面紗(ヴェール)

大丈夫 歩けるから
大丈夫 笑えるから
そんな言葉ばっか吐き出して
こびりついた笑顔のしみ

一人きりの部屋にも夜にも慣れて
寄りかかり方なんて忘れていたから
今は肩の温もりが少し苦しい

ちょっとだけ触れていいよ なんて
口にしたら困るでしょう ほら
痛みさえ気づかぬように 今日は
落ちた化粧が恥ずかしいから このまま帰らせて

涙など 似合わぬから
心など 見えないから
そんな言葉ばっか言い聞かせて
脱げなくなった強さの殻

一人きりの部屋にも夜にも疲れて
裸のままの心じゃ生きていけないから
今の君の温もりは暖かすぎる

ちょっとだけ抱きしめていい? なんて
言われても困るでしょう ほら
永遠だなんて望めないから 今夜
脱ぎかけの服じゃ寒いから このまま眠らせて

二人きりの夜にも朝にも慣れず
弱さ見せる生き方なんて知らないから
今はこの手の温度に戸惑っている

もうちょっとだけ触れてほしい なんて
口にしたら笑うのかな 君は
ずっとなんて望めないなら もう
こんな傷痕醜いから 強がりに戻らせて

大丈夫 歩けるから
大丈夫 笑えるから
そんな言葉ばっか君が言うから
こびりついた笑顔のしわ

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