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空想新聞 2022年11月10日

昔から人間そんな変わってない

 小林レイジーさん(71歳)は書道が趣味ですが、気分が乗らないときは筆をとらずただ墨をすります。

 本日、記者がご自宅に伺ったところ次のようなお話をされていました。
 「わたしは長い間技術者をしていたのでパソコンやスマートフォンも平気で扱うことができる。最近SNSでエコーチェンバーなる言葉が流行っているが、昔の人も自分の好みに合う本をひたすら読んだり、似たような価値観を持つ友人と政治談義をしていた。今も昔も人間は大して変わってない」

 記者はこの話を受けて何も言えなくなりました。新聞記者は新しいものに価値があると勘違いしているのかもしれない。記者の思いに反して意外と人間社会の基本は変わってないのかもしれない。と思いました。

 小林レイジーさんがただ墨をする日々を過ごすのは今日で約50日間連続です。「いま力を溜めているところなのだ」と仰いました。どのような書が出来上がるのでしょうか。本当に楽しみです。

今日は何の日

 11月10日はウイ・イレの日です。ウイ・イレとは、ウィスキーが大好きなあまり酒屋にあるウィスキーをがぶ飲み或いは買い占めてお店のウィスキーを消しゴムで消すように消費する人のことを指す言葉です。(ウィスキー・イレイサー)

 丘田黄色くんの両親はお酒をあまり飲みませんでした。父親の丘田萌黄板(もえぎいた)さんは甘いものとアイスコーヒーが好きで毎日アイスコーヒーを飲んでいました。そのため丘田黄色くんは大人特に成人の男性はアルコールではなくコーヒーが大好きだと認識していますので、ごっこ遊びの中でも父親役の人形にはアイスコーヒーをプレゼントしていました。それを見た萌黄板さんはとてもおかしく微笑ましい気持ちになりました。

 大日本記念日学会の会長が、ある日の飲み会の帰りに丘田萌黄板さんの自宅に立ち寄りました。赤ら顔の会長を見た萌黄板さんは「さすがウィスキーイレイサーですね」とおどけて言いました。会長はその地域で有名なウイイレだったのでそれを茶化して言ったのです。
 しかし会長はポカンとした顔になり、しばらくした後、真顔に戻り挨拶もそこそこに慌てて自宅に帰りました。萌黄板さんは驚きましたが「酔っぱらいから解放された」と思って安心してすぐに就寝しました。

 会長は「ウイイレ」と呼ばれていることは気付いていましたが正確には理解していませんでした。「う~良いね~」と呼ばれて褒められていると勘違いしていたのです。萌黄板さんとの会話でようやくお酒とウイイレが繋がって急に恥ずかしくなり人も会話する自信をなくして家に帰ったのでした。

 会長は実は人見知りなのですがお酒を飲んで自信をつけたらどんな人とも喋れるようになります。自信がつく理由は顔が赤くなるからです。会長はどういうわけか赤ら顔こそが最も格好いい顔の色だと信じていたのです。

 「う~良いね~」ではなくウイイレと気付く→恥かしくなる→赤ら顔でなくなる→人と話す自信をなくす。といった流れです。

 会長は翌週「一生ウイイレでいよう。後の世にわたしのように赤ら顔でないと人と話せないような人見知りが自信を持ってお酒を飲んで赤ら顔になって人生を謳歌できるようにウイイレという概念を遺そう」と思ってウイイレの日を制定しました。  
 赤ら顔が格好いいと思った会長の心理は謎のままです。

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