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【考察】エントリーNo.19@ウディコン#12

【19】について、感想は別記事で書いてますが、考察(という名の設定や伏線の確認と妄想)を書きたくなったので本記事にて。クリアしていないなら見ないようにしてください
もしクリアしている方が、こんな辺境へお越しであれば意見交換できると嬉しいです。

11話以降のネタバレも含んでいるので、検索除けのため略称とかイニシャルで記載するつもりです。
どんなネタバレがあってもOKという方は↓へスクロールして閲覧ください。























随時追記していきます。
◆人名について
主人公と仲間たちは調味料カルテット。たまり醤油、メープルシロップ、ハーブソルト、特濃ソース。理事長、町長、生徒会長はなんだろうか。
兼ゴンだらけの学校である理由が後半で明らかになったときは感心しきり。

◆主人公について
プロフィール
町外から転入してきた普通科高校1年生。寮生。クラスは明言なし?特待生ではない。父親の海外赴任が決まったが、日本に残りたいため、寮があり学力の高いD高校へ転入。本編中、両親は海外にいる。主人公の母親は再婚しているため、現在の父は義父である。日本に残ったのは義父への遠慮もあるかもしれない。独特の訛りがあるが、普段は隠している。とっさの発言や感情的な発言では訛りが出る。素の一人称はオラ。

考察
主人公の胸中に関するモノローグは少ないため考え甲斐がある。まず、なぜSに対して好感度MAXなのかという点。これは単純に一目惚れか。打算的な行動という可能性は低いだろう。Sとの繋がりは合格の決め手になったが、狙ってできることではない。+αの理由があるとすれば、友情への飢えや自由さへの憧れだろうか。「自分が普通ではない」ことに対して過敏な反応を示すことから、仲間外れにされるなどのトラウマがあると推測できる。初対面でも友好的なSに好意を持った可能性はある。また、周りの目など気にせず自分らしく振舞えるSに憧れを抱いたというセンもあり。

次に、どんな過去があるか。「こどく(孤独)」「普通でない」のような単語に過剰に反応するため、クラスで浮いていたのかもしれない。10話での行動力や町長との舌戦を見る限り、自分の信念は曲げない性格に見えるので、軋轢を生んでも不思議はない。現在はアメとムチの使い分けができる機微の分かる人間だが、何らかの過去のトラブルを経て成長した結果ではないだろうか。連帯責任は意味不明な罪状ナンバーワンと言っているので、拡大解釈だが、同調圧力の類も大嫌いと推測される。その点で町長とは相性が悪い。

人たらしな側面について。11話では主人公が捜索の中心にいることにK研女史が感心している描写があり、相応の求心力が伺える。気配りができるいい子で終われば良いのだが、生徒会長に対する強かな立ち回りを見ていると、どこまでが本心なのか分からなくなる。少なくとも、生徒会長を咄嗟に助けたのは本心だと思うが。奉仕活動部のH、Tからの信頼を短期間で得たのは、打算なのかどうか。同じ部活かつ同じ寮生なので仲良くなる機会はあるのだが、2人とも一筋縄ではいかない性格である。キャラごとのサブイベントから判断すると、Hにとっては自分の外面を越えて内側まで踏み込んできた対等な相手、Tにとっては適度な距離にいる気の置けない友人といった様子。

◆Sについて
プロフィール
A町から隣のK町にあるD高校へ入学した外部生。寮生。Hと同室。中学はHと同じだがクラスは異なる。特待生ではない。高校での成績は中の下くらい。1年4組(理系クラス)。何かとHに世話を焼かれている。空気が読めないことから、周囲からは宇宙人などと揶揄されている。2学期から奉仕活動部を設立し、部長として生徒の困りごとを解決しようと意気込んでいる。ベルマーク集めなどの活動はHに任せるつもりでいる。

考察
元気のよいトラブルメーカー。空気を読まずに、思ったことをすぐ口に出すし、実行に移す。そのためか、宇宙人などと呼ばれ、周囲から浮いている。特に同学年の女子からの評価は低いようだ。しかし、理事長からは、自分なりの信念を持ったいい子で、相手のためにならないことは言わない分別があるので、もっと友人ができても良いはずと評される。実際、裏表がないSの言動によってTは救われている。周囲の評価が低いのは、Hによる根回しが効いているのだろう。S自身は周りの評価は全く意に介していない様子である。この精神的な強さがD高校へ合格した理由であると思われる。

この町の秘密に関わるSとは何の関係もないのだが、奉仕活動部が目立ったことにより、町中の大人から警戒される羽目になる。町の秘密にかすっている校歌の謎を解いたSというだけで退学に追い込まれるのだから、K町の異常性が良くわかる。プレイヤーにとっては、Sが特別な苗字であることが分かる終盤において、かなり意味深な存在。

◆Hについて
プロフィール
A町から隣のK町にあるD高校へ入学した外部生。寮生。Sと同室。中学はSと同じ。特待生。学年首位。1年1組(文系クラス)。周囲からの評価は概ね高く、特に同じクラスの女子に好かれている。面倒見が良い、気遣いができる、口調はキツイが思ったより優しいなど。一時期は生物部に所属していた。熱帯魚に興味があったらしい。現在は奉仕活動部に所属している。一読した資料の内容や知人の携帯番号を暗記できる高い記憶力を持つ。

考察
癖がなさそうで、実は最も闇が深いキャラクター。誰とでも上手く付き合えるような世渡りのうまさを感じさせる。自分の見た目とのギャップを活かして、少し親切にするだけで高い評価を得られることを熟知している。なかなか本心を見せず、都合が悪いと笑顔で取り繕ってしまう。

Sのことを気に入っており、理事長曰く、Sが合格かつSと同室でなければ入学しないと面接で言い放った。この自己主張の強さが合格の理由であるらしい。何かとSの世話を焼くが、その裏でSに関する悪い噂を流布したり、クラスメイトにはSとの不仲を語るなど矛盾した行動を取る。Sの退学の危機には、自分と一緒に退学し、高卒認定を取得することを勧めている。これらの行動から、Sを甘やかして自分だけに依存させたいという心理が読み取れる。実際、サブイベントでそのような主旨の発言をする。熱帯魚感覚でSを思い通りにしたいと述べるシーン、生徒会長の髪を切るシーンからは狂気を感じる。

Sに危害が加えられない限り飄々としている。しかし、Sを思い通りにしたいといいながら、Sが思い通りになったら、それはそれで嫌なのだろう、と主人公から図星を指されると激昂する。おそらく、ここまでHの本心に踏み込んだのは主人公だけなのではないだろうか。

Tのことをどう考えているかはよく分からない。Hの友人によると一目おいている感じがするとのこと。

◆Tについて
プロフィール
町外からD高校へ入学した外部生。寮生。特待生。1年3組(理系クラス)。趣味は筋トレ。努力家の秀才。1年生からは無表情、真面目という評価。中学のときはテニスの選抜に選ばれるほど有名な選手だった。中二の秋、当時付き合っていた同じテニススクールの彼女を事故から庇い負傷。現在は足に後遺症があり、運動ができない。事故に関する口さがない噂や人間関係に疲れていたが、高校でSの能天気さに救われた。

考察
不器用ではあるが、友人思いのとてもいいヤツ。おそらく作中で最も実直で優しい性格をしている。HのSに対する態度に違和感を抱いている。奉仕活動部に入部した理由は、Sが心配というのが大きいように思える。Sが大好きなHと主人公に対して、彼がいることでバランスが取れている印象である。理事長がそこらの教師より大人と評している通り、非常に冷静に状況を分析することができる。退学騒動の際に矢面に立つなど、行動力もある。中学時代の事故の影響か、人と距離を置きがちに見える。適度な距離を保てる友人として主人公のことも気に入っているのではないか。サブイベントでは、主人公に対して、今のままで過不足ない、と珍しく微笑を見せる。

Hの本心を見透かすTの洞察力は素晴らしい。Hに対しては、Sに対する態度を改めるように度々諭しているが、踏み込み切れずにはぐらかされている。あるいは、あえて踏み込まないのはSへの信頼かもしれない。主人公も言っているが、Sは他人の思い通りになるようなタイプではない。型破り過ぎて誰にも制御できないと思っているのかもしれない。

◆生徒会長について
カリスマ性があり、父親思いの優等生。K町の隠し事を知らされているため、序盤では黒幕感を醸しているが、根は素直な良い子。他の多くの町民と同じく、町に対する誇り、愛着が強く、独自の正義感を持っているものの、新しい価値観を受け入れる受容性もある。個性溢れる外部生と出会ったことは彼女にとって良い刺激であり、理事長の教育理念が実った瞬間でもある。

ポエムのセンスがすごい。ポエムの頭文字が「きみがすき」になっているのは、ただのラブレターだと思わせるミスリードなのか、あるいはこの時から主人公が気になっていたのか。

主人公の性別に関わらず恋に落ちるのは、彼女が内面を見て好きになっているという証拠であり、彼女らしさが表れていると思う。主人公が化け物に怯まず立ち向かう雄姿は恰好良すぎるので惚れると思います。

髪をバッサリ切られても翌日には、表面上は平静を取り戻す精神力は素晴らしい。だが内心は傷ついているはず。もう少し弱いところを見せてもいいんだよと言わんばかりに主人公が優しくするので、少しは救われていると良いと思う。

◆町長について
高校生相手に大人げない真似をして黒歴史を作ってしまった頑固おやじ。

町長として、実業家としてやり手であることは間違いない。町に鉄道を呼び込み、金に頼らない発展を成し遂げている。彼の地質調査会社は投資の甲斐があると理事長から評価されている。彼が町長になることを決心したのは20代半ばであるらしい。現在は40代半ばなので、10~15年ほどの任期となる。公共工事に長い年月が掛かることを考えると、就任早々に鉄道建設を決めたということだろうか。彼はK町について、山奥で公道の予算も付かない貧乏な町だったと述べている。貧困から一攫千金を心の支えにしてきた町民を、その呪縛から救ったのは紛れもなく彼や理事長の努力だろう。最後のきっかけを作ったのは主人公だが、金銭面の呪縛は既に解消しつつあった。町長は英雄と言ってよい人物だと思う。埋蔵金が見つからずに、罠だけが取り除かれるのが、K町にとってはベストエンドなのかもしれない。

しかし、埋蔵金の調査を一介の高校生に依頼した事、脅迫まがいの手段を取ったことは軽率である。また、町の多くの利権にからむ理事長の不興を買うことは予見できたはず。工場長からは大暴走したと言われている通り、周囲からは反対意見も多かったようだ。このエピソードからは、彼がクレバーというよりは、感情的に動きがちな性格だと推測される。損得よりも優先するべき信念があったとみるべきだろう。同心円 ―― 心は一つという理念こそ彼が最も大切にしているものである。主人公たちに挑戦状を叩きつけたのは、外部から紛れ込んだ異物を認めないという意思表明なのかもしれない。もちろん、誰にも解き明かせなかった校歌の秘密を暴いた推理力にも期待はあっただろうが、たった1~7日の調査が70年に勝ると強く思っていたわけではないだろう。校歌1.5番、S姓の人物、犯罪者呼ばわりなど、町の暗部に触れる出来事が過激な行動に拍車を掛けたとも捉えられる。

お菓子会話で、外部生の制服は同心円の一部が欠けたデザインになっているなど、外部生をみわけるための特注品らしいと分かる。校則に、外部生が外出時に制服を着用することが定められているのはこのためだ。町ぐるみで排他的な風習を持っているため、ここで育った町長が同様の思想を持っているのは自然である。

町の秘密に近づく者への口封じがお金であるのもK町で育った町長らしい行動である。貧困で高校にも行けなかった彼にとっては、お金は強い意味を持つのだろう。おそらく、他の町の有力者にとってもそれは同じ。

◆理事長について
ほぼ全てを知っていながら、時がくるまでは何も話さないとんでもないタヌキじじい。

冒頭、主人公の合否を決める時から、隠し事がありますよ、という素振りを見せている。個性的な生徒しか入学させないとか、Sが気に入ったから入学させるとか、最初は意味が分からない。違和感は残るが、シナリオを進めているうちに忘れてしまう。12話までクリアしてから振り返ると全て意味がわかる。

彼の教育理念にはとても共感できる。次の世代には井の中の蛙になって欲しくないのだろう。外部生はやや利用される格好になってしまうが、彼がK町を愛しているからこそ、町内に力をいれる形になるのは止むを得ない。それに、外部を受け入れる素地がない状態で無暗に入学させるのはお互い不幸である。10年ほどもすれば、もっと開かれた文化が形成されることだろう。

若いころはとにかく金が欲しかったと語っている。ギラギラした若い理事長も見てみたい。その理事長が丸くなった一つのきっかけと思われる奥様はよほどの人格者なのだろう。

ダムは私が解体したよと、白々しく、聞かれたことだけを答える。こちらとしては、まさか埋蔵金がすでに見つかっているとは思わないので、ふーんと流していた。埋蔵金を発見したときは、あのじいさん知ってたな?というしてやられた感が凄い。

苗字を変えて町に潜り込み、埋蔵金を堂々と回収、換金し、さらに遺産の相続相手まで確保するという推理小説ばりの完璧な隠蔽工作である。これは全て伏線はあるので、鋭い人なら予めわかるのだろうか。まあしかし、それは気づかなかった!という感覚も醍醐味ではある。

冬休みに生徒と二人きりでお食事はアウトなのでは。いや、いけジジとデートは案外楽しいのだが。この町では許されるというやつか。休みが明けたらHに突っ込まれるくらいには噂になっているし。もう逃げられない?主人公は理事長の想像の上を行くほどの強かさなので、大丈夫そうだが。

家族みたいなことをね。と言っている理事長は半分くらいは打算ではなく、本心から家族を欲している感じがして、好き。どこまでが本心かわからないキャラがポロリと本音を覗かせるのはいいよね。

◆領主について
70年前の人物であり、客観的な記録はあまり残っていない。町民にとっては憎むべき敵であるため、マイナスの側面ばかりが強調されている。残された資料から想像しても相当に禄でもない人物である。

家族を前もって避難させていたことを考えると、町民から恨まれている自覚はあったようだ。埋蔵金の手掛かりを敢えて残して、辿り着けば死亡する仕掛けへ誘導している点からは、彼の金への執着と底意地の悪さが伺える。町民が自分に反旗を翻せば皆殺しにし、誰にも金を渡さないという思惑があったのだろう。しかも、直接的な方法ではなく、一度は埋蔵金への希望を抱かせてから始末しようというのだから性質が悪い。

仕掛けも巧妙である。敢えて暗号にすることで、隠している感を出すのである。謎が解けた者は、高揚感から疑いもせずに水門を開き、罠に掛かるというわけだ。

この大がかりな仕掛けについて、記録も目撃情報も残っていないことから、関係者は全員始末されたと考えるのが自然であろう。資料の中でそれに該当しそうなのは、Kダム建設火災である。発電所やダムの建設に携わった人々は、全員が不審火で死亡している。わざわざ外部の人間を雇ったのも、内部に情報を漏らさない意図があったかもしれない。唯一、金細工職人の間で、配線に用いられたとみられる金の糸を作ったという情報だけが残っている。

作中では明言されていないように思えるが、息子にだけは埋蔵金の在処を教えていたのかもしれない。理事長が埋蔵金を利用できたのは単に彼が鋭かったからなのか、偶然か、はたまた父から在処を聞いていたからなのか。埋蔵金があることは確信があったようだ。

◆埋蔵金について
金属を隠すなら金属の中ということだろうか。筆者は70年を経て腐食していない配線が怪しいと思い、遮断機ばかり調べていたが、想像より遥かにスケールが大きかった。

12話で理事長が使わせてもらったと言ったときは、頭を殴られたような衝撃だった。隠されているものを探すという意識が強すぎると、堂々と見えているものが見えなくなるものなのだ。水門を調べると、ダムは「理事長の私有地」で、彼が一部を撤去したというセリフがちゃんと用意されていることに感服。他の雑多な単語に紛れて、この単語の重要性にも気が付けなかった。

K研の資料調査だけで真相に辿りついた方がいてバグが発生したと聞いたが、その推理力には脱帽である。どのような質問をしたのだろうか。
K研の資料だけでも、町民と不仲の領主が埋蔵金の手掛かりを残すのは不自然であり、何らかの罠が仕掛けられている可能性や、見張り2人が口裏を合わせて埋蔵金を独占しようとした可能性くらいは思いつけるかもしれない。

金の発見が町民を必ずしも幸せにはせず、過ぎ去った時を嘆く人もいるというのは個人的には好きな展開。比較的若い者にとっては、呪縛から解き放たれて新たなスタートを切るというポジティブな話である一方、年配者にとっては悲願の達成と同時に目的の喪失でもある。功罪両面が描かれている。

◆タイトルについて
もし特定のものを指しているとすれば、9話で使った鍵くらいしか思いつかない。主人公たちの地道な調査活動が、町の関心を引き、10話以降への扉を開いたという感じだろうか。

あるいは、物ではないとすれば、自分で質問を考えて真相への扉を開くという意味合いなのかもしれない。

これだけ作り込まれたゲームなので、他に隠しイベントがあっても不思議はないが。

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