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天空の楼閣

0607#エアブーCITY&FES参加

新刊ルート菊本!
「天空の楼閣」本文58項 頒布価格400円
過去に発行した本・ブログ掲載した話からお気に入りを集めて書き直しました。
目次
・天空の楼閣 SFファンタジー ルート菊
・真夏の災難 菊探偵シリーズ3次小説 ルート菊 米英(犯人・連れ合い表現)
・ガラスのジェネレーション ルート菊
・大人のおもちゃはまだ早い ルート菊ギル
・キスの日 ルート菊
・錆びついたマシンガンで今を撃ち抜こう サラリーマンパロ ルート菊

★天空の楼閣より
はるかはるか先の時間
美しい楼閣を建立する人々がいました
彼らの創りあげる楼閣は遥か天に近い空の上 
 
ある日のこと 船が一艘やってきました
人々に迎えられ船から一人の青年が降りてきます
青年は神輿へいざなわれ楼閣へと担ぎ込まれました
途端、それまで暗闇であった楼閣に火が灯り音楽が鳴り始めます

人々は天にそびえる楼閣を崇め 
天空の楼閣と謳いました

★ガラスのジェネレーション
目を擦り、もう一度閉じる。そして再び開いた。目の前に隣の課の本田がいる。
「な、何だ」
「やっと起きましたね。昨日の仕事の打ち上げで私の隣に座ったのを覚えていますか」
俺は額を抑える。半年前からのプロジェクトが終わり、担当した部署で飲みに出た。部署は幾つかにまたがっていたが、どうせなら皆で行こうと盛り上がった。
それでだ。何故ここに本田がいるのか。そこがどうも理解出来ないのだが。ベッドの横に立ち上から俺を見下ろす顔を見返す。
「いや、あまり…」
「私の手をずっと握っていました」頬を赤く染める。
そうだったか。確か覚えている限りでは女子達がキャッキャッと笑っていたはずだが。本田はノートを手に持った。
「コホン! これから貴方を監禁いたします」
本田は監禁いたしますと言うなり顔を赤くして隣の台所へと入って行った。ともかく俺も起き上る。向こうでガスのつく音が聞こえ、味噌汁の匂いが漂う。
「出し巻き卵を作るので、待っていてくださいね」
俺はベッド横のローテーブルに本田が開いたままの状態で置いていったノートを取り上げる。俺のではないので本田のであろう。そっと台所に目をやり、ノートに目を通す。監禁マニュアルらしきメモが書き込まれていた。

★錆びついたマシンガンで今を撃ち抜こう
「寒いですね」
「ああ、そうだな」
 お互い歩きながら会話にならない会話を数回やり取りし、相手はさらに足を速めようとした。
にゃあ!
「タマ!」
だが、私のタマが私ではなく彼の腕に飛び乗った。
にゃあ、にゃあ、
 これはまさかと思うが。
「あの、もしかして飼い始めた猫ってタマですか」
「まさか、この猫は」
驚く私達とは違い、タマだけが彼の腕の中からしっぽを伸ばし私の腕を触りながら、自分の手を舐めている。
「最近夜になるといなくなっていまして」
「俺の家には夜しか来ない」
「だから、シャンプーの匂いが同じだったのですか」
多分、はたから見たら何を言っているか分からないだろう。でも私と彼にはそれで話が通じた。
「俺、ルートヴィッヒと言います」
「私は本田菊と言います。あの、ルートさんですか」
「済まないが、もう一度ルートって言ってくれないか」
「え? は、はい。ルート」
私の顔をじっと穴が開くほど見つめてくる。私はタマを抱くその手から目が離れない。あれからも何度となく夢の中で抱きしめられたその手とそっくり。
「あの、話をしませんか!」
2人同時に叫んだ。

こんな感じで1冊丸ごとルートと菊の短編集。

★★北欧海賊団来襲 脱獄 改稿版 144項 予価800円
cpはルート菊・デンノル・耀香
2016年に発行「船上ルビー盗難事件 北欧海賊団来襲」400円
2017年発行「東インド会社株券紛失事件 北欧海賊団脱獄」400円
こちらを1冊にまとめました。あらすじは変えていません。文章全体を細かく書き直しています。
「天空の楼閣」と揃えて発行を目論んでいましたが、現時点(6月2日)終わっていません。発行は未定。
クリスティにルブランなどの推理小説をベースにした3次小説になります。