【働くおじさん2015】第11回「コンビニ商品の製造補助(その1)」

みなさん、ごきげんよう。佐々木宏人です。

またしても前回からあまり間を空けずにまたバイトをしました。今回もコンビニ関連ですが、流通ではなくて製造の方です。コンビニ業界のさらに上流に行った感じです。そして今話題の食品製造工場です!初めは全然やる気がなくて「異物混入が盛んなご時勢にそんなことをやって大丈夫か?」とか「場所が辺鄙でアクセスが悪そう」とかいろいろネガティブなイメージを持っていたのですが、むしろこのご時勢だからこそ食品製造工場の実態を見てみたくなったり、グーグルマップで調べたら少し無理をして歩けば意外にバスの便がいいことなどを発見して(しかも珍しく交通費支給)、時給のよさも手伝って段々その気になってきました。

が、実はここで思わぬ落とし穴が…。応募して承認された後、派遣会社からいきなり勤務時間と賃金変更の電話がかかってきました。もちろん給料が下がる方向に(怒)。もちろんこんなこと初めてです。電話口で一旦断りかけたのですが、このタイミングを逃したら次はしばらくないかもしれない(単発のバイトは一期一会なので)と思い直し、渋々受け入れました。

夜勤ということで隙間だらけの時刻表を見ながらバスを待ち、体が十分に冷え切ったところで定刻通りバスが到着して乗り込みました。ちなみにこの便がギリギリで乗り遅れたら確実にアウトです。空いているバスの中でボーっとしていたらすぐに目的地というか終点に着いてしまいました。9分なんてあっという間です。本当はこの3つ先が最寄のバス停なんですが、既に終わっているため、歩くことにしました。グーグルマップでは徒歩20分となっていたのですが、15分で会社に到着しました。おかげで集合時間には余裕で間に合いました。

玄関前には既に人が大勢集まっていて、派遣会社毎にまとまって入室します。自分たちのグループは点呼を取ったら約20人ほどいました。いつもは1人か2人での派遣なんで新鮮です。例によって下駄箱が空いていなかったり、スリッパが足りなかったりするのは派遣の基本ですが、食品製造工場のためか床が他社に比べて冷たいのは正直辛かったです。

短いブリーフィングの後、ノロウイルス対策のビデオを見たりして気持ちを高め、制服を受け取ってロッカーで着替えました。またこのロッカーが狭くて身動きが取りにくいこと…。現代のプロレタリアートも昔と変わらず大変です。ロッカーを出てころころ(正式名称は何て言うんだろう?)をかけて爪切りチェック、体温測定をしてようやく準備完了です。と思ったら、さらにもう一つゲートがあってころころをかけさせられます。これでやっと作業場に入れます。通路を抜けて持ち場に行くとまず洗面所があります。手洗いも結構手順が大変で常にチュートリアルビデオが流れていて、その通りにやります。手をきれいにした後はさらに手袋をして手洗いをします。段々手袋が皮膚と同化してくるような錯覚に陥ります。いや、言い過ぎました。こんなこと言うなんてどうかしてますね(この駄洒落が言いたかっただけです)。

しつこいまでに手洗いをしてエプロンと腕カバーを装着して持ち場に行くと、さらに手袋をしろと言われます。利き手ではない方には切創防止手袋までさせられて3枚重ねです。ますます皮膚と手袋が同化してくるような錯覚に…。手袋の上からアルコールを吹いて消毒してようやくこれで臨戦態勢です。実戦の場であったらもう敵に殺されています(いや、戦争じゃないって…)。

やる気満々で社員さんの指示を仰いだら、なんと「イチゴを包丁で半分に切って下さい」と言われました!いきなりファンシーな世界に突入です。自分は公式プロフィール的に「一番好きな食べ物がイチゴとカルビ」で売っているイチゴ王子様キャラなので問題ありませんが、見るからに「イチゴなんて興味ないよ」っていう雰囲気の粋がった若者はプライドのやり場に困るでしょうし、無駄にマッチョなおじさんはその鍛えられた筋肉のやり場に困っているのではないかと心配になりました。そんな不安をよそにみんな無口で約4時間イチゴを半分に切っていました。間違いなく今までのバイトの中で一番単調な作業でした。

1時間の休憩を挟んで今度は何をするのかと思ったら、「イチゴのヘタを取って下さい」と指示されました!そこからひたすら4時間ヘタ取り作業です。この頃にはさすがに段々余裕が出てきて、隣の人と喋ったりして派遣会社の有益な情報等を入手しました。時計を見ながら「早く終わらないか」と思いつつ、手は休めずにヘタを取っていたらようやく終了時間が来ました。と、同時に早番の人たちが出社してきました。

すっかり朝になって通勤渋滞が始まっている中、混雑とは逆方向に行くバスに乗って帰路に着きました。窮屈な空間から解放された反動か、はたまた絵に描いたような冬晴れのおかげか、妙に清々しい気持ちになりました。今までの労働の中で一番帰るのが嬉しかったです(苦笑)。交通費も行きに歩いたのが功を奏して支給額内に収まってよかったです。

以上、11回目の体験談でした。拙文をお読みいただきどうもありがとうございます。いかがでしたでしょうか?実はこの時期に大量に派遣を投入して作るものってやっぱり…そう!恵方巻き関係じゃないかと推測していたのですが、見事に外しました。まあ、恵方巻きは今までの人生で縁がなくて食べたこともありませんし、どうでもいいのですが…。仕事的には単調で辛くはなかったですが、大量の果物(イチゴだけでなくバナナやキウイその他いろいろ)から発する匂いが強烈でした。果物酔いしそうでした。これは苦手な人は駄目でしょうね。あと着替えが想像以上に大変でした。誇張表現抜きでほとんど放射線防護服です。これだけ衛生管理に気を付けていても異物混入が起こるということを正直気の毒に思いました。

業務内容とは直接関係ないですが、気になったことが…。アジア系(たぶんフィリピン人)の女性集団が頑張っていたのですが、日本人の目から見ても童顔に貧相な体格で(もちろん大人だとは思いますが)、児童虐待をしているような錯覚に陥って居心地が悪かったです。まるでソフトな「蟹工船」、あるいは「あゝ野麦峠」の世界でした。

だからという訳ではないですが…。その後もこの会社の求人はあるのですが、なんとなくリピートする気にはなれずに避けています。人には平気で勧められますが(笑)。

なお、下にある「クリエイターをサポート」ボタンから投げ銭をしていただけると嬉しいです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?