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妊娠と運動・・・どこまで動いていいの?

先日、13年ぶりに4人目の命を授かった45歳”ままさん”から、お仕事での動作が流早産に結びつくのでは?とのご相談がありました。

今回の妊娠が不妊治療ではなく、自然妊娠で、尚且つ今までの3人のお子さんの妊娠中に切迫流早産になったことはない。
という前提で私の見解をお話します。


相談内容

はじめまして。ままです。
45歳にして、13年ぶりに、4人目の命を授かりました。
びっくりしましたが、今は前向きに楽しみです。
さて早速なのですが、ご相談させてください。
現在17週です。
多動や自閉症のお子さん達の保育の仕事をしており、また、スタッフが少ない為、簡単に退職や休職が難しい状況です。

その中で、やはり、動き回る子供がいるのでつい、小走りで5.6メートルほどですが追いかけたり、体重の軽い子をおんぶしないといけないことがあります、
その動きが、流早産にむすびつくのでは?と心配です。
いかがなものでしょうか?

よろしくお願いしますm(._.)m

産婆さんからお返事

ままさん。ご妊娠おめでとうございます。
13年ぶりの妊娠。
多動や自閉症のお子さん達の保育のお仕事。
また、スタッフが少ない為、簡単に退職や休職が難しい状況での妊娠は、今後のマタニティー・ライフにも少なからず不安がおありになる事だろうとお察しいたします。
体力も必要ですし、お腹の中の我が子も守るためには何に気を付けたら・・・・と心配になるのは当然のことと思います。

今回の妊娠が不妊治療ではなく、自然妊娠で、尚且つ今までの3人のお子さまの妊娠中に切迫流早産になったこともなく、ままさんの健康状態も良好である。という前提で私の見解をお話します。

ままさん。
普段から動き回る子供を小走りで5.6メートルほど追いかけたり、体重の軽い子をおんぶされていたのならば、その動作が直接流早産につながることはない。と思います。
その理由は、妊娠してから始めた動作ではなく、普段から行っていらっしゃった運動量で、尚且つ現在安定期に入っているからです。

妊娠中に!?

2017年7月 テニスの4大大会のひとつであるウインブルドン。
ルクセンブルクの選手マンディ・ミネラが妊娠4カ月半で出場し、1回戦で敗退した3日後にダブルスの試合にも出場しました。

また、ウインブルドン選手権の初日に第1子妊娠中のセリーナ・ウイリアムズが自身の練習映像をインスタグラムにアップ。
セリーナは同年1月には妊娠を知りながら全豪オープンを戦い、優勝しています。

もちろん、医師の診断と助言の元に出場した大会ですが、普段からテニスをされている方は、テニスの試合に出場することも可能なんです。
選手が大会に出たい。と無理を通したわけではありません。
ミネラは、
『医師から妊娠6カ月まではテニスができる。それ以上は、お腹が出てくるので難しいだろう。と言われ、妊娠6カ月までテニスをすることは考えていなかった。医師は妊娠に慎重だと思っていたので逆に驚いた。』
と話しています。

その他にも妊娠5カ月の中距離選手が世界陸上の予選に出場したり、妊娠8カ月で女子800メートルに出場したり・・・。

普段から運動しているプロスポーツ選手が、妊娠しても普段と変わらず、
選手として大会に出場することは珍しいことではありません。

妊娠中の運動

妊娠中の運動は、過剰な体重増加を避けることが出来、母体の健康状態を維持するうえでは非常に有益であると考えられています。

そのため、ウォーキング・水泳・ヨガ・ラケットスポーツ・エアロビクス・固定自転車・ピラティスは妊娠中の好ましいスポーツとして運動することが推奨されています。
更に、妊娠中は中等度の運動を1日当たり約30分、週5~7日程度行う事が好ましい。と言われています。

今回、ままさんは小走りで5.6メートルほど子供を追いかけたり、体重の軽い子をおんぶすることが流早産につながるのでは?と不安に思われてご相談いただきました。
ままさんにとって、その動作は普段から行っている動作であり、尚且つ30分続く動作ではないことを考えると、ママさんにとっては流早産につながる動作ではないだろうと推測されます。
しかし、今までやっていたからと言っても、今後無理をしないように動作・運動をする上で注意していただきたいことはあります。

直ちに運動・動作を中止する必要がある自覚症状

今後、次の症状を感じた場合は直ちにその運動・動作は中止しましょう

・性器出血がある
・周期的な痛みを伴う子宮収縮(お腹の張り)がある
・羊水が流れ出る感じがある
・運動前から呼吸苦(息苦しさ)を感じる
・めまいがする
・胸に痛みがある
・バランスに影響するような筋力低下がある
・腓腹筋(ふくらはぎ)の痛みあるいは腫脹(張り)を感じる

お腹の我が子を守れるのは母親だけです。
お腹の子供も自分も守れるのは”ままさん”しかいません。

上記の症状を自分で感じたならば、少ないスタッフでも、代わってもらえるよう普段から職場のスタッフとコミュニケーションを取っておきましょう。また、普段からかかりつけの産婦人科の医師や助産師に運動量や体調について相談しながらお仕事をしてください。

運動量。それよりも・・・

妊娠は成人病の負荷試験」と言われています。
妊娠して血圧が上がる人は、将来高血圧を、妊娠して食後の血糖値が上がる人は将来糖尿病を発症する可能性が高い。と言われています。
妊娠中に切迫流早産だけでなく、妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病を指摘される可能性もあります。

ままさんにとってお仕事で子供たちを追いかけることが、適度な運動となり、妊娠高血圧や妊娠糖尿病の予防につながり、健康な状態で妊娠期間を過ごされて、元気なお子様を出産されることを願っています。

全ての妊婦さんへ

妊娠中の適度な運動量は、お一人お一人異なります。
推奨されている妊娠中の好ましいスポーツを行っていてもその運動が切迫流早産につながる方もいらっしゃいます。

大切なのは、動作中・運動中の自覚症状=自分の身体からのSOSをちゃんと受け止めて対応することが出来るか。だと思います。
無理は禁物!!
普段から職場のスタッフとコミュニケーションをとって必要な時はSOSを伝えて、代わってもらい、サポートを得られやすい環境を自身で整えることも大切です。
予定日が近づくにつれて、だんだんお腹も大きくなり、初期には出来ていた動作も中期・後期になるにつれて出来にくいことも出てくると思います。

子供を追いかけることは避けたいので他の方にお願いします。その代わり 事務作業は代って行います。など、場合によっては出来ること・出来ないこと・控えたい事を職場に伝えて 業務内容を調整してもらうことも必要かと思います。

産婆さんからのアドバイス

妊娠中はくれぐれも、私がやらなきゃ!!私しか!!と思わない事。
妊娠したことで生活や仕事を制限する必要はないですが、無理をしていいわけではありません。

自分とお腹の我が子を守れるのは自分だけです。
妊娠期間を健康で笑顔で過ごされますように・・・。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。  








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