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雑記帳 その1 はじめに

 私の好きな画家の一人に松本竣介という洋画家がいます.戦前から終戦直後にかけて,耳が聞こえないというハンデキャップを持ちながら油絵を描き,「ニコライ堂」や横浜の陸橋を描いた「Y市の橋」などが代表作です.私のお気に入りは,青を基調に線画で街を描いた連作です.松本さんの青は本当に美しい.私が若いころに,倉敷の大原美術館で出会い,以来ファンになりました.
 「雑記帳」は,松本さんが,第二次世界大戦が始まる少し前に,夫婦で共同して出版していた雑誌のタイトルです.戦争に向かう時代でしたが,なんとか芸術の灯を消さないようにしたい,という松本さんのささやかな運動だったのではないかと思っています.
 21世紀の日本も,高齢化や科学技術立国の凋落などによって沈みゆく時代になっていますが,日常の営みの中から少しでも未来のヒントがあればと考えて書きしるしてみることにしました.何かテーマがあって,それについて考えをめぐらしているようなものではないので,松本さんの「雑記帳」というタイトルを拝借することにしました.「雑記帳」なので,思いついた順番に載せますから,大事なものという順番や関連がある順番にはなっていません.公的な人以外は,人物名は伏字にする予定です.私を知っている人であれば個人名が分かってしまうかもしれませんが,その場合はご配慮頂けると幸いです.そのため,無断での転載はお断りいたします.


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