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76歳の文学少女

父の影響で文学書


戦後日本の印刷、書籍業界が復活していたし

家の新築して広い寝室が出来たので

父の文学全集をそろえる夢がかなったわけだ

小学校4年になった頃私は学校から帰ると

誰もいない父の寝室で文学全集に

書かれている作家の名前を読む練習をした

作家の名前は大人でも読めない

難しい旧漢字を使ったペンネームがかいてかる 

武者小路實秋

芥川龍之介

4年生の漢字力で読める作家の名前をさがした


山本有三

漢字は全部学校で習った漢字

これならきっと私に読める


女の一生は1832年 

朝日新聞に連載された長い小説


2段組みになっている本文を

読むというよりわかる漢字を手掛かりに

筋書きを想像していく

半分くらい進んでも

筋がつかめない

書いてあることがどんどん難しくなっていく


‘妊娠中絶’この言葉の意味がわからないと

先が進めない


‘妊娠中絶’って何だろう?

親にきいてはいけない言葉

そんな匂いがプンプンなかった

普通の子ではなかった

小学校にはなじめなかった


休み時間はジャングルジムの一番上に座って


休み時間が来るのを待った


縄跳び、鬼ごっこをする 友達をながめながら 

中学に入ると 

演劇クラブに入る


若草物語を上演した


俳優座に入りたいと言い出した


シナリオという書物を手にするようになる


「何故普通の子のようになれないの」


親は本気でそんな娘を心配した


高校では別館にある 

図書館に放課後毎日いた


見たこともない大判の


古代の壁画の写真集


英語で読むようになった

高校2年の時


家にも学校にも居場所がなくなり


アメリカに留学した

50年海外で暮らし
76歳になった

好きなことして

楽しく生きていけばいいじゃない


役割は全部はたしたし


子供はアメリカで元気にやってるし


何も言うことないじゃない

このままじゃ死ねない
やり残している大事な事がある。

そんな気持になる


日本の役に立ちたい


日本の人たちを一緒に仕事をしたい


やっぱり私は普通じゃないのだ

このままでは死ねない
やり残したことがある
ノートを始めた
それを知りたくて

毎日書いていくる

76歳の文学少女


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