R5司法試験_再現答案構成_経済法

※一度upした再現答案の構成のみをupします。コメント等くださった方々、申し訳ございません。
設問2で、拘束条件付き取引は?とのコメントをいただきました。その筋の方が良い気がします。私は勉強不足で思い至りませんでした。。。

第1問
第1 (1)
1 本問計画は、「不当な取引制限」(独占禁止法(以下「法」)2条6項)にあたり、法3条後段に反しないか。
 2 X社は「事業者」(法2条前段)。Y社は、「他の事業者」。
3 「共同して」の規範。
 本問計画におけるOEM契約は、「相互に」どちらかが小型または大型甲の製造をやめることを認識し、これと歩調をそろえ、双方の当該製造「事業活動を相互に拘束する」る意思の連絡がある。
よって、「共同して・・・拘束する」の要件を満たす。
4 「一定の取引分野」の規範。
 ①国内における大型甲の製造販売分野、②国内における小型甲の製造販売分野、がそれぞれ画定される。
5 「競争を実質的に制限する」の規範。
(1)①市場において、実質的にはXが製造した大型甲がシェア60%を占めることとなり、過半を超える。また、輸入圧力がない。そして、大型甲及び小型甲のいずれについても、製造受託者から製造委託者に対する供給価格は、それぞれの需要者向け販売価格の8割程度で、X・Yが互いの販売価格を予測できる。よって、X・Yが対価の引き上げ等を行うことが容易とも。
もっとも、需要者圧力が大きい。また60%にすぎず、Zが40%のシェアを有しており、そのシェアを漸増させており、その製造能力にはかなりの余力がある。一方、X・Yのシェアは漸減しており、特にXの製造余力は乏しくなる見込み。そのため、X・Yが価格の引き上げ等を行っても、Zがこれに対抗しうる。
よって、X・Yがある程度自由に価格等各般の条件を左右しうる状態は生じない。
なお、本問計画を行わないとしても、Yは20%から今後更にシェアを落とすことになり、市場から排除されるおそれ。すると、競争主体が減少→本問計画は、法の目的(法1条)に反しない。
(2)②市場において、実質的にはYが製造した小型甲がシャアの40%を占めるが、過半を超えない。4社がしのぎを削り競争者圧力は大きい。需要者圧力が大きい。そのため、Z・Wが対抗しうる。
よって、X・Yがある程度自由に価格等各般の条件を左右しうる状態は生じない。
6 よって、「競争を実質的に制限する」の要件をみたさない。
7 よって、本問計画は、「不当な取引制限」にあたらず、法3条後段に反しない。

第2 (2)
1 本問計画は、法15条の2第1項1号に反しないか。
2 同計画において、「会社」Xは「他の会社」Yと「共同新設分割」を行う。
3 「一定の取引分野」について(あてはめのうえ)、①②市場のほか、③国内における乙の製造販売分野が一定の取引分野として画定される。
4 「競争を実質的に制限することとなる」
(1)③市場
 本問計画により、SとZの2社のみとなる。新規参入圧力や輸入圧力もない。よって、Zにある程度の製造余力があっても、Sが単独で価格等各般の条件を左右しうる蓋然性がもたらされうる。
 また、協調的な対価の引き上げ等を行う可能性が高い。よって、新規参入圧力や輸入圧力もないため、同蓋然性がある。
(2)①②市場
 同計画後、Sが、Z・Wに供給を拒絶→Z・Wは、他の代替的取引先を見いだせず、同市場から排除。X・Yが単独で・・・同蓋然性がある。
 また、X・Yが、SとZ・Wの取引を通じてこれらの販売価格等の情報を入手しうる。これにより協調的な対価の引き上げ等を行う可能性が高い。よって、同蓋然性がある。
(3)よって、「競争を実質的に制限することとなる」の要件を満たす。
5 X・Yは、Zに比べ、乙の製造コスト面で不利な状況にあり製造コストの低減を図る目的→正当なものとはいえない。
6 よって、同計画は、法15条の2第1項1号に反する。
7 なお、解消措置として、従前のZ・Wへの供給量を維持。
  SとX・Yとの間で情報遮断措置。

第2問
1 共同直接取引拒絶(独占禁止法(以下「法」)2条9項6号イ、一般指定1項1号)にあたり、法6条に反しないか。
(1)リース4社は「事業者」(法2条前段)にあたり、相互に「競争者」にあたる。
(2)「共同して」の規範。そして、意思の連絡につき推定3要件の規範。
 あてはめ。
 なお、dは会合の途中から発言をしなくなったが、dは上記情報交換を呼びかけた者であり、a、b、cの発言に異を唱えることはなかった。また、a、b、cは、Dがメーカー2社による直接リースの影響を大きく受けることを知っていた。そのため、上記推定を覆す事情もない。
 よって、「共同して」「ある事業者から・・・拒絶し」たといえる。
(3)「正当な理由がないのに」の要件について、同号の公正競争阻害性(法2条9項6号柱書)は、競争排除による自由競争減殺にある。
 そして、かかる自由競争減殺があるかを判断する前提として、市場を画定する。(リースと購入についての問題文を引用)需要者にとって、購入とリースとでは代替性がない。
 よって、①国内における甲の製造販売分野、②国内における甲のリース分野がそれぞれ市場として画定される。
 ア ①市場において、リース4社は、上位約22%のシェアを占める。そして、他の購入者で3%以上の割合を占める者はいない。そして、甲の需要の鈍化。リース4社から取引を拒絶されれば、メーカー2社は、他の代替的な取引先を容易に見いだせることができなくなる。そして、同市場において、メーカー5社は、それぞれ約20%のシェアを有していることからすれば、メーカー2社は、同市場から排除される可能性が高い。
 イ ②市場において、上記申し入れにより、メーカー2社は、直接リースを行わないこととするに至ったから同市場から排除される。
 ウ よって、競争排除による自由競争減殺のおそれがあり、公正競争阻害性がある。
 エ また、リース4社は、上記申し入れにつき、リースに関する知見が乏しいメーカーがリースを行うと需要者に対して十分な説明ができないこと、リース事業者への需要者の信頼を失わせること、を理由としている。しかし、これらは観念的な想定にすぎず、必要性・相当性を欠くから、法の目的(法1条)に沿うものとはいえない。
 (4)よって、同行為は、共同直接取引拒絶にあたり、法6条に反する。
2 上記行為は、共同間接取引拒絶(法2条9項1号ロ)にあたり、法6条に反しないか。
(1)上記会合での意思の連絡の内容は、メーカー2社という「他の事業者」に、甲のリース需要者という「ある事業者」に対する「役務の・・・内容を制限」させることにあたる。
(2)「正当な理由がないのに」について、上記行為により、他のメーカーは、直接リースを今後行うことを断念することとなり、②市場において競争が排除される。
よって、自由競争減殺による公正競争阻害性がある。
 また、メーカーは、需要者に販売することは自由にできるのだから、リースを行う必要はないというリース4社の上記行為に至る理由は、自由なリース事業を阻害する理由として正当なものではなく、法1条の目的に沿うものではない。
(3)よって、上記行為は、法6条に反する。
3 また、上記行為は、排除型私的独占(法2条5項)にあたり、法3条前段に反する。


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