R5司法試験_再現答案構成_商法

第1 設問1
 1 小問1
(1)善管注意義務(330条、民法644条)
 経営判断原則+利益相反=妥当性欠如(Not著しく)
 あてはめ
 利益相反取引(356条1項3号)認定
 社会通念上妥当性を欠き、上記善管注意義務に反する。
(2)Aは、甲の経営は順調→同義務に反しないと反論
しかし、客観的に利用されていない土地を購入それ自体が損害。
よって、上記反論は認められず、上記差額4000万円の「損害」が同契約に「よって」生じたから、Aは、かかる損害賠償責任を負いうる。
(3)A、一人会社と反論すなわち424条の同意。
 しかし、現在、他の株主がいる場合には、その同意も要する。
(4)よって、本問請求は認められる。
 2 小問2
 429条1項は法定責任
 取締役は、会社債権者に損害が生じないようにする善管注意義務を負う。
Aは枯渇することを予見。しかし同預金を取り崩し債務超過等。
 そのため、同義務違反につき、少なくとも重過失がある。
(3)そして、かかる任務懈怠に「よって」会社債権者すなわち「第三者」たる乙は、本件債務を回収できず、その額3000万円につき「損害」が生じた。
(4)よって、本問請求は認められる。
第2 設問2
 1 小問1
(1)原告適格
 Iは、「株主」(831条1項)?
 しかし、831条1項の訴えは、共益権として保存行為(民法252条5項)の性質を有する。
 よって「株主」にあたる。
(2)訴えの利益
  イ 決議2で再任→決議1を取り消す実効性がないとも
 しかし、総会2でC、D、Iが出席していない。
そして、総会2の時点で、H・Iの本件準共有株式について、議決権行使の指定がない。
 106条と民法252条の規範。よって、甲の同意無効。
 そのため、共有株式については、議決権を行使することができないから、残り2万株のうち、B1万株しか議決権を行使しておらず、定足数を満たさない(341条)。よって、決議2は、決議の方法の法令違反(831条1項1号)
 ウ よって、決議1を取り消す実効性があり、訴えの利益がある。
(3)本件訴えに係る請求が認められるか
 ア 126条4項により、H・Iのどちらか一方に対して通知すれば足りる→法令違反はない。
 イ Aは、Hが同株式を行使した点が、決議の方法の法令違反(831条1項1号)と主張する。
 上記のとおり、同株式につき議決権を行使できない。
 よって、決議の方法の法令違反がある。
 しかし、同株式について、上記のとおり議決権行使ができないところ、残り2万株の全員であるB、C、Dが議決権を行使し、賛成しており決議に影響がない。また、H・Iの帰責大。違法が重大とはいえない。
よって、裁量棄却(831条2項)もない。
 ウ よって、上記請求は認められない。
2 小問2
(1)決議2では、甲の同意にもとづきH・Iが同株式の全部について議決権を共同行使。定足数要件は満たす。
 そのため、決議の方法の法令違反はない。
(2)また、「特別の利害関係を有する者」(831条1項3号)→
取締役や株主、その配偶者が新たな取締役候補者となることは十分あるから、これらの者は取締役選任決議にて特殊な利益を有さず、「特別の・・・者」にあたらない。
そして、B、H、Kはこれらの者にあたる。
よって、同号違反もない。
(3)よって、決議2により、決議1の瑕疵は治癒。本件訴えの訴えの利益はない。

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