R4予備試験口述再現(1日目・刑事)

試験官は、向かって左側が女性30-40代。右側が男性30-40代。交代での質問だったので、主査・副査どっちがどっちかは不明。

パネルなし。

女性)Aは、30代男性で、深夜人気のない道をバイクで走っていました。Vは、20代女性です。Vは、バッグを持っており、中には現金、財布、携帯電話が入っていました。Aは、バッグをかすめ取る目的で、Vに近づき、バイクを低速で走行させ、バッグをかすめ取りました。Vはこの際転倒しましたが、けがはおいませんでした。この場合、何罪が成立しますか?
私)窃盗罪が成立します。
(強盗の暴行を認定するのかな?詐欺横領背任出なかったか。いやこれからか?)

女性)強盗罪は成立しませんか?
私)反抗抑圧程度の暴行脅迫がないので成立しません。

女性)今、反抗抑圧程度の、とおしゃっていただきましたが、強盗罪における暴行脅迫とはどのようなものですか?
私)一般的に相手方の反抗を抑圧するにたりる程度の暴行脅迫です。

女性)はい。では事案を変えます。Aは、バッグの中身を認識しており、かつ、バッグの中の現金のみを取り、その他は捨てるつもりでした。この場合、現金以外の物にも窃盗罪は成立しますか?
私)成立しません。

女性)なぜ?
私)不法領得の意思がないからです。

女性)不法領得の意思とは何ですか?
私)その物につき権利者を排除して、えー、権利者排除意思と利用処分意思です。

女性)利用処分意思をもう少し詳しく言うとどうなりますか?
私)その物の経済的用法に従い利用し処分する意思です。

女性)この場合、どちらの意思が欠けますか?
私)はい、捨てるつもりなので利用処分意思が欠けます。

女性)そうすると、その他の物については何罪も成立しないのですか?
私)器物損壊罪が成立すると思います。

女性)窃盗の実行の着手はありませんか?
私)そか、えー、窃取の結果発生に至る密接な危険があるから、実行の着手があると思います。ので、窃盗未遂が成立します。

女性)では、Aが現金を取るつもりでバッグを取ってみたら、現金は無かったとします。この場合、何罪が成立しますか?
私)えーそうすると他の物は捨てるつもりでしかないので、器物損壊罪が成立します。

女性)窃盗未遂についてはどうですか?
私)あ、なるほど。。。えー、そうですね、この場合、、不能犯が、問題になると思いまして、えー、一般人の基準で考えたら、出歩くときにお金をもたないはずはないと思いますので、お金がある可能性が高いから、占有移転の危険性があり、実行の着手があると思います。そのため、窃盗未遂が成立します。
(主査副査、「一般人の基準で考えたら」以降大きくうなずく)

女性)<質問内容うろ覚え>Aはその他の物について破棄するつもりでも、Vとしてはバッグを取られて悔しいですよね。その点からしても窃盗罪の既遂にはなりませんか?
私)はい、たしかにそうともおもえます。しかし、窃盗と器物損壊は、犯行時の客観的な行為態様は共通ですから、どうしても不法領得の意思で区別するしかないと思います。そして、不法領得の意思は主観的事情ですから、Aにその意思がない以上、責任主義の観点からも窃盗罪は成立しないと思います。

女性)そうですか。では、また事案がかわります。Aは、現金、財布、携帯電話を取るつもりでVからこれをかすめとり、帰宅しました。翌日、Aは、犯行発覚を恐れて携帯電話は捨てようと思い、捨てました。この場合、何罪が成立しますか?
私)ふかば、共罰的事後行為です。
(あれ、どっちだっけ?ええい)

女性)はい。私からは以上です。
男性)続いて私から質問します。Aは、窃盗の被疑事実で逮捕・勾留されました。検察官は、やむを得ない事由があると考え、10日間の勾留期間を、延長したいと考え、延長請求をしました。この場合、裁判官は、やむを得ない事由について、どのような点を考慮して延長するかどうかを判断しますか?
私)捜査の必要性とAの身体の拘束の不利益を比較して判断します。

男性)捜査の必要性とは具体的にはどういったものでしょうか?
私)被疑事実について起訴不起訴の判断ができる程度の捜査が完了したかどうかです。

男性)なるほど、そのような捜査が完了していない、ということであれば、捜査の必要性があるということですね。
私)はい。

男性)では、そのような捜査はもうできている、と裁判官が思った場合はどうしますか?
私)(問題を聞き違えて)延長を認めます。

男性)もう一度言いますね。(同上)
私)失礼いたしました。はい、そのような捜査がもうできている、ということであれば、延長は認めず、延長請求を却下します。

男性)では、事案を少し変えて。検察官が10日間の延長を請求したのに対し、裁判官は3日で済むと思った場合、裁判官はどうしますか?
私)3日だけ延長します。

男性)では、3日間の延長が決定されましたが、検察官は、3日で必要な捜査を遂げられませんでした。この場合検察官はどうしますか?
私)再度延長請求します。

男性)この場合、延長期間は最大何日ですか?
私)通じて10日で、3日たったので、残り7日間です。

男性)では、Aが窃盗の被疑事実で起訴されました。Aは被疑事実を認めています。検察官はVの被害感情をまとめた供述調書を証拠調べ請求しました。この後、裁判所はどのような手続きをしますか?
私)はい、被告人又は弁護人の意見を聞きます。

男性)そのあとはどうしますか?
私)はい、それを受けて証拠調べの決定又はその却下決定をします。

男性)では、弁護人はこの供述調書の証拠調べに同意したとします。裁判所は、どのような点を考慮して証拠決定をしますか?
私)(326の相当性の話かな?)証拠とすることの相当性があるかで判断します。

男性)相当性とは具体的には?
私)えー、例えば、今回はAが被疑事実を認めていますが、例えば、捜査機関側が何か、Aに働きかけて虚偽の供述をさせたような場合には相当性が否定されます。(もうひとことふたことごちゃごちゃいう。そのなかで「(326の)同意があっても証拠能力がない」といった趣旨のことをいった。)

男性)んー、なんでも取り調べてよいということはないですよね。
私)はい。。。あ、そうですね、違法収集証拠は排除されます。

男性)そうですね。他に何かないでしょうか?
私)えー、あ、関連性です!

男性)そうですね、関連性を判断しますね。ところで、先ほど同意があっても証拠能力がないといったことをおっしゃいましたが、証拠能力が否定されますか?
私)失礼しました。同意があれば原則として証拠能力が認められます。

男性)はい。では、AとVとで示談が成立しました。Aの弁護人は、その示談書を証拠調べ請求しました。関連性の観点から、裁判所は、これを証拠調べできますか?
私)はい、情状に関するので、量刑資料として証拠にできます。

男性)では、Aが過去に常習として同様の窃盗を行っていたとします。検察官は、同種前科調書を証拠調べ請求したとします。裁判所は、これを証拠決定できますか?
私)確認したいのですが、今回は、常習窃盗罪で起訴されていますか?

男性)いえ、単純窃盗罪です。
私)それであれば出来ないと思います。

男性)なぜでしょうか。
私)過去の同種前科は、悪性格の立証となって誤判のお、そ、れもあり、、、(この辺で、量刑資料でできるなと思いつつ、一応、言い切ってみようと思いました)今回の被疑事実と関連性がないので出来ないと思います。

男性)さきほど示談書が量刑資料となるとおっしゃいましたが、今回はどうですか?
私)失礼しました。量刑資料であれば、関連性があります。

男性)なぜ関連性があると考えますか?
私)はい、Aに今回の事件と同種前科があるとすると、再発防止といったAの更生のことを考えて、重く処罰することも考えなければならないからです。

男性)はい。では倫理について伺います。あなたはAの国選弁護人です。Aの家族から、この国選事件について報酬はもらえますか?
私)弁護士職務基本規程49条1項に反し、もらえません。

男性)では、あなたは、Aから、今回の事件の腕を買われて、Aの債務整理を依頼されました。あなたは、どうしますか?
私)うーん、難しいですね。債務整理ということは今回の国選事件とは別の事件だと思います。規定上は別の事件を制限していないと思いますので、、、依頼を受けて良いかと思います。

男性)たしかに、規定上はそのようになっています。一方で、国選事件をきっかけにしたものか区別がつかないので、避けるべきという考え方もあります。あとで勉強しておいてください。
私)はい、ありがとうございました。

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体感、10-15分程度。雰囲気はなごやか。優しい感じの方々。なので、受け終わったあとはすがすがしい気分だったが、こうして再現にしてみると、かなり誘導していただいていることがわかる。。。他の方も出来がよかったそうなので、相対的に沈んでいないか心配になってきた。


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