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【創作メニュー部門受賞しました!】ごちうさ楽曲感想文&創作メニューコンクール

 ごちうさ公式で開かれていた夏休みの宿題企画に投稿したもののまとめ記事です。

【9/19追記】な、なななななななな何と! おかげさまで、創作メニュー部門で優秀賞を受賞してしまいました。受賞したメニューだけ見てみたい、という方は目次から創作メニュー編に飛んでください。


(感想文)書く前に考えていたこと

 今回のコンクール、景品がある以上は入賞を狙いたいものですが、はてさてどういう方向性で攻めたものか……? 結構これは悩みました。王道なのは純粋に曲や歌詞の解釈を書くという方向性でしょう。が、今回審査するのは作品スタッフやクリエイターの皆様、つまり「ごちうさ」に最も精通している人達です。あまり普通過ぎる解釈を書いても「いやそんなの言われなくても分かってるし」となりそうですし、尖りすぎた解釈を書くと今度は解釈違いが怖い。もう一つの方向性としては「自分の経験や体験談に引き付けて書く」というのがあります。これはオリジナリティが生まれやすいのですが、一方であまりに引き付け過ぎると「これもはや音楽と関係ないのでは……?」という怪文書が生まれがちです。

 幸い15枠も提出できるので、バラエティ富んだやつを出した方が打率が上がるだろう(し、読んでるほうも飽きないだろう)という目論みで、「純粋に曲や歌詞の解釈を書くもの」と「自分の経験・体験に引き付けて書くもの」を半々くらいの構成にしつつ、イロモノ枠的なものを少々混ぜていく方向で書いてみました。イロモノ枠は内輪ネタ的な経験を書いたものだとか、完全に一目でそれと分かるネタ(創作)に走ったものだとか、選曲の仕方そのものがレギュレーション違反の疑いがあるやつだとかがあります。御託はこのへんにして15曲、行ってみたいと思います。


感想文&作品へのメッセージ 15本

1 てくてくマーチングマーチ
チマメマーチ大阪の思い出

てくてくマーチングマーチと言えばライブのチマメマーチのテーマ曲。チマメマーチ大阪は、私にとって人生初めての遠征ライブでした。当日の朝に大阪に着くと、慣れない土地にやや緊張しながらも、まずは当時上映していたDMSの劇場特典目当てでなんばの映画館に足を踏み入れてみました。すると同じ考えの人が多かったのか、映画館の中にはごちうさのグッズを持ちTシャツを着た、私と同じ遠征参加者らしい人たちがたくさん! そしてライブ会場では、ネットで知り合った他の参加者に勇気を出して話しかけてみたら、まさかの(?)私と同じ東京からの参加者。「どちらからの旅ですかと聞いてみたら意外と近くて」とはまさにこの事だなと思いました。ホテルで一夜を明かした後は梅田で橋本監督を迎えての舞台挨拶があり、まるでごちうさ強化合宿のような楽しさがありました。この曲を聞くと、あの楽しかった大阪での一泊二日のことを思い出させてくれます。

【作品へのメッセージ】

ごちうさという作品は、物理的・距離的な意味でも、新しい世界の経験や体験という意味でも私を色々なところへ連れて行ってくれました。いよいよBLOOMも始まってますます盛り上がっていくごちうさが、今度は私をどこへ連れて行ってくれるのか、本当に楽しみです。

2 Everyday Level Up!!
謎多きレディー・条河麻耶の等身大の日常

マヤちゃんと言えば元気でストレートな性格のイメージですが、実はごちうさでも一番謎の多いキャラだと思っています。アニメでも原作でも、お家で何をしているのか描かれたことはほとんどありません。部屋も出てきていません。家族構成もお兄さんがいることしか分かりません。チノからも「私たちに内緒が多いです」と言われています。繊細で気遣い屋のマヤちゃんの素のままの姿は、意外と原作やアニメでは登場していないのかも。そんな観測困難だったマヤちゃんの等身大の姿を描き出してくれたのがこのEveryday Level Up!!です。「マヤちゃんでも月曜日はブルーになったり、ちっぽけな悩みでクヨクヨしたりすることもあるんだ」「土曜日の夜はテレビ前でじっくり腰を据えてゲームしたくなるの、分かる!」可愛らしいメロディーに乗せて歌われる飾らないマヤちゃんの日常を聞いて、マヤちゃんにとても親近感が湧くようになりました。

【作品へのメッセージ】

木村有希さんの手掛ける曲が本当に好きです。素朴で可愛らしいメロディーはごちうさ楽曲の中でも特にチマメ隊のキャラソンにとても良く合っています。同じキャラソンシリーズの中に登場するEveryday Level Up!!とFUN!FUN!、素敵なダンスタイムの3曲を合わせて「木村チマメ隊三部作」と勝手に呼んで崇拝しています。これからも木村さんを応援しています!


3 ショコラティーヌ de 3時
こだわりのパン屋を探して

ショコラティーヌとパン・オ・ショコラとは同じチョコ入りのパンのことを指していて、フランス国内で地域によって呼び方が違うのだそうです。甘くとろけるチョコパンのような魅力のあるこの曲に影響されて、私は一時期パン屋巡りにハマっていたことがありました。当時私が住んでいた場所は全国でも屈指のパン屋激戦区だったこともあり、自転車に乗って多い時には1日5軒以上のパン屋を巡っていました。新しい店に入るたび「ショコラティーヌ」を置いていないか探すのですが、しかし置いてあるのは「パン・オ・ショコラ」ばかりで、ココアちゃんと同じ「ショコラティーヌ」呼びにこだわりのある店はついに見つけることが出来ませんでした。かの聖地フランスまで行けば、「パン・オ・ショコラと呼ばないこだわり」を持ったパン屋さんに出会うことが出来るでしょうか。いつか行ってみたいものですね。

【作品へのメッセージ】

「いつか行ってみたいものですね」と本文では書きましたが、実はコロナ禍がなければ今夏にもコルマール巡礼をする予定でいました。海外旅行だけでなく、国内旅行や帰省、飲み会やライブなど、楽しいイベントを中止せざるを得ない世の中ですが、そんな中でもたくさんの楽しいことを提供し続けてくれるごちうさスタッフのみなさんには本当に感謝しています(そしてたくさんの夏休みの課題もありがとうございます!)。

4 ときめきポポロン♪
卒業式の最後のチャイムの音

ときめきポポロン♪の「ポポロン」とは何なのか。ずっと考え続けた結果、ついに原作に答えを見つけました。原作7巻7話、チマメ隊が卒業前に思い出の動画を撮ろうとする話のタイトルが「ときめきポポロン」となっています。気づいたのですが、(当時そのつもりで作詞されたかは分かりませんが)この曲の歌詞はかなり卒業ソングっぽいと思います。「どんな未来の私たちが見えているのかな」「何十年後もトモダチだよ」「明日も追い越して」……昨日から今日、今日から明日へと繰り返す日常のルーティンを追い越して「その先」へと進む瞬間。チマメ隊の人生が新たなステージへと進む、卒業の瞬間を、まるで思い出の動画のように切り取ったのがこの曲だと思いました。そう、「ポポロン」とは、チマメ隊が卒業式の日の最後に聞いた、中学校のチャイムの音だったのではないでしょうか。

【作品へのメッセージ】

楽曲のタイトルが原作でも使われたり、楽曲の中で出てきた要素が原作のストーリーに出現したりと「逆輸入」現象が起こるのもごちうさの魅力の一つだと思っています。これからも原作・楽曲ともに推して参ります。


5 わーいわーいトライ!
秀逸なダブルミーニング

この曲が出た頃と言えば、ちょうどDMSの上映がひと段落した頃。私たちの間で「いよいよ3期製作が発表されるのでは」という願望の高まっている頃でした。当時の私は「トライというのは『挑戦』だけでなく『3』の意味もある、つまり3期が来るということなんだよ!」と周囲に言いまくっていた記憶があります。一方で当時は原作で旅行編が始まったばかりでもあり、これは旅行の曲でもあります。「メッセージそれは未来からかも」のところでスキップのリズムになり、「未来のわたしはどうしてる?誰かのとなりで笑ってる?」でまるで駆け出すようなリズムに。旅先の見たことのない景色に興奮して思わず走り出してしまうようなテンションが表現されています。遠い都会での新たな出会いに期待するキャラクターのワクワク感と、3期という未知の領域に期待する視聴者のドキドキ感と。その二つの意味を同時に汲み取っているのが見事だと思いました。

【作品へのメッセージ】

3期の製作発表と言えば、「新作OVA&TVアニメ第3期決定特報」の演出が本当に秀逸でした。OVAだけだと思わせておいてからの、「かわいいは続く??」→「かわいいは続く♪♪♪」の演出……あれを考えた人はサプライズの鬼なのでしょうか。モカさんなのでしょうか。とりあえず天才ではあると思いますので、「あなたは天才です」と伝えておいていただければ幸いです。

6 思い出花火
オタクの胸の中に咲いた思い出花火

この曲に関しては割と最近の思い出が私にはあります。先日、某所にてごちうさのオタク達と合宿をする機会がありました。夜は花火大会をする流れになったのですが、ここでトラブルが発生しました。持ち寄った花火の数が多すぎ、また花火をやれる時間に制限があったため、15分で150本の花火を消化することになってしまったのです。花火をゆっくり味わう暇もなく、とにかく次から次へと火をつけて、まるでタイムアタックのような慌ただしさ。途中で誰かが「思い出花火」を流し始めたのですが、「蛍たちが光って会話しているように私たちもおしゃべりをしたね」とは真逆の光景が広がるシュールな花火になってしまいました。ある意味決して忘れることの出来ない「夏の1ページに挟み込んだ栞のようにいつか目印になる」思い出にはなりましたが、「次はちゃんと計画的に挑もう」と奇しくもオタク達に学習させる奇妙な音楽体験になりました。

【作品へのメッセージ】

バースデーキャラソンシリーズは、洗練されたJ-POPのようにスタイリッシュな曲を入れるのが統一テーマだったのかな、と勝手に思っていますが、その中でもシャロちゃんの2曲はどちらもとてもスタイリッシュで格好良かったです。「将来ブティックで働いていそう」と言われるくらいお洒落なイメージのあるシャロちゃんだからこそ歌いこなせた曲だと思っています。

7 銀のスプーン~Blend of Memory~
サキさんの夢を叶えてくれてありがとう

「これはあやつが夢見ていた以上の光景じゃ」。原作のあるシーンでティッピーはしみじみそう言います。ごちうさという作品は、夭逝したサキさんの叶えられなかった光景を、「魔法使い」ココア達が持ち前の行動力と人との繋がりを生かして叶えていく物語です。ですがそんなココアですら叶えられない夢があります。それは、チノと一緒にステージでデュエットしたかったという、歌が大好きなサキさんならではの夢。原作でサキさんが物理的に生き返りはしない以上、この夢は叶うことがないはずでした。しかし、SFYの終盤。回想の中のサキさんの「チノもご一緒に」の声に導かれ、何と現在のチノが歌い始めるではありませんか! あり得るはずの無かった光景を、美しい母娘のデュエットを、EDという本編とは異なる時間軸を使って描き出す。まるで本物の魔法使いのように夢を叶えてくれた作品スタッフの皆様に、心の底から「ありがとう」が言いたいです。

【作品へのメッセージ】

藤平さんのおっしゃる銀のスプーンの「3パターンで全てアレンジや編集の仕方を変えるための試行錯誤」についての話も、いつか必ず聞いてみたいです。中々リアルでのイベントがやり辛い世の中ですが、作詞家トークショー、スタッフトークショーのような試みももっと聞いてみたいです。お待ち申し上げております。


8 セカイがカフェになっちゃった!
あの日、港町はカフェになった

DMSの上映が終盤に向かっていた2018年3月のこと。全国の劇場の中で一番最後まで上映しているのが福井県敦賀市の劇場らしいと突き止めた私は、千秋楽(?)を見納めるべく、はるばる敦賀へ向かっていました。現地でごちうさ仲間の友人と合流して劇場内へ。もう何回も見た映画ではありますが、劇場で見るのはこれで最後と思うと感慨深いものがあり、セカイがカフェになっちゃった!の最後のシンバルの音の余韻に身を沈めながら「この余韻が、いつまでも続けば良いのに」とセンチメンタルな気持ちになってしまいました。当時はDMSより先のアニメ化情報は出ておらず、「ついに終わっちゃった……」というムードで敦賀名物の屋台ラーメンを食べて帰った記憶があります。しかし今こうやってSFY、BLOOMへと展開が繋がったのを見ると、あの足繁く劇場に通った日々は決して無駄では無かったと感じられ、ただただ嬉しい思いでいっぱいになります。

【作品へのメッセージ】

ブルーレイのおかげで家で繰り返し映像を見ることも出来ますが、やはり劇場は音響も良いですし何と言っても特別感があります。このご時世でなかなか難しいとは思うのですが(←リアルイベント系の要望にはだいたいこの枕詞がつく)、DMSの復刻上映や(先行上映以外で)SFYを劇場上映する機会、1期2期3期ぶっ通し上映の機会などがあるととても嬉しいです。


9 セカイがカフェになっちゃった!
世界を変えていくごちうさのアンセム

日常系アニメというジャンルはとにかく誤解されがちです。「中身がない」「ストーリーがない」「キャラが可愛いだけ」そんな世間の偏見の目が正直言ってあります。しかしそこに来てこの「セカイがカフェになっちゃった!」というタイトルはかなり挑戦的だと思いました。ごちうさという作品がこれだけ支持されているのは、単に可愛いだけでなく「世界と自分との関わり方」という普遍的なテーマを扱っているからです。「ココアのように人に優しくなろう」「チノのように一歩踏み出してみよう」。読み終わった後、読者にそう思わせるだけの力がこの作品にはあります。この作品を読んだ一人ひとりがそうやって少しずつ変わって行ったら、いつか世界も変えてしまえるかもしれない。ごちうさというのはそういう力のある凄い作品なんだ。この曲はそう高らかに歌い上げる、まるでアンセムのように聞こえました。

【作品へのメッセージ】

ごちうさというのは高尚な作品だと常々思っていますが、私がその高尚さに気づいたのはようやくアニメ2期放映のあたりでした。何かのイベントで藤平さんが1期OPをあの曲にした理由について「ごちうさって高尚なものじゃないですか」とおっしゃっていたのが記憶に残っていますが、1期の段階でごちうさの高尚さを見抜く慧眼には本当に感服しています。

10 Fantastic Rabbit House
オトナは意外と「大人」じゃない

ごちうさ楽曲でも珍しい「大人組」が歌う曲です。茅野さん、早見さん、速水さんの三人の歌唱力は抜群でまさに大人!という感じなのですが、歌詞では「オトナは意外とオトナじゃないね」と言っているそのギャップが面白いです。大人になるとどうしても退屈な日常のルーティンや仕事のストレスに埋もれがちになりますが、だからこそ華やかなパーティーのような息抜き、晴れの場は絶対に必要なのだと思います。大人でありながら意外と大人では無い一面を持ち、お茶目さや遊び心を失わずにパーティーに全力を出す三人の姿は、まさに私達が理想としたいオトナの姿です。ココアやチノ達子供組だけが主人公なのではなく、魅力的な先人(大人)達が作り上げた魅力的な世界が先にあって初めて物語が成立している。だからこそ大人でも楽しめる奥行きのある作品になっている。ごちうさのそんな側面を象徴している一曲だと思いました。

【作品へのメッセージ】

ごちうさのミュージカル調の曲はどれも大好きです。このご時世でなかなか難しいとは思うのですが(←定例の枕詞)、いつか本当にごちうさミュージカルをやったりする野望は無いのでしょうか。リアルの役者さんがキャラを演じる2.5次元系はそれだけで拒否反応示すオタクもいるので本当に難しいとは思うのですが……そういう要望もあると頭の片隅にでも置いていただけると嬉しいです。

11 ピポパポPeople!
子供のころ見たクロラビアニメOP!

子供のころ見たアニメクロラビが好きでした。舞台は近未来の東京。サイバーなガジェット「ティッピー」を持った魅力的な主人公、ココアやチノ達が繰り広げる少し不思議な日常と冒険。夢中になって毎週見ていたのですが、なぜか今までこのアニメを見たことがあるという人に一度も出会ったことがなく、奇妙に思いながらもいつしかアニメの存在自体忘れていました。それから時は過ぎ2020年。何気なくネットを見ていると秋からのアニメ新番組の中に懐かしの主人公、ココアやチノの姿があるではありませんか! しかしキャラの服装髪型や舞台設定などが私の記憶にあるクロラビと違うのですが、何かパラレルワールドを舞台にしたスピンオフとかそういう設定なのでしょうか……? よく事情が飲み込めませんが、楽曲感想文を募集しているとのことなので、私からは懐かしのOP「ピポパポPeople!」を思い出の一曲として推薦させていただきます。

【作品へのメッセージ】

本文でネタに走ってしまってすみません! が、クロラビのアニメを見てみたいという気持ちは本物です。ピポパポは並行世界でも変わらない彼女たちの繋がりに焦点を当てているのがとてもエモかったのですが、逆に変わった部分に焦点を当てたぶっ飛んだ曲(ティッピーを魔改造するマッドなココア、パトカーをチャーターするリゼ、ライバル企業に敵対的TOBを仕掛ける千夜…etc)も聞いてみたいです。

12 Regene Play Rabbitsのテーマ曲
再生する世界

2020年4月22日。この日、ごちうさ公式サイトを開いた私は立ち尽くすような衝撃を味わいました。緑を基調とした終末的世界観。可愛らしさは保ちながらもほのかにディストピア的未来を彷彿とさせる、白黒の衣装をまとった7人の姿。そして流れ始めた物寂しいBGMは遠い異国の民族音楽を思わせるような、「ごちうさ」史上では聞いたことのない音で、明らかに今までのエイプリルフールとは違う遠い世界に連れて来られたことを一瞬で理解しました。しかし、歌詞の無い女性ボーカルの歌声は悲しげにも聞こえる一方で、しっかりとした芯の通った声で生命力のようなものも感じます。この女性ボーカルは、衰退した世界でも「楽しい」を再生して強く生きようとするキャラクター達の生き様を表現しているのかもしれない。CD集めの旅を終えてタイトル画面に戻りこの曲を再び聞いた時、そのように感じました。

【作品へのメッセージ】

クロラビがアニメならばリプラビはゲーム、という印象があります。6つのCDを集めて回るストーリーなどいかにもゲーム的な感じがします。廃墟と化した世界をチマメ隊が大冒険。手に入れたアイテムをココアに修理してもらったら武器になったり、AMAUSAで売ることも出来たり……そんなゲーム遊んでみたいですよね(チラッ)

13 あん・どぅ・とろわ
大人のレディーまで1歩、2歩、3歩?

jazzのような大人な雰囲気の曲で統一されたこのキャラソンシリーズの中でも、ベースの渋さやピアノソロの格好良さが際立っていて、音だけ聞けば最も落ち着いた大人の装いのある曲だと思います。しかしそんな曲を歌うのが、自他共に認める普通の女の子であるメグちゃんというギャップが面白いです。歌詞も「あっ!そうか!花びらだけ食べればいい」など、ちょっと天然入ってる感じがとても可愛らしいです。本物のbarで流れていてもおかしくないような本格的jazzの上に、敢えて、大人のレディーに憧れる年相応の女の子らしい歌詞と、村川さん演じるメグの舌足らずな声とを乗っける。ビターなチョコレートケーキの上に甘いクリームを乗っけるかのような天才的組合せ。旋律×歌詞×声質の全てが神がかり的なバランスで噛み合って、メグというキャラクターの新たな魅力を引き出す、これぞキャラソンの醍醐味だと思います。

【作品へのメッセージ】

キャラソンシリーズは毎回新しいアイデアが尽きないのが本当に凄いと思います。次はバラード&リアレンジ……どんなものになるのか、楽しみにしております。

14 ぷちょへんざ☆ゆにばーす
私をDJに連れてって!

ぷちょへんざ☆ゆにばーすと言えばDJのテーマ曲。DJってよく分からない、怖そうなイメージもあり、最初は敬遠していました。しかし展覧会のついで程度の感覚で参加した第一回のDJNightは予想以上に楽しく、自分の中のイメージを変えてくれました。そしてこの曲を聞くためにDJブレンドを買い、第二回のDJNightでDJ兎猛者がこの曲を流し始めた時には、私はもうDJ沼にどっぷりと漬かり切っていました。今ではDJはごちうさの中でも最も楽しみなコンテンツの一つになっています。聞く側のテンションフェーダーを思いっきり上げ、月まで飛んで行ってしまうようなこの曲は、ごちうさ×DJという新しい世界を切り拓くテーマ曲として相応しいですし、自らも新しい世界に飛び込んでいく原作のマヤちゃん像ともマッチしています(さらに言うと、DJはじめ色んな新しい事へチャレンジし続ける徳井さんの姿とも)。

【作品へのメッセージ】

今考えると展覧会と第一回のDJNightが同じ日の昼夜で組まれていたのはかなりの計画的犯行(?)だったのではないでしょうか。いきなり単体でDJやるから来てね!と言われても自分は行ってなかった可能性が高かった気がします。ごちうさという作品はオタクを徐々にその気にさせて沼に沈めていくのが上手だと思います。次はどんな沼に沈めるつもりなのか……頭から飛び込む用意をしておきます。

15 Daydream café(オーケストラ版)
モーツァルト、バッハ、ごちうさ

Daydream caféのリモート演奏動画は大変素晴らしかったです。オーケストラというと奏者が一堂に会しているイメージがありますが、逆にリモート動画ならではの長所もあったと思います。それは奏者の方がみんな自分の部屋・自分の服装で撮影していて、一人一人のお顔を間近で拝見できるので、とても身近に感じられるという点です。それぞれに違う家庭と出自を持ち、それぞれの人生をかけて真剣に音楽に挑んでいるプロの人たちの力が一つに集まってごちオケを作り上げようとしているというのが伝わってきました。よく考えると普段はクラシック等の名曲を奏でている手でごちうさのOPが奏でられているというのはとても贅沢なことではないでしょうか。まるで僕たちのごちうさが伝統と格式ある名曲達と肩を並べたかのような、そんな気持ちにさせてくれました。新たな高みに登ろうとするごちうさの挑戦をこれからもずっと応援していきます。

【作品へのメッセージ】

いよいよ15枠を使い切りました。この欄を書くのも最後なので、真面目にただ一言だけ、作品へのメッセージを伝えます。ありがとう、ごちうさ。

ボツにしたぶん 5本

 ボツにした、と言っても書き上げてからボツにした訳ではなく中身を練る前の段階で止まっていたものをnote書くにあたって400字の形に仕立て上げてみたものです。せっかくなので供養がてらということで。

16 リトル*トレジャー*ハント
過去、ミライそしてイマの彼女達

楽曲紹介によればプレゼントレジャー♡の翌日の出来事をイメージしているとのことですが、一日の出来事をミクロな視点で切り取りながらも、それだけにとどまらない大きな時間の流れを感じさせてくれる歌詞が最高です。「いつも叱られてた」「いつも泣いていた」そんな過去の姿をお互いの中に見出すマヤとメグ。「仲間も増えて最強だ」=新たな仲間チノとの出会い。そして「もっともっと歩いて行こう まだまだ増えていくよ」とミライに向かって歩き始める。明るい曲調ながらも長い時間の流れの中で変わりゆくもの、変わらないものを描き出していく。まるでチマメ隊の年代記(クロニクル)のような曲だと感じました(ってこれだと別の曲になってしまいますが)。スローなテンポでピアノソロver.にしてバラード調でアレンジしたりすると、この曲の持つ緩やかな時の流れの側面を表現できて面白いんじゃないかな、と勝手ながら思ったりしました。

17 センチメンタルごっこ
最近のチノの表情のような七変化

曲名に「センチメンタル」と入っているので、「きっとこれはチノの切ない気持ちを歌い上げるバラードだろう」と予想しながら聞き始めました。しかし蓋を開けてみると「おっとなはーーーー!!!!」。びっくりしました。そして怒涛の中盤からサビへ。「お願いしたくて呼んだわけじゃないたまたまお空に流れてきただけですよ」の超早口を歌いこなす水瀬さんの圧倒的歌唱力。感心する暇もないまま二番が過ぎ、エモーショナルなCメロへ突入します。そして「眠れない目が冴えちゃって」で曲自体も再度覚醒するかのようにメインメロディへ。一曲聞いただけでまるで二時間のミュージカルを見たかのようなストーリー性があり、聞き終わった時「本当にこれ他の曲と同じ長さなの!?」と思わず時間を確認しました。ころころ曲調と表情が変わりながらもしっかりとした軸があるのは、まるで原作の成長したチノの姿そのもののようだと感じました。

18 ずっと一緒
包み込む愛と、芯の強さと

包み込むように高く響く優しげな電子音(シンセサイザー?)と低く響く格好良いギターが絡み合い、切なげながらも疾走感も醸し出している不思議な聞き味の名曲です。千夜シャロの歌詞のパート分けも見事ですが、もしかして楽器の方もそれぞれ千夜とシャロをイメージして割り振られているのでは?と思ったりします。優しげな高音は、包み込むような愛をシャロちゃんに対して与える千夜ちゃんパート。格好良い低音のギターは、親と離れて芯の強い生き方をするシャロちゃんパート。いやでも、最近の原作を見るにシャロちゃんの千夜ちゃんへの包み込む愛の深さも相当なものだし、千夜にだってもちろん甘兎庵の看板娘として芯の強く格好良い側面があるし……もしかして逆? 等々と、初期のキャラソンでありながら今現在の千夜シャロの関係性も踏まえて色々な解釈が出来る深みのある曲だと思っています。

19 全天候型いらっしゃいませ
ひとりぼっちの女の子はカフェの扉を開く

ひとりぼっちというのは一般的には良いイメージでは無い言葉ですが、この曲では「それでいいのだ!」と肯定した上で「だってだってここに来ればね仲間がいる」と続けています。初期のチノが「ひとりぼっち……」となっていそうなのは何となく分かるのですが、ココアがそれを肯定しているところは意外に感じました。でも、(ココアのコミュ力抜群のイメージから忘れがちなのですが)ココアも故郷を遠く離れて木組みの街を訪れ、ラビットハウスに迷い込むその瞬間まではひとりぼっちだったはず。人一倍ひとりぼっちの寂しさや不安は分かるのかもしれません。人間誰だって最初はひとりぼっち。そのことを受け入れた上でみんなが集まれるような「カフェ」を作り、「いらっしゃいませ」と出迎える。人間の誰でも持っている弱さを否定せずに受け入れるようなさまは、ごちうさの描く優しい世界とも重なり、最初のキャラソンにとてもぴったりな曲だと思います。

20 あたたかい場所(Dear My Sisterサウンドトラックより)
世界で一番あたたかい場所

Dear My Sisterの終盤、ココアがココア母に見送られ、モカの運転するバイクに乗ってホット・ベーカリーを去ろうとするシーンで流れるBGMです。ハープと木管楽器だけで構成された素朴で優しい音色は曲名のとおりとても暖かく聞こえます。音楽だけではなくこのシーンは、ココアを抱きしめるココア母の表情も、ココアからは見えていないバイクを運転するモカの表情も、故郷の透きとおる青空と緑の風景すらも、全てが暖かく感じられます。ああ、そうか。「みんな私の妹」と言い切り、世界の全てを包み込むようなココアの胸の中の大きな愛は――美しい自然と心優しい家族に囲まれた、世界で一番あたたかいこの場所で生まれたんだ。心地よい音色に身を沈めながら、そんなことを感じました。


 以上です。感想文書くのって決して楽ではないですけど、色んな曲を聞き込んだり、楽曲紹介を深く読み込んだりする非常に良いきっかけになって自分自身とてもためになったなーと振り返って思います。後半の企画は創作メニューですが流石にこちらは15本投稿する気力はなさそうですね……。1本くらいは投稿してみようと思ってるので、気が向いたらこちらの記事に追記するかもしれません。

2020/8/31追記:創作メニュー編

 気が向いたので追記しました。創作メニュー編はこんなものを投稿してました。しかしこれメニュー自体は別に創作でも何でもないですね。

メニュー

【説明文】

ごちうさ原作でたびたび登場するホットワインの味を再現してみました。一般にホットワインで良く使われるシナモン・クローブ・スターアニス等癖のあるスパイスを敢えて使わず、ローリエ・ジンジャー・レモンで飲みやすい味に仕上げました。出来上がりにはココアをイメージしたピンクグレープフルーツと、チノをイメージした青いチョコ(市販)を添えてみました。寒い季節にはホットで、暑い日は冷やしてジュースでもいただけます。

【作品へのメッセージ】

ごちうさは喫茶店が舞台なだけあって、美味しそうな飲み物・食べ物が多数登場するのも魅力だと思います。原作では新たな喫茶店も登場して、ますますメニューの幅が広がっていきそうですが、いつの日かあにばーさるカフェでそれらのメニューも食べられるようになるのを期待しています。


 ちなみに上の画像ではワイン約350mlに対してレモン2個入れてます。近所のスーパーで2個が最小単位だったので余らすのも嫌だなと思って全部ぶち込んでしまったのですが、これは入れ過ぎです。ホットレモネードみたいな味!とか言って誤魔化してますけどもはやレモンの味しかしない。それでも砂糖で調整すればそこそこ飲めますが。ということでレシピ再現(する人がいれば)は自己責任でお願いします。

 ではでは!

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