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ごちうさ英語版を読む(Read the English version of Gochiusa)

2020年12月16日――日本では、TVアニメごちうさBLOOMのクライマックスを間近に控え、界隈が最大の盛り上がりを見せていた頃。海の向こうでは、密かなビッグプロジェクトが日の目を見ようとしていました。そう、ごちうさ原作単行本第一巻の英語版が発売されたのです。

自分のような熱心なごちうさファンにとっては無視できない出来事です。翻訳と言うのはいわば、日本人の間でしか通じないコンテキストから切り離したその作品の「本質」だけを他の言語で再構成する行為。英語版でも読んでみることで多角的な視点でごちうさを研究でき、理解が深まることもあるかもしれません。まあそこまで難しく考えなくても、単純に英語の勉強にでもなればいいなということで、英語版を買い求めてみました。

便利な世の中になったもので、amazon kindleで1クリックで読み始められます。当然ながら絵は日本語版でも英語版でも違いはない訳ですが、細かい台詞回しやストーリー運びなど微妙な違いがあって面白かったので、今回の記事は「ごちうさ英語版を読む」と題して、日本語版と英語版を比較していきたいと思います。

【注意・免責事項】

※本記事にはごちうさ原作日本語版2巻以降の軽いネタバレがあります(There are spoilers after the 2nd volume of Gochiusa)

※筆者は別に英語が堪能と言う訳ではありません。英語に関する考察について正しいと言う保証はないです。筆者の英語力を信じるな。ごちうさだけを信じろ。

では、この偉大な仕事を成し遂げた翻訳者さん、関係各位に感謝と尊敬の意を示しつつ、早速見て行きましょう。

ロゴ

まずはやりやすいところからで、ロゴについて見て行きましょう。デザイナー・木緒なち氏の手掛けた有名なロゴは、テイストを生かしつつ横書きに直されています。

(日本語版)

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(英語版)

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よく見ると日本語版には無かった要素として「?」の下の点がコーヒーカップになっているのが分かります。実は日本でもアニメ版のロゴはそうなっているのですが、それを逆輸入したということなんでしょうね。

キャラの名前

キャラの名前なんて別にただ訳すだけなのでは…?と思うかもしれませんが、実は色々と想定される選択肢はあったようです。ここからは翻訳者であるDavid Prileszkyさんのツイートも参照しながら進めて行きましょう。(以降特に断りの無い限り日本語訳は筆者によるものです。説明の都合上、ツイートや漫画の台詞の一部のみを抜粋して訳すことがあります)

「私たちは日本の姓名順を維持することで、キャラの名前に隠された駄洒落を保持する決定をしました。他の選択肢は名前のローカライズでしたが、それはあまりにも徹底的で、誰もそれを望んでいません」

確かに、英語だと人名は「名→姓」の順ですが、そうしてしまうと彼女たちの名前が飲み物の名前と引っ掛けてることは伝わらなくなってしまいますね。ということで、英語版でもココアさんはココア・ホトとはならず、ホト・ココアのままなのでした。

(日本語版)

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(英語版)

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名前のローカライズってのがちょっと分かりませんでしたが、完全に英語圏風の、かつ、名→姓順でも駄洒落が成立するような別の名前を当てちゃうって意味なんですかね。もしくは、元ネタの飲み物の名前をそのまま訳しちゃうとか…?(千夜ちゃんならGreen Teaちゃんとか。)いずれにせよあまり望まれることではなさそうです。原作を買う海外オタクの大半はCrunchyroll等でアニメ視聴済みで、キャラの名前くらいは既に頭に入っている状態なのでしょうし。

敬語

Prileszkyさんのツイートをさらに見て行きます。

「大きな問題から先に片付けてしまいたいので、敬語について話しましょう。ごちうさは可愛い人生の一コマではありますが同時にギャグマンガでもあります。ジョークの翻訳方法をより創造的にコントロールするのと、将来の安心のため、敬語は使わないことにしました。」

「敬語を残しておくと、敬語の駄洒落を翻訳しやすくなると思うかもしれませんが、代わりに敬語を使用して翻訳する以外に選択肢はありません。」

「ジョークを翻訳するときの目標は、翻訳した先の言語でジョークを面白くすることです。言葉の選択肢のプールがより大きければそれははるかに簡単になります。」

「お恥ずかしながら、私は漫画に完全には追いついておらず、先の巻で何が起こるかははっきりとはわからないので、敬語に固執することから生じる可能性のある問題の芽を早くに摘み取っておきたいと思いました。」

つまり要約すると、ごちうさは言葉遊びや駄洒落的要素の多い漫画なのでその面白さを保ったまま訳す必要がある。そのためには使える言葉の選択肢が多い方が良いので敬語は使わない、と。確かに上で見たようにキャラの名前からして駄洒落なわけですから、駄洒落の多い漫画だというのは異論が無いところでしょう。

個人的には、ごちうさにおいて「どのキャラが誰に対して敬語を使っているか」はキャラの性格を説明する上で結構重要な要素だと思っているので(誰にでも敬語を使うチノ、誰にでもタメ口のマヤ、誰にでもタメ口のようで意外と大人には敬語使ってたりするココア、特に初期はリゼにだけは非常にかしこまっているシャロetc.)、訳せるものなら訳して欲しかったところはあるのですが……。ただ日本語の敬語と英語の敬語で同じニュアンスとも限らないですし非常に難しい面もあるのでしょうね。

ココアさんではなくココア

敬語とは少し違うかもしれませんが、キャラ同士の呼び方も英語版では呼び捨てで統一されています。

(日本語版)

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(英語版)

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第一話。お姉ちゃんって呼んでと言うココアに対して、チノが「ココアさん」と返すシーン。英語版では普通に「ココア」と呼び捨てで返しています。このあたりも英語には対応する敬称が無い以上はやむを得ないところなのでしょうね。"Miss Cocoa"は明らかに違う気がしますし、Cocoa-sanとそのまま訳したとしてもニュアンス伝わるのか?というのがあり……。少なくとも先の巻で出てくるココアの凛に対する呼称「凛ちゃんさん」は絶対伝わらないでしょう。ちなみにお姉ちゃんは”sis"。これは"sister"の略なので、姉妹どちらの場合でも使える表現なのだと思います。

ちなみに一巻範囲では一か所だけ敬称が使われているところを発見できました。以下のシーンです。

(日本語版)

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(英語版)

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「天々座先輩」は"Miss Tedeza"と訳されています。「先輩」も日本特有の概念なのでこれも訳すのが難しいのでしょう。シャロ→リゼの呼び方は日本語版では「リゼ先輩」ですが、これも英語版では単に"Rize"です。このシーンの後はRizeと呼ぶようになります。このあたりはもはや翻訳がどうこうというよりは言語の壁による限界という気がします。ということで日本人のみなさんは、たまたまKoi先生と同じ国に生まれたためにごちうさの繊細な台詞回しを原語で楽しむことが出来るという幸せを噛みしめながら読みましょう。

妹力のアップしたココア

お姉ちゃん(sis)について触れたので、この表現が姉妹両方を指すことから発生する問題に翻訳者さんがどう鮮やかに対処したかを見てみましょう。

(日本語版)

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(英語版)

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1巻12話、記念すべきごちうさ最初の水着回、温泉プールでチェスをする回です。「私が勝ったらココアさんに逆にお姉さんと呼んでもらう事にしましょう」が「私が勝ったらまるで私の方が姉かのように振舞ってもらいましょう」と微妙な改変がされています。ここを”sis"と訳すと姉でも妹でもどちらでも使えてしまう表現なのでわざわざチノがそう呼ばせる意味がなくなってしまうのでこう訳したのだと思いますが、この改変はこの話のオチで特に効いてきます。

(日本語版)

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(英語版)

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日本語版では「お姉ちゃん!牛乳はこうやって飲むんだよ」と、チノを「お姉ちゃん」と呼びながらも、腰に手を当てて一気飲みすると言う風呂上りにおける牛乳の飲み方の正しいお作法(?)を教えているというギャップが面白さを演出しています。一方、英語版では「見てみてチノちゃん! 私、こんなに牛乳を早く飲めるよ!」と、牛乳を早く飲めるのを自慢するという子供っぽい行動を取ることで、チノの妹らしく振舞っている訳なのですね。考えてみると、日本語版の「こうやって飲むんだよ」を意味が通じるように訳すのはかなり難しいでしょうし(お風呂上りに腰に手を当てて牛乳を飲むのが粋だ、なんて概念を外国人は持ち合わせていないでしょうし、そもそも日本人の私たちの間ですらどこからどうやって発生した概念なのか謎です)、それに真正面から挑むのを避けながら筋の通るように改変した上手い改変だと感じました。

ティッピーはheかsheか

呼び方について、もう一つ問題となるのはティッピーをどう呼ぶか、です。日本語ではあまり人称代名詞は使われませんが英語ではよく使われるので、ティッピーを"he"と呼ぶか、"she"と呼ぶか、決めてしまわないといけない訳です。では、英語版ではどちらを採用したのかというと……

(日本語版)

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(英語版)

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ご覧の通り、「非売品です」は”He’s not for sale"と、チノちゃんはティッピーのことを"he"と呼んでいます。ティッピー一応体はメスなのになんで!?と思いましたが、これは後の展開との整合性が関係しているのだと思います。

(日本語版)

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(英語版)

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そう、1巻の5話までの間は、ココアはティッピーのことをオスだと思っているのです。しかしチノちゃんがティッピーをsheと呼んでいるのにオスだと思っていたらそれはかなりおかしなことになってしまいます。なのでチノちゃんにはティッピーをheと呼ばせるしかなかったのでしょうね。ティッピーの中身はお祖父ちゃんなので必ずしもおかしくはないのでしょうが、結果的には英語版でのチノちゃんは、「ティッピーの中身=お祖父ちゃん」という秘密を隠す意思がより薄いように見える訳です。まあ元々、ティッピーがダンディな声を出すのが腹話術(ventriloquism)だというのも相当に無理のある言い訳なので、程度の問題ですね。

木組みの街

次は作品の舞台である「木組みの街」あるいは「木組みの家と石畳の街」の訳を見て行きます。一応これは日本語版の原作でも訳が登場していて、Half-timberd townとされています(画像は9巻99ページ)。直訳するならば「半分が木で作られた街」となりますが、ハーフティンバーというのは、それこそごちうさの街並みに出てくるような、木の柱を家の外側に露出させてその間をレンガやしっくいで埋めるヨーロッパの伝統的な建築様式そのものも指す言葉のようです。

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で、英語版ではどう訳されているかと言うと割と状況に応じて柔軟に訳されているようです。

(日本語版)

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(英語版)

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冒頭のカラーページ、「木組みの家と石畳の街」は"town of cobble-stone streets and stylish houses"と訳されています。直訳すれば「つぎはぎの石の通りとお洒落な家の街」とでもなるでしょうか。「木組み」ではなく”stylish"(お洒落、可愛い)と表現するのはいかにもココアの内心っぽい言い回しだと感じました。

また、Koi先生の後書きでも「木組みの街」という表現が登場します。

(日本語版)

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(英語版)

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こちらは”old-fashioned European town"(古風なヨーロッパの街)とより意訳っぽい表現が採用されています。

擬音語・擬態語の訳もばっちり

ごちうさと言えば独特でユニークな擬音語・擬態語が多数登場するのも特徴の一つです。それらの多くは吹き出しの外に書き込まれている訳ですが、きちんと翻訳されています。たとえば、後の巻で重要なキーワードにもなってくる「わくわく」は"twinkle twinkle"という訳が当てられることが多いようです。

(日本語版)

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(英語版)

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Twinkle Twinkle Little Star(きらきら星)という有名な童謡からも分かる通り、"twinkle twinkle"というのは星が瞬く様子を表す擬態語で、「きらきら」「きらめき」とも訳されます。目の中で星が輝くようなイメージですかね。「きらきら印を見つけたら」や「きらめきカフェタイム」といったキャラソンがあることからも分かるように、「きらきら」も「きらめき」もごちうさという作品を説明する上でとても重要な概念。「わくわく」をこう訳すのは漫画の英訳において一般的なのかもしれませんが、私は非常にセンスを感じました。

なお、擬態語をそのまま擬態語で訳すのではなく、意訳しているところもあります。

(日本語版)

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(英語版)

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リゼがジグソーパズル作りに集中するこのシーンですが、「もくもく」は「これはここで、そうするとこれはここで……」とジグソーパズルに集中するリゼの独り言を表す台詞に置き換えられています。翻訳者さんの工夫を感じる表現ですね。

「もふもふ」はfluffy

さて、ごちうさで最も重要な擬態語と言えば「もふもふ」でしょう。作中で「もふもふ」初登場はこのシーンですが、"fluff"という動詞が当てられています。もふもふした=fluffyと言う形容詞からの派生語なのでしょうが、基本的にfluffyと言う語が当てられることが多いようですね。

(日本語版)

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(英語版)

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(日本語版)

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一方で、状況によってはfluffyではない訳が当てられることもあるようです。千夜とココアの最初の出会いの以下のシーンを見てください。

(日本語版)

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(英語版)

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日本語版では同じページの中で「もふもふ」三連発。ココアがいかに「もふもふ」好きかを強調する表現となっていますが、英語版ではそれぞれ違う語が当てられています。最初の「もふもふしてたら」は"pet"。ペットのように可愛がる、撫でるという意味ですね。次の「もふもふきもちいい」は"soft and cuddly"、柔らかくて可愛いと言う意味です。そして最後の「もふもふ天国」は"fluffy heaven"。英語は基本的に同じ語の繰り返しをあまり好まない(語の言い換え=paraphraseをする)言語である点も関係しているのでしょうか。

千夜は翻訳者さんの腕の見せ所

キャラクター別で見て行くと、「和」なキャラクターであり、日本にしかない概念が登場する頻度の高い千夜ちゃんのシーンは翻訳難易度が一気に上がっているような気がします。巻頭のキャラ紹介シーンからしてこんな感じです。

(日本語版)

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(英語版)

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「兵どもが夢の跡」。松尾芭蕉の有名な俳句を元ネタにしたメニューですが、英訳は"Summer grass…”から始まっていて、「夏草や 兵どもが夢の跡」という元ネタをしっかり踏まえた訳になっているのが流石です。この句は有名な句なだけあって過去に新渡戸稲造、ドナルド・キーンなどが訳した英訳が存在しているようなのですが、そのどれとも違うようなので翻訳者さんのオリジナル訳なのでしょうか。

俳句に関しては翻訳者さんのこだわりポイントでもあるようで、こんなツイートもされています。

「一見無関係に思える日本語と英語の間の発音の違いが重要になってくる場合もあります。最初にこの俳句を書いたときには完全に無視していたのですが、「ココア」は英語では音節が1つ少ないので、少し変えなければなりませんでした。」

千夜ちゃんの抹茶ラテアートの俳句です。日本語版では「ココアちゃん どうして今日は おさげやきん?」です。日本語では俳句は五・七・五な訳ですが、英語において俳句がどうすれば成立するのか、正直なところ私の知識量では良く分からないのですが、音節数を変えて俳句として成立させるということをやってのけているようです。

一方で、日本人と外国人の文化的背景の違いから直接的に訳すのは難しかったのかなぁと思われるのが次のシーンです。

(日本語版)

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「江戸っ子」="proper lady"。訳すなら「淑女」ということになるのでしょうが、海外では淑女は熱いお風呂を好むものなのでしょうか…? 私達のイメージする江戸っ子のイメージとは真逆の訳が当てられていて面白いです。

fancyは「渋い」

千夜ちゃんというか甘兎庵絡みで日本人からすると意外な訳が当てられていたのが次のシーンです。

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「看板が渋い」は"The sign is so fancy." fancyって、某ごちうさアイドル楽曲でもふぁんふぁふぁんしーとか歌ってますし、可愛いみたいな意味なのかと思ったら実はそうではないんですね。「装飾的な、意匠を凝らした、しゃれた、手が込んだ、派手な」というのが辞書的な意味なのだそうです。「渋い」にそのまま当てはまる英単語が無いので、甘兎庵の看板の格調高い感じを表現しようと思うとこの訳が適切だったのでしょうか。

そういえばごちうさキャラソンでもfancy sweet timeってありました。千夜とマヤメグのユニット「千マメ隊」の楽曲でしたが、あれももしかしてチマメ隊のチノの代わりに年上の千夜が入ることで「渋さ」が混ざるようなニュアンスを実は表現していたりするのでしょうか?

ちなみに同じ「渋い」でも、タカヒロさんが「シブくてかっこいい」は"cool and elegant"、シャロがスーパーの棚の上から取ったすっぽん汁が「シブいな」は”peculiar choice"(変わったチョイスだな)と訳されていました。状況に応じて使い分けているのですね。

最大の難関は「攻歩菌」

千夜ちゃんのシーンを見てきましたが、翻訳者さんツイートによれば、最大の難関は千夜では無くチノのシーンにあったようです。

「これは、第1巻で正しく理解するのが最も難しいジョークだったと思います。少なくとも、最も多く繰り返し検証した箇所だと思います。深く掘り下げたくはありませんが、要点だけ言うと、ドライイーストの漢字を文字通りに翻訳すると、「歩く菌」のようなものになります。」

「いろいろなアイデアやアプローチを検討しましたが、最終的にはチノがココアの言葉を聞き間違えたことにして、背景の絵に合うような訳にしました。」

(日本語版)

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日本語では「酵母菌」→「攻歩菌」という駄洒落(として成立しているのか、そもそも…)ですが、英語ではチノが「イースト」を「ビースト」と聞き間違え、さらに「パンがふっくらする」という意味の動詞"rise"を「蜂起する、暴動を起こす」という意味だと勘違いすることで、「ビースト菌の蜂起」という物騒な光景を思い浮かべると言う流れになっています。「酵母菌」を「攻歩菌」と勘違いすると言う流れ自体、日本語でも割と意味不明と言えば意味不明ですし、非常に苦労されたのではないかと思います…。

ごちうさで学ぶ明日から使える日常英会話

さて、ここからは少し趣向を変えて、ごちうさ英語版の中から自分がちょっと面白いなと思った英語表現を紹介していきます。ごちうさは日常系漫画、つまりそこで使われている英語は日常生活の中で使われていてもおかしくない「生きた英語」であるはず。海外旅行の出来ないこのご時世では使う機会が少ないかもしれませんが、是非読者のみなさんに使ってみて欲しい日常英語表現をまとめてみました。

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好き嫌いしちゃダメだよ、は "shouldn't be picky"。チノちゃんの方が好き嫌い多いよ、は "You're much picker"。pickという一語だけで「特定の食べ物だけをつまむ、拾う=好き嫌いする」という意味があるのですね。自分に有利なサンプル・専門家の意見などをつまみ食いして恣意的な意見を主張することをチェリーピッキングと言ったりもしますがそのピッキングと同じですね。好き嫌いする=pick。あなたの妹の好き嫌いが多い時に使ってみてください。

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「誰かの日ごろの行いのせいね」は”I think someone might be a bad luck magnet"。”bad luck magnet” というのは面白くて分かりやすい表現ですね。文字通り磁石のように不運を吸い寄せる人、という意味なのでしょう。あなたの幼馴染の日ごろの行いが悪い時に使ってみてください。

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ここは表現が面白いと言うよりは訳し方が面白いのかもしれませんが、ちょっとクスっとしたので紹介させてください。シチューにこんにゃくを入れるかどうかというココアのメールに対して、日本語では「食文化の違いが……」となっているチノちゃんですが、英語だと"What did you eat growing up?!"。「何食って育ってきたんだお前!?」くらいの、チノちゃんの辛辣さが増している感じが面白かったです。この表現はあなたの同居人がシチューにこんにゃくを入れ始めた時に使ってみてください。

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ココアの妄想の中でシャロを襲う暴漢を断罪するリゼの台詞は ”I will give them a taste of their own medicine!"です。taste of one's own medicine で、他人に味わせたのと同じ羽目を自分も味わうことになる=しっぺ返しを食う、自業自得といった意味があるようです。この場合はリゼさんが奴らにしっぺ返しを食わせてやるぞと言っているので、日本語の慣用句で近いものを探せば「年貢の納め時だ」とかになるのでしょうか。ココアの妄想の中の話なので、もしかするとやや芝居がかった、普通は女子高生はあまり使わないような表現なのかもしれませんね。あなたの後輩を襲う暴漢をかっこよく断罪したい時に使ってみてください。

さて、「ごちうさで学ぶ明日から使える日常英会話」の章は次でラストです。

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「死して償います」は "I'll atone with death."。atoneと言うのがあまり聞き慣れない単語ですが償うという意味があるようです。あなたが妹の頭にホットケーキを直撃させ、死んで償わなければならない事態に陥った場合に使ってみてください!!

終わりに

上で見てきましたようにごちうさという漫画には、様々な言葉遊びや、日本の中でしか通じない文化的なバックグラウンドを持つ台詞が多数含まれています。それらをきちんと意味が通じて外国の方でも楽しめるように訳すのは並大抵のことではなかったと思います。プロフェッショナルな仕事をした翻訳者さん、関係者のみなさんに改めて敬意を示したいと思います。また、この記事で紹介したのは全体のほんの一部です。英語版を通じてさらにごちうさを深く研究したいと考えている方、海外オタクへの布教のためにお布施をしたいと考えている方、ごちうさを通じて英語の勉強をしたい方、等々は是非とも英語版を買ってみてください。冒頭でも言いましたが日本からでもamazon kindleで1クリックで購入可能です。


おまけ:ごちうさ英語版wikipediaを読む

ちなみにですが、今回英語版を読むのに前もって、ウォーミングアップがてら英語版wikipediaのごちうさの項目を読んでいました。


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私「なるほど~、まずは舞台設定の説明からね……って、ん……?」



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私「In a small European styled town in Japan…in Japan?!



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私「木組みの街は日本にあった……ちょっと日本行ってくる!!!






~終~

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