2022.1.30

転勤で尼崎の支社に来て仕事をしている。56歳にもなると単身赴任とかで飛ばされることもなく、かといって「長」がつくほど出世もしない僕なので、どこに行っても変わり映えのしない仕事をしています。だけど、ここ尼崎支社は、芦屋市、西宮市、尼崎市と圏域人口は100万人になるのでそれなりに忙しいわけだな。というわけで本日は日曜日だが会社に来てる。
休日の会社は誰もいないから忌々しいマスクなんて外してのびのび。でも仕事もしなくちゃね。

そうそう、僕の恩人と仕事をしています。僕は40代で関西で生活するようになり、その頃あるアクシデントに巻き込まれて鬱ってたころ、会社のあるお笑い好き女子(当時)が、グラインドハウスという大阪の中央会館で開催された地下お笑いライブに同じ部署の会社の人たちを連れて行ってくれて、そこで三日月トリオや村橋ステム、ヤングといった人たちを知ることになった。で、そのお笑い女子は当時、ワッハ7階のレッスンルームやOCATなどに通うお笑い女子だったので、僕も大阪のインディーズお笑いに興味を持つようになり、そのうち大喜利にも興味を持つようになったことはあちこちで書いた。それでmixiのお笑いコミュニティなどを検索して、解の会のオフ会やら、鴨川杯関連のオフ会などに出かけたりしてたこと、三浦マイルドのプロ大喜利ライブ頭脳くんで、ななまがりやみわこたにやイグニッションやヒューマン中村などの方々が盛んに客席の笑いを誘ってるのをみて「いいなぁ自分も舞台に立って客を笑わせてみたいなぁ」と思って今に至ることは前にどっかで書いた。
で、ここでいう「客を笑わせたい」の「客」には今だから書くけど、その会社のお笑い女子つまり彼女のことも入ってた。結局、彼女が僕の大喜利を見に来ることはなかったわけですけど、まぁ世間はそんなもんである。
ついでながら彼女は当時、他のお笑い女子の人ともよく会ってらしたようで、本町のバーであったヤングのライブで、「この人が立体交差さんです」などと今は関東にいる界隈で有名なある笑い女子の方を紹介してくれたりもしたのだった。

けれど、そのあと僕は転勤で、彼女と会うことは無くなったし、彼女もお笑い女子は辞めたみたいで、アカウントもいつしか見えなくなった。会社のいろんな文書にも彼女の名前を見ることは無くなったから、退職したか結婚したのだろうなと思っておった。何にもないですよ。だって他人だもん。恩人だけど。

で、尼崎に転勤してから、なんの因果か彼女と再び仕事でご一緒することになった。仕事の上ではお世話になっている。それ以上何にもないですよ。大人だもん。
彼女は結婚したらしくて苗字は変わってたけど、そして、多分もうお笑い女子はやってないのだけど、ちょっとかすれたような、素朴で柔らかな口調は健在で、隣の部屋からよく目立つ彼女の声が聞こえるたびに、僕はなんともしれん少し幸福感の混じった不思議な気持ちになるのだった。
うちの会社は結構大きいから、同じ部署になるなんて確率的にはそーとー少ないのであった。で、こうやって仕事の時間にだけ、彼女の声を時々聞いている。次に移動になったらもう僕が退職するまで再び会うことはないのだろう。だって大人だもん。他人だし。君に幸せあれ。

ともあれ、神様ってやっぱりいるのかもしれない。で、本当にささやかだけど、びっくりするようなことをしてくれるのだ。



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