前職で出会ったAさんの話
前の会社には、Aという女性社員がいた。当時30代で、周りからは少し「おばさん」と思われる年齢だった。彼女は新潟出身で、地元で歯科技工士としてのキャリアをスタートさせたらしい。卒業後は新潟で働いていたが、当時同棲していた彼氏との間で金銭トラブルがあり、結局その彼氏とも別れ、その流れで技工所も退職したという。
それから彼女は、僕が働いていた前の職場に、単身で無理やり入社を懇願してきたらしい。社長も渋々承諾したようで、どうにか採用に至った。しかし、Aには一つ特徴があった。それは「ヒステリック」な性格。我が強く、自分の思い通りにならないとすぐに感情的になり、怒りを爆発させるタイプだった。実際に、仕事中に泣き出して外に出ていってしまったこともあった。
そんな彼女が、なぜか僕の教育係に任命された。当時、僕はまだ仕事がうまくできなくて、彼女には何度もボロクソに怒られた。Aの指導は厳しいというより、感情的で辛辣だった。今となっては、それも彼女の性格だったんだなと納得できる部分もあるが、当時はかなりきつかった。
僕がその会社を辞めた後、偶然にもAの噂を耳にする機会があった。僕がよく通っていた近所のバーの常連だったらしく、名前を出したら「Aさんね」とすぐに通じた。そのバーテンダーに話を聞いてみると、どうやらそのバーでも彼女は大暴れしていたらしい。男癖が悪いという噂も聞いていたが、しょっちゅう違う男を連れてきては他の客と口論になり、店の前で警察沙汰寸前のトラブルを起こしていたらしい。
後に聞いた話では、Aはどうやら歯科医師を目指して地元の新潟に戻ったらしい。しかし、彼女のフェイスブックを確認してみても、そのことに関する更新は一切なく、数年前から更新が止まっていた。もしかしたら、歯科医になる夢が途中で挫折してしまったのかもしれない。何か大きな壁にぶつかって、彼女の心を折る出来事があったのだろう。
知らんけど。
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