再現答案 R4 予備試験 民事訴訟法

第1 設問1
1 ①
(1)Xは、権利能力なき社団である。また、当事者能力を有する。そのため、「法人でない社団・・・できるもの」(民事訴訟法(以下略)37条、29条参照)にあたる。そのため、Xの「代表者」Aは、Xの法定代理人として訴えを提起しうる(37条)。
(2)もっとも、訴訟手続きの安定、基準としての明確性と、当事者保護の調和の点から、代表者に、係争物の処分権限の授権がない場合は、37条は適用されないと解する。
(3)Xの意思決定は、原則、Xの構成員全員による多数決によるが、不動産等の重要財産を処分するにあたっては、構成員の3分の2以上の特別の同意を要する。①の訴えの係争物である甲土地は、自動車愛好クラブであるXの構成員が、車の部品などの資材置き場に使用している。そのため、甲土地は、Xにとっての重要な不動産といえる。よって、①の訴えの提起には、上記特別の同意が必要といえる。
 もっとも、Xの構成員のうち、相当数の者が、Yに対する訴えの提起に反対していることから、上記同意が得られない可能性は高い。
(4)よって、上記同意がえられれば、①の訴えは適法だが、えられなければ違法である。
2 ②
(1)②の訴えがXの構成員全員を原告として提起される場合、甲土地の総有権の帰属主体は、Xの構成員全員にあるから、適法である。
(2)もっとも、上記のとおり、Xの構成員の相当数は、訴え提起に反対している。そのため、一部の者のみを原告として訴えを提起することは可能か。本問訴えが固有必要的共同訴訟であれば、Xの構成員全員が当事者として参加しなければ、当事者適格が認められないので、本問訴えが固有必要的共同訴訟か検討する。
 固有必要的共同訴訟かは、①実体法上の管理処分権を基準とし、②紛争解決の実効性等の訴訟政策的観点を加味して判断する。
 本問訴えの訴訟物は、甲土地の総有権である。総有権は、総有者全員に総有的に帰属するから、各構成員に甲土地の管理処分権はない(①)。それゆえ、甲土地の総有権がXの構成員全員に帰属することが認められても、反対者はこれを蒸し返すことができない(②)。  よって、固有必要的共同訴訟ではない。
 よって、一部の者のみを原告としても②の訴え提起は、適法である。
第2 設問2
1㋐
(1)本件別訴提起は、重複起訴の禁止(142条)に反しないか。
(2)同条の趣旨は、矛盾判決の防止、訴訟不経済、被告の応訴の煩、の防止にある。そこで、重複する訴えか否かは、①訴訟物の同一性、②当事者の同一性から判断する。
(3)本件訴訟の当事者は、XとYである。本件別訴の当事者も、原告被告の入れ替わりはあれど、XYで同一である。
 本件訴訟の訴訟物は、甲土地の総有権である。本件別訴の訴訟物は、甲土地の所有権に基づく土地明渡請求権である。両者は、同一ではない。
(4)よって、重複の訴えにあたらず、本件別訴提起は、適法である。
2㋑
(1)確定判決の判断内容の後訴における基準性ないし拘束力たる既判力(114条1項)の根拠は、当事者への手続き保障であり、その機能は、紛争の蒸し返しの防止にある。
 基準としての明確性から、既判力は、「主文に包含されるもの」(同項)すなわち、訴訟物たる権利または法律関係の存否についての判断内容に生じる。そして、上記根拠より、継当事者は、事実審口頭弁論終結まで資料を提出できるから、その基準時は、同時点である。
 よって、前訴判決の既判力は、本件訴訟の口頭弁論終結時において、Xに甲土地の総有権がないことについて生じる。
(2)そして、既判力は、後訴の訴訟物が、前訴の訴訟物と、矛盾、先決、同一関係にある場合に後訴に作用し、上記手続き保障の観点から、前訴と同一の当事者間に及ぶ。
 後訴の訴訟物は、甲土地の所有権に基づく土地明渡請求権である。総有権と所有権は、総有関係という違いはあれど、目的物を使用、収益、処分する権能の点では共通するから、総有関係の限りで所有権と同一であると解する。
 よって、前訴訴訟物は、後訴訴訟物の先決問題の関係にある。そして、前訴と後訴の当事者はXYで同一である。
 よって、前訴判決の既判力は、後訴に作用し、XY間に及ぶ。
(3)よって、後訴提起は既判力に反し不適法である。

<コメント>
設問1:
(1)
・当事者のテーマは、ぼんやりとしか理解していなかったので、なかばやっつけで書いた。
・あくまで誘導文の前提であり、問題文の前提ではない?
一応、「団体としての組織を有し・・・」を書くべきだったか・・・
・正直、Aを法定代理人にしてよいのかわるいのか、どっちかぜんぜんわからなかった。なんなら、最初は、形式的に認められる説にしたが後で無理やり修正した。
・①の方法による訴え、とかにしておいた方がよかったかな。①も②も同じ内容の請求だし。単に、提起の仕方が違うだけで。
(2)
・問題文で、「Xの構成員らを原告として」という縛りがあるから、典型的な「反対者を被告に」という論述をしなかったが、思い過ごしだったかもしれない。。。総有概念がよくわからず、無理やり固有必要的共同訴訟ではないことにしたが・・・
いや、反対者の手続き保障は?
やっぱりあれだ。反対者を被告とすべきだった・・・迷いは書くべきだね
設問2:
前段:「係属する事件」の認定をしておくべきだった。
後段:棄却判決やんけ・・・やっちまった・・・あほか。Xに総有権がないことと、Yが所有権のあることは、同時に両立するから、前訴判決の判断内容と矛盾しないだろ。しかも、作用するかだけきかれとんねん。


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