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幾何学模様の向う側

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#逆噴射小説大賞2019

ゴング

 喫煙所はいつも癒しだ。ここは目まぐるしい世界の中でも時間が止まっている様に感じる。  煙を吸い込み先端が真っ赤に光る、一瞬のブレイクの後煙を空中へ舞いあがらせる。深呼吸よりこっちの方がよっぽど落ち着く。幾らそれがドラッグの効果であったとしてもだ。 「火貸ひれくれ」  先輩が喫煙所に入ってくるなりくわえ煙草でそう言った。煙草の先端に火を当てる。目を瞑り数秒。一つのルーティンが終わる。 「お前TWENTY FOURって見た事あるか。海外ドラマの」 「いえ、名前知ってるだけ

死ぬほど気持ち良い同性同士のセックスの条件

 独特の浮遊感だなと思う。  部屋に一人浮かび上がっている私は自分の部屋を見ながらそう思った。重力が無い状態っていうのは宇宙に行けば体験できて、ナサだかジャクサだかに行っても多分疑似的な奴は体験できるんだったっけ。 「まぁ、落ち着いてよ」  眼下に移る自分の部屋には女性が二人。女性って客観視してるみたいに言ったがどちらも顔を知っているし、なんなら先週までは良く喋ってた。可愛い胸の大きい方の女性はずっとオロオロしたり泣いたりしている。  一方胸が小さくてあんまりかわいらしくない