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あるロッテファンが6連敗を受けてようやく吉井本を読んだ感想文 〜前編〜


1.避け続けていた「本」


私は本が嫌いだ。
縦書きの文章がどうも読めない。集中力がない。今サラッと読んだ内容、ちゃんと頭に入っているのか?と思い遡り読み直す。そんなことをしてたら自然と生活に「本を読む」という文化が義務教育を終えて以降、漫画を含めなくなっていた。
そんな中、2024シーズンの開幕と同じ日に、我らが千葉ロッテマリーンズの監督、吉井理人さんが本を出した。私が普段生息しているTwitter(老害なので何がなんでもこう呼ぶ)のTLでは読了したファンから「答え合わせ」「絶対に読むべき」「聖書」などといった感想が噴出していたが、本読みを苦行だと捉え、そしてわざわざ吉井さんになんの不満もない自分が読む意味はないやろと思い、スルーしていた。

読み終わった今。なぜもっと早く読まなかったのか。悔恨の念に強く駆られている。

2.私のことと、野球に対する考え方


運動音痴・野球経験無しのド素人

諸々を語る前に、簡単に私のことと、私なりの、野球に対する1ファンとしての考え方を明記したいと思う。私的にはここを一番読んで欲しいと思うが、本の感想について手っ取り早く知りたい場合は飛ばしていただいても構わない。
私。ごく一般的な大学4年生。就活生。野球経験に関しては全く無く、技術についてはそもそも語る資格が無い。観戦歴も決して長いとは言えない、黙って見とけばいいド素人であることは明白である。しかし友人と遊んでいるときもチラチラ中継を見てしまうぐらい野球とロッテが好きな上、呼吸をするように眺めているTwitterで、血で血を洗う論争や、揚げ足に揚げ足を取る炎上を眺めている中で、自分なりに意見を持たざるを得なくなった。
色々書く前に、まず自分の考え方、立場をはっきりさせておきたい。他にも色々あるが、この「感想文」(※評論文ではない)を読んでいただくためのこと、そして最近特に強く思うこの2点を明記したいと思う。

二つの仮説

①匿名の素人意見より、プロで現場にいる人間の方がわかってるに決まっているはずである。
最近某アカウントの影響か、素人がプロのフォームに文句をつけたり、戦略や采配ドラフトについてあーだこーだいう人が多くなった気がする。言うことは全くもって構わないが、フォロワー数やデータや指標を盾にプロは間違っていて自分が確実に正しい、自分が監督やれば勝てると簡単に思っている人が多い。どんなにフォロワーが多くとも素人は素人であるはずで、そんなこと長年プロの世界にいる人の方がわかっとるやろ。

三茶二郎

②野球はメンタルと雰囲気が大きく関わるはずである。
「ベンチの雰囲気」「気持ち」とかいうとすぐ根性論ダー!非科学的ダー!と批判される。最近福岡方面行った選手たち見れば分かるけど野球選手はいい意味でも悪い意味でも太々しい人の方が活躍しない?ロッテの残塁多いのはみんな真面目で考えすぎちゃってるからじゃない?ロッテの選手たちって真面目が悪い方向に向いてない?確かに声出せば勝てるとかいう単純な話は非科学的だと思うよ?でもじゃあ幕張の奇跡は選手のメンタルもベンチの雰囲気も関係なかったの?

三茶二郎

…これ以上言うと本題前で2024シーズンが終わってしまうので、この2点についてはまた別の機会があればじっくり語りたいと思う。

3.吉井本を読んで確認したかったこと

例によって、6連敗で烈火の如く荒れまくるTL。その中で「今テキトーなこと批判している人は吉井本を読んでない」という趣旨ツイートを複数散見した。別に吉井さんを批判していたわけではないが、この「メンタル面」の指摘もテキトーなことなのかもしれないと感じた。ということで、吉井本で確認したかったことは上二つの答え合わせのようなもので、主に以下の2点である。

①素人の意見や憶測はテキトーで、果たして本当に現場の方がわかっているのか。

②吉井さんの中で「メンタル面」と「チームの雰囲気」をどれだけ重要視しているのか。

前者は、「自分の考えは正しいのか」。後者は、「自分が間違っているかもしれない」と言うマインドである。「知りたい」と思ったときには、本アレルギーの私が大学の課題で一回しか使ったことがないKindle(しかも数ページ)で、吉井理人・著『聴く監督』(角川書店)を値段も見ずに購入し、夢中で読み進め、あっという間に読み終えてしまった。

大変長らくお待たせしました、ようやく本編です。

4.結論(こっから本編)

就活生の癖が出ちゃうので、先に結論からお話しする。

1.現場の首脳陣は、我々なんかより明らかに高いところで選手や采配について検討をし、議論をし、考え、理解している

2.吉井さんはベンチの雰囲気や選手のメンタルについて、想像以上に重く見ていた

つまり、私の予測は正しかったのである。次の章でこの二つにフィーチャー(フューチャーではない)し、評論や分析ではなくあくまで「感想」を述べたいと思う。そして、自分なりに感じた「課題」は、一番最後にまとめようと思う。このあとの「吉井信者」と言われても仕方がないような肯定的なブロックに目を通し、反対意見が浮かんだ方はぜひ最後までお付き合いいただきたいと思う。(しかしそれは事情により後編になりますお許しを。)


5.現場の首脳陣はバカちゃうわ、あたりまえやろ

勘違いしてツイートしている人も、連敗によるイライラを発散したいだけで、本気でそうは思ってないのかもしれない。しかし、この本を読めばそんなこと口が裂けてもいえないぐらい現場は必死だ。最近よく話題に上がるトピックと関連して、一つ一つ見ていきたいと思う。

①1軍と2軍の連携が取れてないんじゃないか?

なぜ調子のいい選手を2軍からあげないのか。野手の入れ替えをしないのか。直近では石川慎吾選手(昨日昇格)でよく言われていた。しかし、今のロッテの首脳陣は少なくとも「連携が取れてない」わけがない。それはレポートの存在である。
吉井さんがコーディネーター時代だった2022年より行われたというチーム内共有レポート。1,2軍の連携が図れてないと感じた吉井さんは、MLBのシステムを参考に、チームの全体で各選手の状態や考え方の共有ができるようにと始めたシステムだ。キャンプ時は全てのコーチ、シーズン中は一軍コーチの負担や対面時間の十分な確保を踏まえて二軍のコーチのみに課しているが、レポートの内容まで吉井さんは細かく要望を出している。しかしその要望は私自身も一度読んだだけでは理解することができなかった。

その要望の内容は、本で確かめて見てほしい。ただ、「聴く監督」という通り、コーチとの連携は1,2軍問わず少なくとも1軍監督である吉井さんは積極的に図ろうとしているように感じた。そのレポートを吉井さんは毎日読み、思考し、球場を一番最後にあとにするする日々を送っている。二軍を見てないわけがない、だって毎日レポートが届くから。早い話がこういうことである。ここまでやっている監督が、二軍に無関心なはずがない。

②バント多用の采配と、金子コーチに対する疑問

正直これは私自身も昨年感じていた部分ではある。1塁にランナーが出たら、すぐバント。昨年は特に目立った。Twitterでは、「金子はバント脳」だとか、「バントのサインで気持ちよくなってる」などといった声が噴出したが、実際、首脳陣たちもバントの多用を、したくてやっていたわけではないとはっきり言及されている。アナリストからは、「ランナー1塁でバントをするよりも打たせた方が得点効率がいい」という情報を得て、首脳陣も納得していた。しかし、ロッテ打線があまりにも単打が多く、長打を見込めないと言うことで、やむを得ずということらしい。ああ情けない打線。つまり、もっと打線が長打を打てるようになれば、バントのサインは出なくなる。これは明記されている。
わざわざ言うまでもないかもしれないが、首脳陣も何も考えず、バントのサインを出しているわけではない。理由があるのだ。しかし本気で何も考えずに、自己満でバントのサインを出していると思っているロッテファンが何人いることか。考えてサインを出していることは前提として、「バントは苦渋の決断であった」と言うことが分かっただけでも、この本を読んだ収穫は大きいと思う。

さらに言えば、「金子コーチ」がなければ、「吉井監督」はなかったのだ。吉井監督は金子コーチの意見をとても重く受けている。このことは本で詳しく読んでほしいと思う。

③中村奨吾と田村を使い続けることについて

今一番トレンドなのはこの話題な気がしている。特に中村奨吾選手。まずはこちらから言及したいと思う。
確かに去年は、「キャンプテンとして、試合に出続けてほしい」という首脳陣の思惑があった。しかし今年は違うと捉えることができた。ましてや「スタメン確約契約」など馬鹿馬鹿しくなるほどに。
まず内野シャッフルについては、書き方を見ると本当に吉井さんが中心になって断行したものと受け取れた。その理由は、他にはない、強い書き方をしていたからである。私の受け取り方かもしれないが、他の戦略に比べ、強い意志というか、覚悟を感じた。そしてこの内野シャッフル内で「藤岡をセカンド、中村をサード、安田をファーストをメインにサードと併用…」そして、「奨吾、安田、上田の3人で激しいポジション争いが繰り広げられることを期待している」と、はっきり明記している。よっぽどのバカでなければ、これを受けて「固定起用」だとか「スタメン確約」などとは思わないだろう。どちらかというと中村選手の不調というのは想定内で、その分を安田選手と藤岡選手がやってくれるのではないかという期待ともとれた。昨年の終盤を語る本文内や、YouTubeでも明らかだが、吉井さんの安田選手への期待や目のかけ様は他の選手に比べて勝るものがある。エコひいきとも取れる。(じゃなきゃ夢によく出てこない。)むしろこの内野シャッフルの中心は安田選手で、ノビノビ野球をやってもらうためのものではないかと感じた。しかし現状はご存知の通り。吉井さんは期待からのギャップにさぞショックを受けているのではないかと感じる。安田選手が一軍で使えない今。ソト選手が毎回守らせられない中、上田選手はファーストへ。そうなると、必然的に怪我でもない中村選手はサードで起用し続けなければならないのだ。なぜか。吉井さんはこの内野シャッフルに強い意志を持っているからである。先ほどの話に戻るが、その意思があるからこそ、簡単に中村選手をセカンドに戻したり、藤岡選手をサードに回したりなどはしないのだ。むしろ、安田が帰ってくる居場所を待ち続けているようにも感じた。もうこれでもわかんない方、本気で中村奨吾にスタメン確約があると思っている方。諦めてください。しかし、中村選手には一つ見逃せない記述があった。それは後編で言及しようと思う。
上田選手が抹消になった今、また内野は新たな動きがあるかな…、安田待ってるぞほんま早くしてくれ

一方、佐藤都志也選手の打撃調子がいい中、田村選手を使う理由は本当に簡単だった。田村選手は首脳陣に愛される力と頭脳、そして信頼を持っている。そして、吉井さんは捕手の負担をかなり重く見ており、1人に任せることは絶対にしないということ。確か私は、一ヶ月前に田村選手を使っていることだけはわからないとツイートした記憶があるが、一番簡単な理由であった。とにかく打ってくれ。応援しています。

この章のまとめ

最近取り沙汰されるトピックについて、本を読んで解決したことを3点まとめた。
・1軍2軍の連携は、少なくとも吉井さんは積極的に図っている(この言い方も後編のポイント)
・バントは苦渋の決断だった
・奨吾に確約などない。安田中心のコンバートに感じた

この3点だけでも理解していただければと思う。吉井さんは、物事を長期的な目で見ることができる監督である。そして、失敗を反省し、振り返りを一番大切にしている監督であることがわかった。

と、ここまで私の立場、吉井本を読むことになった経緯と首脳陣がどれだけ野球について考えているかについて書き連ねました。お付き合いありがとうございました。予想以上に長くなってしまったので、ここで一旦区切りたいと思います。後半は、ベンチの雰囲気やメンタルについての吉井さんの考え方についての感想(ほぼ同意でしかなかったし、予想以上に重視していた)そしてこの本を読んだからこそ浮かんだ新たな課題や疑問についてまたしても長々と書きたいと思います。(多分前編だけだと反論がいくつか浮かぶと思うので不十分だと感じた点はここで取り上げます。まだステイ、ステイ。)
素人の駄文ではありますが、どうぞよろしくお願いします。

ヘッダーの写真は私が4連敗目の日に撮影したものです。


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