清原和博
先日、清原和博の執行猶予が満了し、プロ野球ニュースに出演していた。
僕は、それが本当に嬉しかった。
僕の小学生の頃のヒーローは清原和博だった。
父が熱狂的なジャイアンツファンということもあり、物心ついた頃には食卓ではジャイアンツ戦が映っているのが当たり前で、僕も当たり前のようにジャイアンツファンになっていた。
その中で、松井秀喜でも高橋由伸でもなく、僕のヒーローは清原和博だった。
あれは忘れもしない。
小学校2年生の夏、初めて東京ドームにプロ野球観戦に行った。
広島戦だ。
延長戦にもつれ込んだ、11回の裏、満塁のチャンスで打席には清原和博。
初めてのプロ野球観戦、大好きなジャイアンツ、ヒットでサヨナラ勝利の場面。
もちろん、打ってくれと、勝ってくれと、頼むぞ清原と、そう願った。
その瞬間、打ったのだ。ホームランを。
サヨナラ満塁ホームラン。
こんなの大好きになるしかない。大喜びするしかない。それ以外の感情は小学生には持ち合わせていない。
その日から僕のヒーローは清原和博だった。
しかし、僕が本格的に野球を理解し、観戦しだした頃には、もう晩年だった。あのサヨナラホームランの日から数年もすると、ジャイアンツを去り、また数年すると引退した。
そして、4年前、覚せい剤で逮捕された。
大ショック!とまでは行かないが、引退してからもプロ野球の解説やバラエティで見ていたため、それなりに動揺した。
あれだけ好きだった選手が逮捕されたのだ。当たり前だ。
その後、清原に関するいろんな記事を目にするようになり、こんな内容を見かけた。
「彼は本当は繊細で臆病。大きな体とは対照的な線の細い男なんだ」
ソースは忘れたが、確か清原がPL高校時代の監督か誰かが、そうインタビューに答えていた気がする。
番長というキャラクターも、コワモテで強気なキャラクターも、すべて臆病で繊細で、小心者であることを隠すための術だったんじゃないかという記事だった。
それを読んだ時、父親の姿がチラついた。
僕の父親は、常に「男なんだから強くなれ。男なんだから泣くな。男なんだから勝て」と、男はこうであれというものを僕に叩き込んできた。
それが本当に嫌だった。
ずっと、ずっと、ずっと思ってた。
「僕はお父さんみたいに体も大きくないし、強くなれない。というか争うとかしたくない。楽しくないし怖い」
けれど、そんなこと言えなかったし、反発もできなかった。
なぜなら父親が怖いから。
気にくわないことがあれば怒鳴るし、最悪手も出る身長180cmの大人に反抗するだけのパワーが、子どもにあるわけがない。
そういう理想像や願望を押し付けられても、のらりくらりと受け流す術が身についただけだった。
きっと、清原も本来の自分とは違う「球界の番長」というイメージをファンやメディア、ないしは野球関係者に押し付けれられて苦しんでいたのかもしれない。
本当は前面に闘志を出すのが苦手だけど、勝負の世界に生きる者として、無理にでも強く見せなきゃいけないという固定観念に縛られていたのかもしれない。
それはとても苦しいことだし、つらいことだし、疲れることだ。
本来の自分とは違うものを出し続けることがエネルギー使わないわけないじゃん。
最近、インターネットでも、「女だからこうであれ、という価値観が嫌だ」「男なんだから、もっとこうしろって言われるのはおかしい」みたいな、理想像を押し付けられる、生き方を押し付けられるのが嫌だという声をチラホラ見るし、それはそうだよねと思う。疲れるよね、苦しいよね。自分がしたくないこと、なりたくないものになれって言われるのは相当苦痛だよね。
僕も痛いほど経験してきた。
でも、もっと苦しいし見たくないのは、なぜかそういう論争のときに「男vs女」になるところ。
別に男だけが女だけが苦しいわけでもないし、男だけが女だけが押し付けているわけではないのに、絶対に男女間で争う構図が出来上がるのが本当に嫌だ。
これは男だからどうとか、女だからどうとか、そういう話じゃなくて、個人個人の問題で、大きなくくりにするから一生終わらなくて、全部「人による」んだからきちんと個人として見ればお互いに理解しあえるはずなのに。
でもみんな、なぜか男女間で隔たりがあると思ってる。男同士、女同士でも理解できないことや、分かり合えないことなんていくらでもあるのに。
どうして全部、個人ではなく属性で判断しちゃうんだろう。
多少バイアスがかかるのは仕方ない。
でも、きちんと個人として相手のことを捉えられない、見ることができないなら、深いところまで踏み込んで物申すとかしないほうが賢い、と思う。
そういう時代になれば、みんな苦しまず、喧嘩することも減るんじゃないのって考える今日この頃です。
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..................清原関係なくなっちゃった!!!!!!!!!
清原和博さん、執行猶予満了、おめでとうございます。
おめでとうで合ってるのか?
とにもかくにも、僕のヒーローがまた球界に戻ってきてくれること、僕は望んでいますし、嬉しいです。
応援しています。
お・わ・り♪
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