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ごちうさ読了記録[まんがタイムきららMAX2023年6月号]

まずは扉絵から。額縁から抜け出てくるような構図は前回のそれと近く、前回とシリーズの扉絵だと思われます。しかし前回は「マイ・フェア・レディ」が衣装の元ネタだったのに対し、今回は明確に元ネタと言えるようなものは見出せませんでした。強いて言うなら、昨年のエイプリルフール(ごちハピ)でも元ネタになった「青い鳥」がモチーフの衣装でしょうか。

https://twitter.com/mangatimekirara/status/1648325922356105216

また今回の導入の「ナツメの夢の中でエルがブラバのバイトに受かってしまい、先を行かれてしまう」という展開は、明確に「リトル*トレジャー*ハント」(単行本9巻9話)のセルフオマージュでした。深層心理では相方(メグ、エル)に置いてかれないかという潜在的恐怖がある点で、マヤとナツメはやっぱり似た者同士なのかもしれません。

さて、今回のマヤちゃんは物凄く鮮やかな手つきでナツメを「攻略」しに行っているのが印象的でした。このマヤちゃんはEveryday Level Up!!して対人関係スキルレベルが255くらいありそう。
話の最初から順を追って見て行くと
①朝練にさりげなく誘う
②昔の写真を覚えていた上で姉妹関係のギリギリのところまで踏み込む
③おそろの髪型でさらに距離を縮める
④腹痛作戦を仕掛け、ナツメの最後の遠慮も取っ払う
と、短期間でステップを踏みながら一気にナツメとの距離を縮めに行っているんですよね。②で「エルに対してさえ面倒見良い割に引け目ない?」という台詞がさらっと出てくるあたり、本当によく姉妹を観察して、その上で許されるギリギリのラインまで踏み込みに行っているよなと思います。③のおそろの髪型にしていくところとか、心理学でいうところのミラーリングの手法ですよね(デコを上げる=心を開くのメタファーになっているようにも思います)。普段喧嘩ばかりしてるように見えてちゃんと必要な時に必要なところまでナツメの内面に踏み込むのは、漫画の登場人物であることを一瞬忘れて、普通に人間としてのコミュ力が高すぎて感心してしまいました。

そんな訳で自分の中ではマヤちゃんの株爆上がり回でした。新キャラの中でもナツメは一番謎が多いと言うか、マヤちゃんも指摘するようにまだ一歩引いているところが感じられましたが、今回で一気に他の子たちとの距離が縮まって、また人間としても一皮成長しているように感じました。

最後に今後の展望ですが…エルが「ブラバの面接も二枠空くの待たずに勝負してみてもいいんじゃないかな」と言っているのはやはり気になりますね。

普段のごちうさだと何らかの優しい予定調和が起こって二人とも受かるという展開になりそうですが……、ティッピーもいなくなってだんだんこの作品も変質しつつあるので、さてどうなるでしょうか。仮に結果的にブラバには二人揃って受かるとしても、「私たちの世界は二人きり」とまで言ってた共依存関係を脱却して個を確立することがクリア条件なのかもなぁと思ったりもしました。


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