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算命学余話 #G38 「主星に従星が作用する」/バックナンバー

 算命学余話#G24・#G36の中級編では、地支の組合せが宿命に与える力学について説明しました。そしてそのことによって、その組合せ次第で星々がくっついたり離れたり、強まったり弱まったりするという風景が、漠然と掴めたかと思います。勿論、こうした作用をもたらすのは地支に係る位相法だけではなく、他の技法によっても見て取れます。そしてその作用の種類は技法の数だけ存在し、その技法同士の組合せもまた新たな作用を生み出します。そう考えると、算命学の技法の習得は終わりがないように思われます。
 算命学を学問として突き詰めるのなら、こうした果てしない組合せの数々とその力学を逐一研究するにも意義がありますが、それには膨大な手間と時間が掛かります。一方、鑑定の実践においては依頼者の喫緊の要望に応えるためにスピードが求められますから、組合せのいちいちを細かく見ているヒマはありません。対面鑑定であれば、その場でほぼ即答しなければならない。こうした場合、膨大な組合せとその作用の機微に翻弄されないよう「ぱっと見てざっくり」把握する能力が要求されます。いわゆる「総攬する力」です。

 昨今はパソコンやスマートフォンの普及により、人間の目の総攬する力が低下してきています。つまり狭く限られた画面から情報を得ることで視野自体が狭くなり、更に検索ワードを入力してのピンポイント情報入手に慣れることで、その周辺の近接情報を同時に視界に収める機会が減ったのです。視界の片隅に入るというだけでも情報は脳に届けられますから、この機会がなくなるということは、それだけ情報量が減るということであり、その情報を処理する脳の働きも鈍くなり、やがては衰えることになります。
 算命学の総攬力とは、メインの情報すなわち宿命を中心に、その上下左右に広がる近接情報として、陰陽五行、十干十二支、六十花甲子、後天運、生剋比、天中殺、位相法その他技法による「仮定情報」が蜘蛛の巣のように広がっている、その全体をざっくり把握する能力です。蜘蛛の巣のどの方向から「引き」があるかは宿命だけでははっきりしないので、上下左右に控えた「諸条件」アイテムも視界の片隅情報として脳に送り込んでおく。そして相談者の実生活や問題点、後天運に見える予測等を具体的に組み上げて鑑定に臨むのです。

 とはいえ、こうした把握の仕方はややもすると「大まか過ぎる」見立てとなって、著しく精確性を欠く結果となりかねません。「鳳閣星は大らかだ」とか「牽牛星は堅実だ」で終わってしまうのなら、雑誌の占いページを眺めれば足ります。そうではない専門家の見立てとするには、宿命に対して数ある技法を当てはめた時に突出して見えてくる風景を、上下左右の蜘蛛の巣の中央に据えて眺めるという方法が手っ取り早いです。その総攬が一瞬でできれば達人ですが、数秒なり数分以内で収められれば、まずまず腕のいい熟練鑑定師と言えましょう。
 今回の余話は、そうした熟練鑑定師が腕組みをしながら宿命を眺める時に、頭の中であれこれ技法を差し替えて風景を思い浮かべる作業の一端を、敢えて文字にしてみます。脳内処理情報を文字にすると非常に嵩むので、ほんの一部だけです。具体的には十大主星と十二大従星の組合せから、例えば「鳳閣星は大らかだ」といった性格の大まか見立てに精度を加えるための技術になります。

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