「Visions of a Torn World」について
C95で出した前作「ピコピコブー」があまりにも好評でセールス的にも好調であったため、「ぜひ次作を」といろんな方面から言われ、すでに作りかけていた新曲を前倒しで完成させたのがこの曲です。当初は「春のM3にでも間に合えばいいかな」という感じで作っていました。
タイトルが英語なので分かりづらいと思いますが、和訳すると「引き裂かれた世界の幻影」といったところでしょうか。実は鴨長明の「方丈記」の英題です。琵琶奏者で和歌も詠み、人前で演奏禁止の曲を披露して出世の道を閉ざされてしまった鎌倉時代のロックスターが今の自分と同じ年頃で隠居生活を初め、晩年に書いた随筆にインスパイアされて出来た曲です。
鴨長明は有名な下鴨神社の禰宜の次男として生まれましたが、父を亡くしたことがきっかけとなって失脚し、不運な人生をおくることになります。そんな不遇の中でも琵琶や和歌を学んで才能を発揮します。後鳥羽院のバックアップで禰宜になるチャンスが訪れるものの、妨害にあって結局出家の道を選びます。
出家しても時の将軍・源実朝の和歌の師に推薦されて鎌倉に出向き(結果的にはなれませんでしたが)、晩年は孤独と戦いながら(楽しみながら?)「方丈庵」という狭いワンルームで「方丈記」という日本三代随筆の一つを完成させた、アクティブでポジティブな性格に共感と敬意を抱かずにはいられません。
そんな鴨長明に思いを馳せながらこの曲を作りました。なお、レーベルデザインは買ったばかりの天体望遠鏡を使って撮った月の画像です。スーパームーン当日は雨のせいで撮影できませんでしたが、翌日の晴れ間を狙って撮影しました。寒かったです。
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