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【紹介・感想】ロマンシングステラバイザー

【作品ページ】コチラ
【制作】星をみるねこ 様
【一言紹介】ナラティブな世界観と戦略的バトルを楽しめるRPG
【対象年齢】全年齢
【制作ツール】自作システム(C言語、SDL利用)
【配布形態】ダウンロード
【動作環境】PC
【プレイ時間】長編(クリアまで12時間ほど。やり込み要素多数。)
【ジャンル】RPG
【傾向】オマージュ(星をみるひと、サガシリーズ)、SF、サイキック、ESP、サイドビュー、高難易度、レトロ風、ドットグラフィック、マルチエンド
【ファイルサイズ】150MB
【筆者プレイ日】2021/4/30
【筆者プレイ状況】難易度SaGaで1回クリア(記事作成時点)
【備考】開始後のオプションから難易度変更可能

◆はじめに

タイトル画面はロマサガを彷彿とさせますね。サガシリーズ(ロマサガ、サガフロ等)が大好きな私にとっては前々から気になっていた作品でした。ゴールデンウィークでまとまった時間が取れたので、一気に遊ばせて貰いました! ゲーム慣れしている人におススメですが、RPG初心者だけど雰囲気が気になるという方は、難易度を下げましょう! 受けるダメージを半分にできます。それから、使用キーが多い&独特なので、ゲームパッド推奨です。

◆紹介(ネタバレなし)

◇あらすじ

未来都市「アークシティ」は、コンピュータ「クルーIII」による統制下。クルーIIIは、己の秩序を脅かす者たちを「サイキック」と名付け、強制的に排除している。そんな中、サイキックの少年「みなみ」は、襲い来るロボットや治安維持部隊、果ては超常生命体を退けながら、3人の仲間たちを救い出す。その旅の中で明かされる世界の真実が、彼らを更なる冒険へと誘う――

「星をみるひと」というファミコン作品のオマージュだそうです。原作を未プレイ(※)なので推測ですが、ストーリーは原作をなぞる形だと思います。会話は最小限で、ファミコンあるいはスーファミあたりのRPGライク。言外に様々な思惑を感じる言い回しが魅力的です。行間は全て自分で想像して楽しむのが良いでしょう。
※これを機に買いました。Switchでセール中でした。

◇システム

戦闘システムが非常に特徴的です。コンセプトとしては、「SFC以降のサガっぽくリメイク」とのことで、次の要素は確かにサガお馴染み。
・サイドビューバトル
・戦闘中に新たな技へ派生する「閃き」システム
・味方の技が組み合わさりダメージ倍率が高まる「連携」システム
・属性技の完全回避あり(セルフバーニングによる炎熱無効など)
・レベルアップではなく、各ステータスが徐々に成長
・HPとは別にLPという「残り復活回数」のような概念がある
・行動フェイズ4回を味方へ任意に割り振れる(アンサガ風)

これに加えて、細かい特徴は数えればキリがないですが、大きな特徴は次の2点だと思います。

・敵味方の完全同時行動(リアルタイムではなく、あくまでターン制)
ダメージ量と回復量の精算はターン終了時に行われるので、現在HP以上のダメージを受けても、そのターン中は攻撃を継続できます。逆に、あと一撃で倒せる敵から猛反撃を食らいます。

・各ターン開始時のみ使用できるスキル
敵味方の行動開始前に、APというポイントを使って、回数無制限にスキルを使えます。回復と攻撃の両面で非常に重要です。

このシステムは珍しいため、ゲーム慣れしている人でも把握には中盤まで要するでしょう。本作の戦略性の肝でもあり、活用できるようになると一気に面白くなります。

また、探索パートにおいては、4人の主人公それぞれのESP(=Extra Sensory Perception。超能力。)が活かされています。物を破壊する「ブレイク」、空中を渡る「ジャンプ」、身を守る「シールド」、心を読む「テレパシ」。キャラクタを切り替えて、そのシーンにふさわしいESPを発動すれば先へ進むことができます。

エンディングはマルチエンディング。最後の選択肢で分岐します。エンディングに応じて色々なやり込み要素が解放されます。クリア履歴はセーブデータとは別に保管されるので、1つのセーブデータから複数のエンディングを見ることができます。

◇グラフィック・アニメーション・BGM

キャラクタのイラストはとても可愛らしいです。ドット絵はまさにロマサガ風。少し見づらい面もありますが、迫力ある戦闘エフェクトも素晴らしいです。BGMは何だか懐かしく切なくなるような雰囲気です。

文字で説明は難しいので、以下の公式トレーラー動画を見て頂くのが良いと思います。

トレーラー①

トレーラー②


◇公式サイト

上のトレーラーの情報なども載っています。ロマステ博物館のほうは、キャラクタ紹介やスクリーンショットなどが見られます。また、ファンアートなどもあって素敵です。

作者様ブログ

作品ページ(ロマステ博物館)


◇その他・バグ情報

難易度はかなり高いと思います。筆者は目的地を見失って1時間くらいさまよったり、ボスに勝てずにレベリングしたり。下手をすると詰みかねないです。ただ、有志による攻略は豊富にありそうなので、諦める前に閲覧するのは如何でしょう。

現時点ではバージョン1805版が最新です。かなり重大なバグとして、長時間プレイでグラフィック表示がおかしくなる、というものがあります。環境やマップ切り替えの頻度によっては1時間かそこらで発生します。ゲームを再起動すると直るので、重要イベントの前には忘れずに。(エンドロールを1回見逃した私が言うので間違いありません。)


非公式攻略

ネタバレ少なめで攻略チャートまであり凄いです。

データ量がすごいです。

自前の攻略というかプレイメモも書き始めました。



レビュー・紹介など

サガフロ系、サイドビューバトルへの愛が溢れてます。

老舗の超激辛さんをして難しいとの評価です。

ご感想に強く共感しました。
サムネイルの各キャラ武器が私のイメージと一致しいてシンパシー。






◆感想(ネタバレあり)

めちゃくちゃ面白かったです! 夜中3時くらいまでかけて夢中でクリアしてしまった! SF的ディストピアで、この世界は実は○○だったんだっていう展開大好きなんです。誰も気づいていない真実に迫るってロマンの塊ですよね!

さらに強敵との戦い! ズイムとかセルダン(だったかな?)のグラフィックが格好良すぎて、強くて痺れました。どの戦いもちょうど相打ちになるくらいの死力を尽くした戦いだった。

システム的に、展開のあやでLPを一気に3削られることがあるので、先が読みにくい緊張感が持続します。それから、回復リソースが非常に限られているので、リソース管理が甘いとガス欠で負けることもしばしば。戦略を尽くした上で、勝てるか勝てないか最後まで分からないという意味で、この作品の戦闘システムはこれまでの人生でも屈指の出来栄えでした。

この複雑な戦闘システムは実際にやってみないと全然わからなくて、行動しない味方の退避とか、超過回復分の処理とか、中盤~終盤になって初めて重要性を理解しました。説明書を読んで頭で理解しても、心では理解できていなかった! 分かってくるともう本当に面白い。テレパシで行動を読んでバリアしたり、耐性の高い仲間1人で受けたり、覚醒からの必中連携で一気にダメージを与えたり。いくらでもやり込めるな!

探索も面白かったです。実はここが通れるんだ!みたいな仕掛けが多かったですが、これってドットグラフィックならではかなと感じています。高級な画質ではできない強みがしっかり活かされているなと。

エンカウント率(というか敵シンボルの密度)が鬼畜なのでまともに全部は戦っていられず、ブレイク、ジャンプ、シールド、テレパシの使い分けが大忙しでした! 道に迷ったときはさすがに全部ブレイクで吹っ飛ばしてえ!って思いましたが、おおむね楽しく探索できました。なお、テレパシを使ったときに襲ってきた例のガードフォースは許さん。全滅したよ!!

テキスト描写は最小限ですが、色々と想像が膨らむ感じでした。特にみなみ大好き。たぶんキャラクタ描写は彼が一番多い気がするんですよね。あいねと出会ったときに、この子は裏表ないね、的なことを言われていたり、何でもすぐブレイクしたがったり、すごく素直。アークシティへの道でのしばとの会話もめっちゃいい。ジャンプの時に一人だけ落ちそうになってアワアワしているのも最高じゃないです?

詰まったのは、ラドクリフ集め。汚染された海に最初に行ったんですが、スティーラーが必須ボスだと思って四苦八苦。あの時点の強さだと、ギリギリLP1削り切れなかった。結局めちゃくちゃ稼ぎをして突破した。その後のボスも強かったから、ボスレベルの急激な向上を感じますね。で、全部集めた後にかつま大佐に話しかけても何にもヒントくれないじゃん! ガチで1時間くらい彷徨して、かつま大佐に100回くらい話しかけてしまった。ほら、集めて来たよ!!って。ワールドマップを見落としてましたね。しばのジャンプが便利すぎてワールドマップを忘れ去ってた。

その後のRoad to ○○の遠景とか、神でしたね。スケールの大きいSFはやはり心躍るものです。あと、いるかとしゃち可愛い。戦うとか何言ってるんですか。

最終局面で真ん中の選択肢を選んだ時の、続けての質問にはハッとさせられたというか、みなみたちの気持ちを考えて考えて、めちゃくちゃ悩みました。こういう重大な決断がプレイヤーに委ねられるのもナラティブの良いところなんだよね。キャラクタ像が僅かにしか語られないから、プレイヤー毎に自由なイメージがある。この重要な選択肢を決断する瞬間がたまらなく好きです。

さて、ひとまずDNASLEEPERエンドは見れましたが、まだまだ山ほどやり込み要素がありそうなのでめちゃくちゃ楽しみです! これほどのオマージュ作品を生み出す原動力になった星をみるひとも気になりすぎたので買っちゃいました。素晴らしい作品をありがとう!




◆オープンソースということで、中身を覗いたメモ(ネタバレなし)

制作者様は、有識者からのアドバイスを募集する目的でソースコードを同梱されています。筆者は物理現象の数値解析プログラムを書くことはあるので、畑違いではありますが読むことくらいはできるかなと試してみました。

拝見したところ、あまりに膨大なソースコードなので、制作されたご本人でないと把握は難しそうですね。ただ、もしかして本職のSEさんならすぐに把握できるのかな。

Visual Studio2003で作られているっぽいので、手元の2015で動かそうとしたらライブラリの差し替えとか必要だったので、メモしておきます。需要があるのか分かりませんが。手順通りやれば10分ほどの工程。

何でタイトル画面で←↓→で分岐しているのか、とか分かってちょっと面白いですよ。もちろんソースコードにはネタバレの危険があるので、しっかり読むならクリア後がいいと思います。

Visual Studio2015でちょこっとプログラム書いたことがある前提です。たぶん変なことも書いていますがお目こぼしを。あと、プレイ用のデータとは念のため分けましょう。

1. zisyu3フォルダ内のzisyu3.slnをVisual Studioで開く
すると、このバージョンで開けるように自動変換します、というようなメッセージが出るのでOKとする。

2. debug構成でソリューションのリビルド
いくつかファイルがないと言われます。置いてある場所が違うだけなので、プロジェクト構成を直すか、ファイルを置きなおせばいいはず。ここでは後者で。zisyu3.slnの親フォルダの階層に「ロマステ改造ソース」フォルダを作成。その下に「ソース」フォルダを作成。以下のファイルをzisyu3.slnのあるフォルダから「ソース」フォルダへコピー。
・Def.h
・ImageManager.cpp
・ImgFont.cpp
・Input.cpp
・Input.h
・SDLLoader.cpp
・SDLLoader..h
しかし、開発環境一式が同梱されているのにパスがずれているのは不思議。

3. もう一度リビルド
今度はafxres.hがないというようなエラーが出ます。これはググるとVisual Studio側のアップデート関係なのだとか。以下の書き換えでOKらしい。
修正前:#include "afxres.h"
修正後:#include "winres.h"

4. もう一度リビルド
今度は次のエラー。
「エラー LNK2019 未解決の外部シンボル __imp____iob_func が関数 _ShowError で参照されました。」
これもググったら出ます。SDLライブラリが古いVisual Studioで作成されているとバージョンが合わないみたい。公式サイトにあるDevelopment LibrariesにあるSDL2-devel-2.0.14-VC.zip (Visual C++ 32/64-bit)をダウンロードして、以下の3つのファイルを置き換えればOK。
・SDL2.dll
・SDL2.lib
・SDL2main.lib
SDL/lib/x86またはx64フォルダ内とzisyu3フォルダとの両方に同名のファイルがあります。今回はx86とzisyu3フォルダの分を置き換えてみたら動きました。x64は64bitアプリ用だと思いますが、参照されてないのかな?

5. もう一度リビルド
エラーは出ません。警告はいっぱい出ますが、exeファイルの出力には成功。ただし、デバッグ実行でエラー。停止するのはSDL_mixerのところです。こちらも公式サイトのDevelopment librariesにある SDL2_mixer-devel-2.0.4-VC.zip (Visual C++ 32/64-bit)をダウンロードしてきます。フォルダの中身をまるごとコピーして先ほど同様に上書き。SDL2_mixer.dllほか16個くらいあるファイルです。

6. もう一度リビルドしてデバッグ実行
成功です。やったー!
初回のチュートリアル戦闘までは動くことが確認できました。



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