【働くおじさん2014】第1回「中古本のピッキング(その1)」

みなさん、ごきげんよう。佐々木宏人です。

今回は前回宣言したように単発バイトの話を書きます。なお、当然ながら守秘義務の関係で職場への携帯は持ち込み禁止ですので、この連載に関しての画像は一切ありません。ご了承下さい。地味に文章だけで綴っていきます。

記念すべき第1回は中古本のピッキングです。ピッキングと言っても空き巣がよくやる鍵明けのテクニックではないです。受注データに従って棚にある古本を袋に入れていくという作業です。と言うと古臭い感じがしますが、当たり前のようにIT化されていてPDAを使ったハイテクなシステムが構築されています。

まず最初に未経験者だけ呼ばれて簡単なチュートリアルがありました。まるでテーマパークのアトラクションのブリーフィングみたいで心躍りました。発送用の袋にバーコードが付いていてPDAのリーダーで読み取って作業開始です。いきなり自分はこれが上手く出来ず困っていたのですが、コツを教えてもらって理解しました。バーコードってある程度離さないと認識されないんですね。勉強になりました。受注データを読み込むと今度は本の位置が表示されます。棚には番号が振ってあって整然とレイアウトされているので、指定された数字の場所にワゴンで移動して本を袋に入れていくわけです。とりあえず手順を把握してこれは簡単だなと思ったのですが、「袋には住所と名前が書いてあります。個人情報の取り扱いにはくれぐれも注意して下さい」と指導員の方から一言注意が…。まあ、どうせ見ず知らずの他人の個人情報を見たところで何があるわけでもないし、法令に基づいたよくあるテンプレ的な台詞かと思いました。

チュートリアルの後はさっそく作業開始です。いきなり実戦に送り出される兵士のようにみんなワゴンを押して旅立っていきます。通路が狭くてワゴン一台通るのがやっとなので至る所で渋滞が発生しています。なんとなくフレッシュマンレースのスタート直後第1コーナー手前の光景を思い出しました。微笑ましいです。いや、そんな余裕はないです。みんな少しでもこの仕事に慣れようと必死です。自分もその中の一人です。なお、バーコードでの管理は三重化されていて徹底的にミスを防ぐようになっています。おかげで少し安心です。実際このチェックシステムに何度か助けられました。

最初は死に物狂いで集中していましたが、何度かピッキングしていると徐々に余裕が生まれてきていろいろなことが見えるようになってきました。まず結構な音量でBGMが流れていることに気付きました。テンポが速めな曲ばかりでたぶん作業員の気持ちを高めて効率やスピードをアップさせているのではないかと個人的に分析しました。何故か矢井田瞳の曲が多かったですが…。次に気付いたのが発注者(ユーザー)の嗜好です。一冊だけでの注文はなくてまとめ買いの人ばかりなのですが、まるでテーマを決めて選んでいるかのように明らかに偏りがありました。自己啓発本、ビジネス書、BL小説、恋愛小説、推理小説、少女漫画、ラノベ、ジャンプコミック等々…。その人の趣味がバレバレです。そこで前述の「個人情報の~」を思い出して納得しました。これは悪用出来そうです(自分はやりませんが)。

元々本はわりと好きですし、タイトルから内容を想像したりするのも楽しいので、終始飽きることなく出来ました。昔読んだことある本があって懐かしくなったり、読みたかった漫画があって自分で買いたくなったり…。休憩を挟んで後半戦では少し難易度の高いエリアに配置されたこともあって自分に向いている仕事のような気がしました。時間の管理もしっかりしていますし、働きやすくていい職場ではないでしょうか。

そういえば一つ気になったことが…。普通は袋なのですが、注文量の多いお客さんの場合はコンテナ詰めになります。自分の担当にもそれが一件あったのですが、やたらと2冊買いが多くて困りました(重複購入はバーコードのチェックで引っかかるため)。もしかして漫画喫茶でも経営している人なのでしょうか?

と、いいこと尽くめな感じがしますが、唯一の難が通勤の不便さです。駅から遠いので無料送迎バスが出ているのですが、派遣業者の説明が不親切であったため、行きは反対車線の方でバスを待っていて危うく置いていかれそうになったり、帰りは間違った方向の便に乗ってしまったりというミスを犯しました。次回以降は大丈夫だと思いますが、バスの待ち時間を含めた通勤の手間を考慮すると二度目はちょっと躊躇する感じです。たぶんまた志願しそうな気はしますが。

以上、1回目の体験談でした。拙文をお読みいただきどうもありがとうございます。いかがでしたでしょうか?ピッキングと言うと力仕事で体力的に大変という先入観がありましたが、おじさんにも優しい仕事でした。幸い筋肉痛にもなりませんでしたよ。

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