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コミティア130参加 猫屋奇譚新刊予定

2019年11月24日 コミティア130 
東京ビッグサイト
スペース 西2ホールV33b

コミティア130に初参加します。
文芸ジャンル猫屋奇譚で申し込んでおります。当日は猫屋とハート国を持参します。
写真は2017年10月J庭から。

新刊ですが。
猫屋奇譚怪談を現在書いている真っ最中です。間に合えば製本、間に合わなければコピー本。
何とか頑張りたい。

テーマはマヨヒガです。それと、今昔物語集より「東国より上がる人 鬼にあうこと」
前にも「雪消月」を書きましたが、まだ書き足らない。
橘を語り手に晴と今回の主人公、猫屋奇譚怪談「半夏生」に出て来た宗助の話になります。

尻たたきを兼ねて、まだ書き直し途上ですが冒頭部分を。

「猫屋奇譚怪談 鬼の留守」 タイトル暫定
 橘 喫茶店猫屋店主 陰陽師
 乾 烏天狗
 晴 猫屋従業員 鬼
 宗助

 壱 
それは11月も半ばを過ぎたある日の深夜であった。

「あそこに見えるのは晴君でしょうか」

帰路の途中であった。夜道の先に晴を浮かび上がらせたのは、冬を迎えたばかりのまだ漆黒ともいえない濃い藍色を混ぜたような夜の空。ところどころに薄く浮かぶ雲は月だけでなく向こうの星々までを透かしほんのりと光を帯びている。
このような時間に通る人も無くしんと静まり返る道の遠く向こうに晴の姿を見たような気がした。

「晴君だけではなかったような気がします。誰かもう一人居たような感じでしたが。乾は気が付きましたか」

「俺にも見えました。けもの道に入ってしまったようです。晴はそういえば用事があったとか云っていましたっけ」

隣を歩く乾が目を凝らす。
猫屋からの帰り道。いつもならば夜は9時半に店を閉めるのだが、その日は陰陽師組合の仲間である宇津木さんが式であり飼い猫でもある紺青を連れて来ており、ついつい長話をしてしまった。気が付けば既に時計は11時を過ぎている。

「もうこんな時間だ。橘さん、すまないね」

「いえいえ、こちらこそ。色々と不安でして助かっています。ああ、紺青は猫用のバスケットで寝てしまったようですね」

「起こすのも可哀そうだ。このまま連れて帰る。じゃあ、橘さん、連絡が取れたら教えるから」

「宜しくお願い致します。同じ組合といってもお付き合いのない方はいるものですね。でもまだ時間はありますから」

話は来年の正月に催す東京陰陽師組合新年会の件で、とうとう幹事が回ってきてしまった私と宇津木さんとの「どうすればよいのか皆目見当がつかない」頭を抱える難儀であった。

ともかくも今年の正月に幹事を済ませた組合員に連絡を取り、段取りを教えてもらう。まずはそこからで本日の話は終了した。
宇津木さんとぐっすり寝込む紺青を見送る。乾と急いで店を片付け、猫屋を閉めた。

晴が道の先に居たのには驚いたが、私が彼の生活のすべてを知っているわけでもない。ただその時は何故だろう、そう考えたわけで、これといって意味は何も持たずにいた。