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実績解除:新宿でマルチの勧誘に会う

職場の人間もしくは大学の友人以外と一切話す機会がない。
異性との出会いなんていわずもがな。
そんなこんなでマッチングアプリを始めてみた。

最も知名度が高いであろうT○nderは色んな意味で不安すぎるので、とりあえずそれなりに有名で、かつ安全性が保証されてるっぽい奴でやってみた。

タイトルで既にオチがついているのだが、要はマッチングアプリで会った女性がネットワークビジネスの勧誘だったというお話である。
せっかくなので備忘録としてここに記す。

5月某日。マッチした女性と何度かメッセージでやり取りし、新宿で会うことに。

実は先週にその女性(以下Mさん)と会う約束をしていたのだが、仕事の都合とやらで当日にドタキャンを食らっていた。
ただ、向こうが日程の再調整を申し出てくれたので、こうして日付をあらためて会うことになったという訳だ。

こういうのって一度キャンセルになったら自然と話が流れるものだと思っていたのに、わざわざ再調整してまで会いたいだなんて、親切な人もいるものだなぁ。
と、当時は思っていた。

向こうが待ち合わせに30分程遅れ、合流。
20分遅れます!からの、すいません後5分遅れます!、からのあと3分で着きます!という遅刻に次ぐ遅刻。

陰キャでもなく、かといって陽キャオーラ全開でもなく、いたって普通の人が来た。顔もアプリで見た写真のイメージとほぼ変わらない。

まぁ無事合流出来たのでヨシ。Mさんがカフェに詳しいとの事なのでおススメされた場所に向かう。

自分も馬鹿ではない。マッチングアプリの危険性はそれなりに理解している。アレでしょ、変なバーに連れていかれて30万取られるんでしょ。
しっかりカフェの詳細も事前に調べている。怪しい店じゃなさそう、大丈夫。

結構な人気店なようで、4〜5組ほどが並んで待っていた。
その間Mさんと雑談をしていたが、どうやら幅広く趣味がある中でアニメも結構詳しいとのことで、思った以上に話が弾む。

自宅にシアタールームを作っているらしく、かなりお金をかけているらしい。

待ち時間はアニメや音楽の話で退屈せず、店内に入ってからも趣味の話が続いた。
Mさんは海外旅行やダイビングが好きだと言っており、綺麗な海の写真やドバイの夜景だったり、色々見せてくれた。

シアタールームの件といい、この辺で何となく抱き始めていた感想が、めちゃくちゃお金持っているんだなあ、ということである。

自分が動物好きであることを伝えると、Mさんも生き物が好きで、以前は動物カフェで働いていたぐらいには大好きとのこと。

めっちゃ趣味合うじゃん!


何となく気になったので職業を聞いてみると、飲食関連で経営の仕事をしているらしい。
「そんなに忙しくなくて、あまり仕事って感じじゃない!」とのこと。何じゃそりゃ。

更に話を聞いてみれば、つい数年前、親が病気で余命宣告をされた。それをきっかけに、将来何があるか分からないから勉強をしなければならないと思い立ち、色々な本を読んだり経営者と会って話を聞いてきた。そんな中、とあるきっかけがあって経営を任されるに至ったという。

ふーん、そんなこともあるのか。やっぱり東京だとそういう巡り合わせもあるんだなあ。それにしてもなんて家族思いの良い人なんだ……

などとしみじみ思っていた。本気で。

自分「確かにそうですよね。将来何が起こるか分からないし、お金だったり色々勉強しないとダメですよね。」

Mさん「だよね。maimaiさんは何か勉強したりしてる?」

自分「え、いやー特に……」

Mさん「でも危機感は持ってるんだよね?何か行動は起こしていないの?」

自分「いや、やらないといけないとは思ってるんですけど……」

え、なんで僕怒られてるみたいになってんの?????

というか。この話長くない……?もう10分以上この話題やってる気がするんだけど……

ん……?なんか違和感が……


Mさん「経営者の中にも色んな人がいて、参考にならなかったり変な人にも沢山会ってきました。そんな時、ある人に出会ったことが自分の転機になったんです」

んーーーーーー?


言語化したくない何らかの疑念が湧いて出てきたが、それはそれとして話を聞いてみる。

Mさんが以前働いていた動物カフェの常連さん、なんと20代にも拘わらず5〜6の会社を経営していて、その人がきっかけで今現在、Mさん自身もこうして経営者になって仕事をしているらしい。

・・・落ち着け、まだ慌てる時間じゃない。

だけどもう完全にMさんの話が頭に入ってこない。
黒【クロ】なのか、それともただちょっと意識が高いだけの一般市民なのか、どっちだ。
後者の可能性だってあるだろう!むやみに人を疑うのはやめよう!

でもやっぱりもう完全に上の空で話が入ってこない。
すると突然、

Mさん「1日10万20万、そんな大きな話じゃなくていいんだよ。1日3000円、5000円、それぐらい少しずつ増やしていけたら、それで十分なんだよ。」

なんの話をしているのですか?


気が付けば完全に話がシフトしている……もうダメぽですか?

Mさん「だからさ、一度その私が尊敬してる経営者の方に会ってみない?」

〜完〜


東京は恐ろしいところです!

さすが大都会東京、とんでもない場所だ。
隣でコーヒー飲んでるお姉さん、どんな気持ちで僕らの会話を聞いているんだよ。

Mさん「私も週に2,3回会っている人だからからさ。そこに同席するだけでいいんだよ。どう?」

どうもこうもないが……
変な汗をかきながらやんわり断り続けていると、Mさんから一言。

「今ほんのちょっと勇気を出せば人生変えられるんだけど。そうやってウダウダしているなら、一生そうやっていればいいんじゃない?」

こっわ。

正体あらわしたね。

一秒でも早く帰りたいと思っていると、ここで店員さんからの助け舟。伝票を持って颯爽と現れる。

ひょっとして僕らの会話聞いてた?

一瞬で金を払って退店。
2000円の出費。出てきたパフェは美味しかった。
店を出てから解散するまでの自分は声が上ずり、Mさんは行きよりも笑顔が少なかった気がするが、まぁ気のせいだろう。

ネットワークスビジネス勧誘体験記、完結。いや、来月頃には続編がリリースされているかもしれない。

思い返せば会話の節々に散りばめられた金持ち匂わせ、あれも伏線だったんだなあ。
いきなりソッチの話を切り出すわけでもなく、共通の趣味の話題で雰囲気を盛り上げ、お涙頂戴エピソードからの本題、の導入が非常に上手くて関心するほどだった。

僕がTwitterで人格形成されているような捻くれ人間でなかったら普通に引っかかっていたのかもしれない。やれやれだぜ。

ま、その人が本当にただの良い人だった可能性もあるから、もうちょっと話を聞いてみても、良かったのかなぁ?


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