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「良いポスターデザイン」を見分ける方法(9/30)

三文会

9月30日の三文会は、三文会のポスターのデザインをどう決めたのかがテーマでした。(参照http://fromy.net/sanmon/poster/

三文会では参加者へ「何をきっかけで三文会を知ったのか」へアンケートを行ってます。その結果東大学内に貼ったポスターを見て参加する人が多いことが分かっていて、“いい”ポスターを作ればもっと多くの人に来てもらえるのでは、という仮説がたちました。それじゃぁ、“いい”ポスターを作ろうかとなったときにある問が浮かびあがります。

この記事も有料設定していますが、全文無料で読むことができます。もしいいねと思っていただけた場合は、会の運営費用(Zoom代など)としてカンパいただけると大変うれしいです。

1."良い"ポスターとは??

“良い”ポスターとは何なのでしょうか?

この問に答えるため、発表者兼三文会運営メンバーの私(やまやま)は、統計学を使って良いポスターを特定しすることにしました。

つまり、複数のポスターデザインを掲載して「どのポスターの反応が良いのか」を数値化して計測し、反応が良いポスターを見極めることにしたのです。なにか難しいことを言っていると感じるかもしれませんが、統計もポスター制作にも詳しくない私にもできたので、同じように統計の知識やポスター制作のノウハウがない人でもやろうと思えば簡単にマネできると思います。

話を戻しますと、今回用いた手法は、Webマーケティングでは一般的に用いられるA/Bテストといわれるものです。WebマーケティングでのA/Bテストは、ページAとBを作り、アクセスしたユーザーをランダムで割り振った上で行動をトラッキング、その差を統計的に調べて良いページを残す手法です。勝ち抜きトーナメントを繰り返せばどんどんページは良くなっていくという理屈です。私ははこの手法をポスターに応用しようと考えました。が、ポスターでは行動のトラッキングができない(ポスターの前に通る人を延々と観察することは現実的ではありません)のでWebと全く同じやり方はできません。

2.”良さ”を測定するための工夫

この点を解決するためにシンプルな工夫をポスターに施しました。ポスターに掲載しているQRコードをポスターごとに変えたのです。それぞれのQRコードを読み込むと、「1秒後にジャンプします」というページを挟んで三文会のホームページに飛ぶ仕組みになっています。この「1秒後にジャンプします」のページはそれぞれのポスター(=QRコード)ごとに作られており、そのページのアクセス数でQRコードが読まれた回数が計測できると考えました。

ポスターから実際の来場までの間では、以下のようなプロセスを得ると考えられます。(図を挿入)

 ポスターに気づく・
    ↓α
 ポスターに興味を持つ
    ↓α1
 ホームページを見る
    ↓β
 来場する

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ホームページを見てから来場するステップβはポスターで操作できない部分が大きいと考えられるため、今回は計測すべきコンバージョン率aを下記のように定義しました。

    a = α1×α2

α2についてはキーワード検索の可能性もあるため、ここでは

 QRを読む人の数=キーワード検索する人の数

と仮定し、QRコードを読まれた回数を用いて検証を行いました。
さて、コンバージョン率aは下記のように表すことができます。

  a =α1×α2 = アクセス数 / 交通量

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分子のアクセス数は先ほど述べたようにQRコードを利用すれば計測可能です。
分母の交通量については、「ポスターの前を通る延べ人数」と定義しました。サンプル数を増やすため、計測の時期は来校者が爆発的に増える5月祭シーズンを含むように設定しました。交通量は直接測定するには手間がかかりすぎるため。こちらもいくつかの過程を置いて推定しています。五月祭期間中の入場者数は五月祭実行委員が発表しており、例年15万程度の人が五月祭に訪れるそうです。この15万人が最低何回ポスターの前を通るか、つまり一人当たり何回ポスターの前を通るかを考えますと、主要な出入り口には大体ポスターが貼ってあるので少なくとも2回はポスターの前を通過するはずです。ですので15万×2で30万回ポスターの前を通過している計算になりますね。同じように五月祭期間外の交通量も過程を置きながら推定しています。

コンバージョン率aが推定できそうだと分かったところで、ポスターを“ランダム”に張ることを考えます。東大構内でポスターを貼ることができる10箇所の掲示板を交通量と人目に付きやすさで分類し、A/Bで同じ枚数のポスターが張れるようにエクセルのランダム関数でどちらのポスターをどこに張るかを割り付けました。

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3.実験で使うポスター案

ここまでで実験の準備ができたので検証に使用するポスターを作ります。とは言っても私はポスター制作のノウハウがないので東京藝術大学修士課程の大塚さんに作成を依頼しました。大塚さんが提示したA/Bのポスターは次のふたつです。

A. 従来使用してきた、朝食のお弁当を前面に打ち出したもの。
  全体が赤色で目立つ。
B. 過去人気だった発表タイトルを、イメージ画像を添えて押し出したもの。
  全体のイメージカラーは白。

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4.どちらがよいポスターか? 

東大内では「三文会はお弁当のポスター」として高い認知度を得てきたため、Aのポスターが人気なのでは、というのが定説でしたが、結果は我々の予想を裏切りました。

【結果】
A. 交通量:150万回 アクセス数:4回
B. 交通量:150万回 アクセス数:17回
99%有意差あり。
※有意差は統計的に自動で解析してくれるオンラインツールを使用し計算しました。

なんと、目立つ赤いポスターより発表タイトルを押し出した方がより多くの人がQRコードを読んでくれたのです!

かくしてどちらのポスターが「良いポスター」かがわかり、今後本郷キャンパスに張られるポスターが決まりました。

また、今後ポスターを作成する際にも同じ手法を適用して検討することができます。

5.考察

今回の成果は以下の二つです。わかりやすいですね。
■どちらのポスターがいいかわかった。
■ポスターを選ぶ手法をモノにした。

【考察】
今回三文会のポスターで行ったA/Bテストはほかのポスターにも応用できます。ポスターは電車でもコンサートホールでも市役所でも、いたるところにあふれており重要な広告媒体です。
電車でQRコードを読むイメージは湧きづらいですが、コンサートホールのように立ち止まって読める場所では応用が可能です。
となると今回の手法をまるっとパッケージ化し、数値を入力するだけで誰でも簡単に検証できるツールを作ることもできそうですね。

今回の実験では、なぜ発表テーマのポスターの方が良かったのか、本質的に良いポスターとはなんなのかを突き詰めて考察していません、ここら辺をしっかりと考察して検証のための実験をもう一回行ったらパブリッシュできるものにもなるかもしれませんね。

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三文会は、「早起きしてちょっと世界を広げよう」をモットーに開催している毎週土曜にZoomで行っている朝活です。毎週違った発表者をお呼びし、様々なテーマについてディスカッションしています。 許可をもらえた発表を運営の無理のない範囲で記事化してZoom代を稼ぎたいと思います。