算命学余話 #G18 「守護神#15 丁×秋」/バックナンバー
プロのバレエダンサーの目線でフィギュアスケートの羽生結弦を分析する、という動画を興味深く視聴しました。それによれば、バレエのオーディションでは実力が拮抗している場合、見た目のいい方を採用するとのことです。目ヂカラが強いとか、横顔が立体感ある顔立ちであるとか、要するに見栄えです。見る者の目を楽しませる稼業なのだから当然です。誰だって見苦しい顔や姿を見るために、わざわざ金を払いたくはないでしょう。音楽や講談を聴きに来ているわけではないのですから。
羽生選手はスポーツ選手であって、プロ稼業をしているわけではありませんが、プロのダンサーから見ても驚くほどの見栄えと空間支配力があると解説していました。加えて「首が長い」とも言っていました。それがノーブル感(貴族的雰囲気)を出していると。首の長さは生まれつきのものですし、首長族みたいに金属の輪っかをはめてせっせと首を伸ばしでもしない限り、努力して伸びるものではありません。彼の首は生まれ持ったものなのです。それがフィギュアスケートという「見栄え」ポイントの高い競技に活かされているということです。
もう一人スポーツ選手を例に取りましょう。キックボクサーの那須川天心です。高校生でプロデビューした那須川君は、毎回派手なガウンを着てリングに登場し、頭も毎回違う色に立ち上げて、オラオラ風に花道を渡って来るのですが、試合が終わると飾り気のない明るい少年の顔に戻ります。勿論後者が素です。前者は故意に作ったリング用の顔です。プロの格闘家にとって、対戦相手を含む周囲を威圧する入場は、仕事のうちなのです。プロですから、多くのお客さんに向けた見栄えも大切です。チケット代を頂く分のファンサービスというわけです。
元ボクシング王者の具志堅用高は、自身のトレードマークだったアフロヘアについて、彼のホームである沖縄の米軍の黒人兵士を真似たものだと語っています。当人曰く「アフロだと強そうに見えるから、対戦相手を威圧できると思った」そうです。安直ですが、半裸で戦うボクシングでは、それくらいしか見た目の工夫はできません。そのわずかな手の加え処で十分な効果を上げている那須川君のスター性を、彼は高く評価しています。つまり那須川君は、素顔は普通の少年ですが、リング用に作った風貌には華がある。
なぜ一見して脈絡のない羽生結弦と那須川天心を引き並べたかというと、この二人、どちらも丁火の生まれなのです。丁火は火性の陰干ですから、陽干である丙火が太陽であるのに対し、弱い光熱を放つ灯火です。しかし弱いからといって何もかも太陽に及ばないかといえば、そうでもありません。まあ「侮光」の問題はありますが、太陽は何と言っても夜は輝きませんから、丁火の出番は夜道を照らす松明であったり、灯台の光であったり、煮炊きや読書に使う適度な光熱ということになります。太陽で煮炊きしようと思ったら大変です。一瞬で消し炭です。物事には適切な程度というものがあるのです。
この二人のスポーツ選手の共通点について算命学の目で見てみると、ああ、なるほど丁火だと納得がいきます。丁火の特徴については、丁火を扱った守護神の回の『算命学余話』に書きましたので、そちらも参照下さい。丁火がスポーツ選手になった場合、その姿には華があります。必ずしも美的でない場合でも、非常に目立ちます。舞台人と違って、スポーツ選手は華がある必要はないにも拘らずです。
そしてその華の見せ方が独特で、天性のセンスがあり、そのセンスを活かすような何らかの武器を備えて生まれてきます。それが羽生選手の優雅な長い首であったり、那須川選手の派手な試合ぶりだったりするのです(華のない選手と比べてみて下さい。全然違います)。
まあどちらも実際に会ったことはありませんが、一般に算命学では、丁火の人が部屋に入って来ると、一瞬場がパッと明るくなると言われています。その明るさが持続してうるさくなってくるのは、太陽である丙火の特徴です。丁火とは、そういうキラッと光る力を持って生まれると考えられています。ちなみに、キラッと光るといえば貴金属である辛金もそうですが、辛金は自らは発光しません。自力で発光するのは、丙火丁火ら火性の専売です。
どうですか。丁火について興味が湧いてきましたか。というわけで、今回の余話は、秋生まれ丁火の守護神です。那須川君はまさに秋生まれです。羽生選手は冬生まれなので、次回ということになります。
といっても、二人の宿命を鑑定する内容ではありません。あくまで守護神の解説です。そして、上述のようにキラリと光る丁火に生まれながら、注目もされなければ目立った特徴もない、という方がいるでしょう。それはずばり、あなたの星が輝いていないからという理由に尽きるのですが、ではなぜ星が輝かないのでしょう。その点についてのアドバイスも盛り込んでみます。
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