「未来へ 見出す活路 見直される日本の鋳鍛鋼」日本鋳鍛鋼会 森啓之会長 技術優位性の発信力向上 常に進化、市場変化対応

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 高度な造り込み技術によって国際マーケットで差別化を実現してきた、日本の鋳鋼製品と鍛鋼製品。近年は中国など新興国の技術の進展や需要家の海外進出による現地調達化などによって生産数量は苦戦しているものの、品質が再評価され、日本製品への回帰が目立ってきている。日本の技術優位性をどのように維持・発展させていくのか。日本鋳鍛鋼会の森啓之会長(神戸製鋼所常務執行役員)に展望などを聞いた。

 ――鋳鋼、鍛鋼のマーケットはどのように変化してきたか。

 「生産数量の至近ピークは2007年度で鋳鋼が29万7000トン、鍛鋼は75万1000トン。20年度は新型コロナウイルス感染症による経済活動の低下で、鋳鋼は07年度比で56%減の13万2000トン、鍛鋼は33%減の50万3000トンを予想している。景気回復で17年度と18年度は増加傾向が見られたものの、米中貿易摩擦と新型コロナで19年度以降は再びマイナスに転じている。鋳鋼は建設機械や造船、自動車、産業機械が、鍛鋼は造船や電力が主体で、需要分野の低迷の影響を受けている。先行きの動向で不透明感が漂っており、市場低迷もあって日本、アジア各国で市場から撤退するメーカーが見られる」

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