R5司法試験_再現答案構成_刑法

第1 設問1
 1 (1)
(1)250条、246条1項
(2)「欺」く行為の定義→同罪の実行行為
 「実行の着手」に関するクロロホルム判例規範
 このような場合には、同罪が「人を欺いて財物を交付させ」るという手段・態様を限定した犯罪であっても、現金の交付を求める文言を述べることを要しない。
よって、本問では、このような「実行の着手」があり、かつ、「人」「財物」要件Ok。「交付させた」という結果不発生。
(3)よって、同未遂罪。
2(2)
(1)⑤の時点で実行の着手が認められる。
(2)④の時点では、実際に相手方が現金を引き出したのみであり、その後、甲にいつ連絡をするか不確定であるから近接性、ないし特段の支障要件を満たさない。
 ⑤の時点で、甲がAの引き出しを確認し、これから警察官がそちらに向かいます、とうそを言い、その1時間後という近接した時間に、A宅という、⑤の電話がなされた場所と同じ場所で、乙・丙がA宅を訪ねるという⑥を行い、上記実行行為に至る。よって、両要件も満たす。

第2 設問2
 1 乙・丙
(1)強盗傷害罪の共同正犯(240条、60条)
 236ⅠのTb認定(a)。
(2)また、共同正犯は、共謀と共謀に基づく実行行為。
(3)共謀認定。また結果的加重犯の共同正犯の規範。強盗から傷害結果→一律強盗傷害罪。強盗致死罪不成立→暴行罪の暴行よりも強度といえるため、やむを得ない。
 そして、因果関係→危険の現実化。Bが静止に従わず立ち上がったのは、奪われた品の確認→異常性は小さい。
 よって、行為①と同傷害結果との間に因果関係がある。
(5)よって、行為①に、強盗傷害罪の共同正犯が成立する(b)。
(6)よって、乙・丙に、(a)(b)の罪が成立し、(a)は(b)に吸収。
2 甲
(1)甲に、強盗傷害罪の共謀共同正犯(240条、60条)が成立?
 では、行為①は共謀に基づく実行行為といえるか。
 甲らの共謀と行為①との間には、犯意・動機の継続性がある。しかし瑕疵ある意思か、犯行抑圧かでは、行為態様が大きく異なる。まら、甲らは常習的に詐欺。よって、共謀に基づく実行行為とはいえない。
 そして、両者の態様が大きく異なるから、甲には強盗の故意(38条1項本文)もない。
 よって、強盗傷害罪の共謀共同正犯(240条、60条)は成立しない。
(2)甲は、詐欺罪(246条1項)の実行の着手
 そのため、同罪の未遂(250条、246条1項)が成立する(c)。
(3)甲が、乙・丙から上記Bの現金300万円のうち100万円を山分けした行為(以下「行為②」)に、盗品等無償譲受罪(205条1項)が成立。
 Tb認定。
 詐欺罪も強盗傷害罪も「財産に対する罪」→構成要件的に重なり合うから故意OK。
 なお、同罪は、本犯には成立しない→可罰性が認められないから。違法・責任いずれの要素にもあたらない。そのため、故意は阻却されない。
 よって、行為②に同罪が成立する(d)。
(4)よって、甲に(c)(d)の罪が成立し、両者は併合罪。

第3 設問3
 1 「虚偽の風説の流布」や「偽計」(233条)×
 また、「業務」(234条)には、強制力を伴う権力的公務を含まない。これは人の意志を制圧するに足りる勢力たる「威力」に対抗しうるから。
 よって、同罪の「業務」にあたらず、同罪は成立しない。
 2 「偽計」(233条)OK
強制力をもってしても、偽計は排除できないから同公務も「業務」。
そして、「妨害」あり
よって、同罪の故意のある丁には、偽計業務妨害罪が成立する。

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