと、追い買いを、憎むべき文化だと思っていた。CDは全形態1枚ずつあれば十分だった。

「追い買いは自分たちが追わなくても売り上げを叩き出せるようになるまでの買い支えだ」と言うオタクに、そんな時がいつまでたっても来なかったらただの浪費になるのではないかと冷ややかな目線を送っていた。

そんな気持ちは、デビュー日のYou Tube配信でオリコン1位の発表を受けて狂喜乱舞するINIを見て吹っ飛んだ。

ジャニーズ、しかももうある程度人気があるグループをずっと見てきたせいだと思うのだけれど、オリコン1位は当たり前だと思っていた。ビルボードもしれっと1位になるものだと思っていた。

でも、JO1先輩がいるとは言え、ほぼ後ろ盾がない新人のデビューなのだ。数字の予測も難しかっただろう。1位をとれるかずっと不安だったと言う迅くんの泣き顔を見て、わたしも泣いた。

しかも、INIは、「1位になりたいからCDを買ってください」なんて一度もプレッシャーを掛けてこなかったのだ。そんなに不安だったら言ってくれればもっと買ったのに……と思った。INIはいい子たちの集まりだから、いっぱい買ってくださいなんて押し付けてこないのである。

佐野くんはBrighterの振付がうまくいかなくて泣いていたところを西くんに励ましてもらったって教えてくれたけれど、リアルタイムのときはそんな空気全く感じなかった。隠れて泣いて練習する子たちなのだ。

そんな姿を見て、MINIはより一層CDを買った。フェンファンの言う通り、わたしたちは特別な時代に出会って、彼らは特別な時代にデビューした。

これはちょっと話が逸れるけど、コロナを経て、推すという文化は少し変容したように思える。現場が少ないからSNS映えするセンイルケーキを作ったり、CDを馬鹿みたいに買った写真を投稿したり。「見せる」オタ活で自分と他人を比べて、他人に勝ちたくてCDを買ったりするのかななんて思う。

ジャニーズの自担は言った。「CDを買うことが純粋に音楽を聴くための行為ではなくなっている、パッケージを充実させる売り方に力を注いできたのがここ最近の流れだから、CDそのものではなくCDを手に取る体験という付加価値を生みたい」と。

ランダムのトレカやジャケットにギャーギャー言って、特典映像にゲラゲラ笑ったのは、紛れもなくわたしである。自担の言葉と真逆のことをしていると思ったので、この1週間頭が割れそうだった。なんてったって部屋にはINI-Aが積まれているのである。

とは言え、INIのデビューシングルを買うという体験は、一生で一度しかできないし、これは付加価値になると思うことにした。それに、元国プたちがMINIになっていく様を見られたことは一生の財産になると思っている。

ドルオタは幸福か不幸か、どちらなのだろうということも最近よく考えるのだけれど、人の夢が叶う瞬間に立ち会えるのはとても幸福なことだと思う。


木村:そうですね、僕はドームツアーをしたいですね。尾崎:4大ドーム!


現状、ハーフミリオンという大記録に届いたのかはわからない。けれど、このデビューに際して柾哉くんと匠海くんが語った夢はとてつもなく大きい。

11月にもアイドルの大先輩が解散し、彼らを取り巻く環境はこれからもめまぐるしく変わっていく。そんな彼らをこれからもずっとずっと見ていたい。彼らの役に立ちたい。そんなエゴまみれの言葉を吐いてしまうくらい、わたしはINIが大好きだ。


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