2019-12-18 ブヨッと始まってシュンと尻すぼみで終わる

砂ベントカレンダー十九日目。

お仕事で文章を書くときは誰かの役に立つための文章しか書かないので、お仕事から離れて書く文章は誰の役にも立たないものを書きたいという気持ちがある。

昔から役に立たない道具や作品に妙に惹かれてしまう。特に、役に立てるために生まれて結果的に役に立たなかったものよりも、最初から役立てることを考えもせずに生まれたものが良い。最初から役に立てることを考えずに生まれたものには他者がなく、自己しかない。他者からの客観的な視点を持たず、主観のみがある。

この文章も独善的な主観しかない。読む人のことを考慮に入れた客観的な分析やカチッとした構成を持たない。ブヨッと始まってシュンと尻すぼみで終わる。

Webにはしっかりと調査したり考察したり分析した文章を書く人がうようよいるが、私が好きなのは書き手の主観がドロドロと漏れ出ている根拠もなにもない怪文書である。二十年ほど前には山ほどあった、中高生が作ってすぐに更新をやめてしまったブログに残った視野の狭い日記などはとても良い。人の日記は読めば怒られるが、Webに公開されているものは気兼ねなく読めるから良い。

ゲームの主観視点は視野の狭さ故に好きになれないが、文章や映像の主観視点は視野の狭さが良い。一部では評判の悪いクローバーフィールドもしっかり楽しめた。

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