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【雑記】最高の物語を求めてフリゲ

 例のごとく答えのないことを書き綴ります。物語に対する拘りはあると自負していますので、お時間あるときに読んで頂けたなら、望外の喜びです。

 本題に入る前に、そもそも「物語」ってなんでしょう。あまりにも当たり前の言葉過ぎて言い換えが見つかりませんね。ネット上の辞書で調べた中から、今回のテーマに近いものを抜粋すると、次の⑤⑥⑧です。

⑤ 日本の文学形態の一つ。作者の見聞または想像をもととし、人物・事件について人に語る形で叙述した散文の文学作品。狭義には平安時代の作り物語・歌物語をいい、鎌倉・南北朝時代のその模倣作品を含める。広義には歴史物語、説話物語、軍記物語などもいう。作り物語は、伝奇物語、写実物語などに分ける。ものがたりぶみ。
※観智院本三宝絵(984)上「又物語と云て女の御心をやる物也」
⑥ 浄瑠璃・歌舞伎で、時代物の主役が、過去の事件、思い出、心境の述懐などを物語る部分。また、その演出。「実盛(さねもり)物語」や、「一谷嫩軍記(いちのたにふたばぐんき)」の熊谷の物語などが名高い。
⑧ 近代文学で、ノベル(小説)に対し、一貫した筋を持つストーリーという概念にあてた語。また、…について述べたもの、の意で、題名に添えられることが多い。

コトバンク(https://kotobank.jp/word/%E7%89%A9%E8%AA%9E-142639)

 私としては、注目したいのは、⑧の「一貫した筋を持つ」というところです。いろいろな考えがありますが、私は、ひとつ前の雑記で書いたように、「積み重ねるほどに面白いものを読みやすく厳選した」お話を物語だと考えています。

 「積み重ねるほどに面白い」というのは、つまり世界観やキャラクタの掘り下げや伏線のことです。例えば、このキャラならこの場面では当然仲間を助けるよね、熱い!というシーンがあるとして、キャラへの理解度がないと楽しくないですよね。ここで序盤のあれが回収されるのか!という驚きは、関連する伏線が多いほど面白いです。その世界観ならではの物理法則が奇跡的な救出劇を彩るのも素晴らしい。

 ですが、ちょっと待ってください。それらの設定や伏線、作者様の頭の中にはすべて入っているでしょう。でもプレイヤーはその全容を知りません。
 例えが適切か分かりませんが、手書きの迷路を鳥瞰視点で眺めれば、誰だってゴールへの道筋は見えます。これが神(作者)の視点。一方、プレイヤーはその迷路を3次元の等身大にしたものの入口に立っているのです。どこが行き止まりか、どこで曲がるべきか、ゴールまでの距離は、今どこまで来たのか、何もわかりません。序盤で拾った伏線アイテムは、数多くのアイテムに埋もれて忘れてしまいます。

 「厳選したもの」というのは、つまり一本の道筋を作ることです。膨大な設定はあるでしょう。でも、物語を最高に楽しむというのは、必ずしもすべてを把握することではないはず。取捨選択した上での適切な情報を開示してくれる物語が大好きです。

 どうでしょうか。「それはゲームである必要はないのでは?」と思われた方はいないでしょうか? まったく同意見です。
 もちろん、一本道ノベルゲームというジャンルはシナリオ、グラフィック、サウンド等の総合芸術であることは疑いようもありません。ジャンル名にそう銘打って頂ければ100%楽しめます。

 でも、私がフリゲ沼に落ちたゲームはそれとは別ジャンル。「プレイヤー の能動的なはたらきかけ」が物語を彩るものを狂おしく求めているのです。
 極端な例ですが、最高のノベルゲームを教えて?とたずねて、ドラクエが出てきたらソレジャナイとなりますよね。どれほど優れていても。

 道筋はしっかり作って欲しいですが、そこに能動的な行動も求める。私はいつもわがままです。別に掌の上で踊らされてもいいんです。見かけだけの自由でも。それに気づかないくらい上手く誘導してくれれば。
 あからさまに左右に分かれ道があるとき、選択肢もなしに右を選ぶのではなく、左は罠の予感がするから右にしよう、とプレイヤーに選ばせる。
 ずっと一緒に冒険してきた。数々の困難を乗り越えてきた。だからここで裏切るなんてありえない。そんな場面で選択肢、ないしは、行動の自由を与えてくれる。

 その悩む時間や、己の選択が未来へ繋がった手ごたえ、キャラクタへの感情移入。ゲームだからロードすればいいとは私は少しも思っていません。その決断に重みがあるからこそ、空虚な体験ではなく、己の血肉になるし、心が動くのです。それら全てが、他の娯楽からは得難い素晴らしい体験だと思います。そして、そんな至高の物語たちに出会ってしまって以降、ずっとその背中を追い続けています。

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