再現答案 R4 予備試験 法律実務基礎科目(民事)

第1 設問1
1(1)請負契約に基づく報酬請求権及び履行遅滞に基づく損害賠償請求権
2(2)被告は、原告に対し、300万円及びこれに対する令和4年5月29日から支払済みまで年3分の割合による金員を支払え。
3(3)(あ)Xは、令和4年2月8日、Yに対し、本件工事を報酬1000万円で請け負った。
(い)Xは、令和4年5月2日、Yに対し、(あ)の請負契約に基づき、本件建物を引き渡した。
(う)Xは、(い)の際、Yに対し、(あ)の請負契約に基づく報酬債務の履行として1000万円の支払を求めた。
4(4)
(1)請負契約に基づく報酬請求権
 同請求権は、請負(民法632条)契約の締結により生じるところ、これは(あ)に現れる。また、同請求権は、目的物の引き渡しと同時履行の関係にあるから、同契約に基づく引き渡しの事実は、(い)に現れる。
(2)履行遅滞に基づく損害賠償請求権
 同請求権の発生には、①債務の発生原因事実、②債務が履行可能であること、③履行期の経過、④履行期に履行がないこと、⑤遅滞の違法性、⑥債務者に帰責事由があること(同415条1項ただし書き)、⑦損害の発生とその額、⑧因果関係(同項本文)が必要である。
 このうち、①は、(あ)に現れる。②は、債務は履行が可能であることが通常であるから、これを争う相手方が履行の不能を主張すべきである。また、③は、(い)及び(う)(同415条3項)により現れる。④は、消極的事実であるから、争う相手方が、履行の事実を主張すべきである。⑤は、(あ)で報酬請求権に同時履行の抗弁権(同533条)が付着することが現れるから、その存在効果を否定し、遅滞の違法性を基礎づけるため引渡債務の履行の事実を主張する必要があり、これは(い)に現れる。⑥は、ただし書きであることから、債務者の側で、債務者に帰責事由がないことを主張すべきである。⑦は、同419条1項、2項により、⑧は、同3項により、主張不要である。
第2 設問2
1(1)
(1)(i)Yは、令和4年5月28日、Xに対し、本件契約に基づく報酬債務の履行として700万円を支払った。
(2)(ⅱ)本件訴訟の請求は、明示的一部請求である。本件契約に基づく報酬債務の全額は1000万円であることが請求原因事実(あ)から明らかとなる。これについて、(イ)のみでは、300万円の債務の消滅しか認められず、残額の債務の消滅が認められないから全部又は一部認容判決がなされる。そのため、(ア)の事実が必要である。
2(2)
 請負契約における契約不適合を理由とする債務不履行に基づく損害賠償請求権と、報酬債権は相殺することができる。そのため、Qは、本問損害賠償請求権を、本件訴訟の訴求債権と対当額で相殺するとの相殺の抗弁を提出することが考えられる。
第3 設問3
1 XとYが本件契約を締結した事実(以下「本件事実」)について、本件契約の契約書は存在しない。これは、XYが十年来の仲だからであり、同契約書の不存在には合理的理由がある。
2 Xが、令和3年末頃に、本件建物を見に行ったことは、XYの供述が一致するため認められる。その際、Xは、本件工事の報酬が1000万円になることを伝えた。これは、その成立の真正が認められる本件見積書①からも裏付けられる。そして、Xは、令和4年2月2日にYに対し①を交付し、Yは、同月8日、本件工事を報酬1000万円で発注すると言ったので、本件事実が認められる。
3 これに対し、Yは、報酬が700万であると供述し、その証拠として本件見積書②を挙げる。たしかに、②はXが作成交付したが、これは、Yが本件工事について、賃貸人に承諾を得るためにXに作成を依頼した虚偽のものであり、現に、工事の実態と一致しない。
 Yは、かかる不一致は、Xのサービスによるものと供述するが、そのようなサービスをXがした事実はない。また、かかるサービスがなされたことについて、合理的な説明がない。
 また、Yはこれを賃借人に見せたというが、その証拠はない。
4 また、Yは、①は、銀行から運転資金300万円を上乗せした融資を受けるために、Xに依頼して作成させたものと供述する。しかし、現実の融資額は700万円であり、300万円の融資が得られなかったことについて、Yから合理的な説明はない。
5 よって、Xの供述は、客観的事実や証拠と整合し信用できる一方、Yの供述はこれらと整合せず、合理的説明もないから信用できない。よって、Xの供述どおり、本件事実が認められる。
第4 設問4
1 結論
 できる
2 理由
 強制執行の不許を求めるための異議事由は、口頭弁論終結後に生じたものに限られる(民事執行法35条2項)。もっとも、相殺権の行使の意思表示が、口頭弁論終結後になされていれば、口頭弁論終結以前に相殺適状にあったとしても、異議事由として認められるからである。

<コメント>
設問1:
(3)初見の瞬間、請負をおさらいしなかったことを後悔。たぶん請求原因ちがう。
(4)完結に、といわれつつ、長くなった。特に(2)。判例の踏まえどころがよくわからなかった。おそらく、請負において、成果物の完成の主張は必要か、といった論点があったか。うろ覚え。
設問2:
(2)「全部又は一部認容判決」ではないね。欲張らずに、認容判決とだけぼかせばよかった。外側説にも触れておいた方がよかった。
設問3:
2 Yの発注の事実だけでなく、Xがこれを請け負ったことも書かなくては・・・
4 現実の融資額は700万円であり、これは本件事実どおり報酬が700万円であったことと整合する。300万円の融資が得られなかったことについて、Yから合理的な説明はない。
設問4:めちゃくちゃかいつまんでしまったがこれでよかったのか・・・



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