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薬剤のサブスクリプションは儲かるのか?

原宿・表参道・池袋にシェアサロンを展開するSALOWIN代表の阿部です。2020年4月より、美容室の稼働率を最大化させる「SALOWIN LINKS」というサービスも開始しました。また、美容師や美容室経営者で運営するコミュニティ「supporters」も開設しましたので興味のある方はDM頂けますと幸いです。

このご時世、月額課金型のサブスクリプションモデルってとても人気ですよね。代表例はamazon Peime Video、Netflix、Huluなどの動画配信サービスですが、どれだけ大量に映画やドラマを見ても月額料金は同じ。というモデルになります。

そして、美容室経営者ないし美容師であれば、一度は考えたであろう「薬剤のサブスクリプションサービス」。

どんだけ薬剤使っても毎月の費用は定額です。

やばいですよね。そんなんあったら。基本損をしないなら絶対使うでしょう。でも運営元が儲かるイメージは完全にゼロ。笑

というか、記事が長いので先に結論を書いておくと、再現性が低いし、儲からないと思う。ということです。

では、早速その理由を書いていきたいと思います。

そもそもの提供メリットを整理しておく

サロン側としては、材料費の削減を行いたい訳なので、安くなれば提供価値を感じると思いますが、本記事を作成するにあたり、いくつかのパターンを考えました。

■考えたパターン
1.定数まで使い放題:高い薬剤と安い薬剤で利益調整するけどメリットなし
2.売上に応じた課金:メニュープランがめっちゃ複雑。売上偽装される

みたいな感じなんですよね、、企画的には、薬剤サブスクで利益を出そう!という趣旨なのですが、サブスク側の利益を考えると、サロンメリットは無くなるし、サロン側のメリットを考えると、サブスク側は運営できない。みたいなドツボにハマりました笑。

はい、結論、儲からないのでやめましょう。

fin。

ってのは、さすがに雑だと思うので、色々な可能性を考えましたが、結論として出た答えが、メーカーにならないと無理!ということです。

自社製品のサブスクであれば可能性があるか?

メーカーが直接サブスクを提供するならば、究極、原価(賃料や人件費等もろもろのコストを含めた)を下回らないレベルまでなら値下げが可能です。

そのため、単品購入の注文は割高だけど、自社製品をサブスク仕入れしてくれたら割引に値する価値が享受できますよー。的なアプローチはできるかなと。

サブスクの方がお得だと分かれば、他社メーカーから自社メーカーへ乗り換えしてくれる可能性がある!というのがメーカー側のメリットになります。

なので、市場の占有率を上げる手段としてはアリかもしれないと思います。

速攻パクられておしまい笑

ただ、このサービスってまったく優位性がなくて、メーカーであれば、どこでもパクれてしまうんですよね笑。

簡単にパクられる。という意味では、「amazon Peime Video」、「Netflix」、「Hulu」だって同じなのですが、各社がオリジナルコンテンツに巨額の投資をしているのも「ここでしか見れない」を作るためです。

結果的に、上記のような動画配信サービスは、複数契約する人が多くなりますので、同じ現象として、「ミルボンサブスク」「ロレアルサブスク」「ナプラサブスク」みたいな感じでよく使うメーカーさんはサブスク契約して、たまにしか購入しないメーカーさんは単品購入。とかは発生するかなと思います。

でも、これだと、今のままのように価格をコントロールしてディラーに卸した方がメリットあるんじゃない?と個人的には思ってしまいます。

なので、実際、このサービスがワークする事業者は、新興系メーカーになるのではないか?と思います。

美容室市場を狙いたい新興メーカー

利益よりも規模拡大を優先したい新興系メーカーであれば、これまで美容室になかったサブスク仕入れを提供して、価格メリットを武器に参入することは可能でしょう。

ここで、メリットになるのは、「サブスクの場合、事前に販売数を予測できる」ということです。

最初に1000ロットくらい各種サンプルを作って、サロン側に営業し、本格導入前に発注ロットの見込み確定させておきます。この段階で30種類を1本200円で1000本ずつ作ると、初期コストは600万円。

そして、営業活動の成果として100サロンと契約が出来た場合、1サロンが100本の薬剤を購入すると仮定して、事前に色味別の注文表を作成しておきます。

これによって、売れ筋と死に筋を事前に把握することができますね。

おそらく、2:8の法則から売れ筋2、死に筋8くらいの割合になるでしょう。この前提で初期発注量を計算します。

・売れ筋:100サロン×100本×6種=6万本
・死に筋:100サロン×20本×24種=4.8万本
・合計発注数:10.8万本×200円=2160万円

また、開発期間は10ヶ月〜12ヶ月くらい掛かりますので、運転資金の確保も必要になりますので、社長1人でスタートしたとして、給料+賃料で毎月50万円のコストを上乗せします。

これによって、初期で必要なコストは以下の通りです。
・営業用サンプルの製造:600万
・初期発注費用:2160万
・運転資金:600万(1年分)
・合計:3360万円

という感じですかね。概算ですけど。

サブスクメーカーで投資回収は可能?

発生する費用よりも高く販売すれば回収はできると思いますが、高過ぎれば導入はされません。当然、品質が低くてもダメです。

そこで、高級薬剤に分類される、1本700円くらいのカラー剤をベンチマークに月100本まで使い放題のサブスクを月額4万円で提供したとします。(1本単位では400円なので格安ですね)

■粗利計算
売上:契約サロン数100社×4万円=400万円
原価:200万円
---------------------
粗利:200万
人件費+家賃:50万
配送料:500円×100サロン×4回=20万
---------------------
営利:130万円
在庫数:9.6万本

初期コストで3360万円を投下すると毎月130万円のリターンがある。って感じですね。サロンと同じくらいですね。

ただ、メーカーの良いところは契約数が増えることで固定費率を下げることができる。という点ですね。

そこまで儲かる感じはしませんが、この130万円を成長投資に回しながら運用できるならば、「薬剤のサブスクリプションサービス」ってアリじゃん!って思う人もいるかもしれませんね。

ただ、以下の状況の通り、実際1本200円で作るのはすっごく難しいですからね。

■1本200円でカラー剤を作って結構無理に近い
イルミナ等の高級薬剤って大半は海外で作られており、数ヶ月に1度のスパンで船便輸送されてます。そのため、海外工場を開拓したり、船便のコストを考えたりすると、1本200円での製造は現実的ではない。という、そもそもの壁にぶち当たる可能性は大です。

あと、海外の場合は1000本なんてくそみたいに少ない発注量では受けてもらえないかも。ゼロ2つ足りねーよ!ってレベルかな。なので、海外向上に顔が効くとかないとNGです。

ちなみに、国内向上の場合は1本200円での製造はおそらく無理ですし、1000本単位くらいの発注だった場合、くっそ高くなりそうです。。

サブスク最大のメリットである休眠会員はどうなる?

はい、ここまでの説明をして、ぶっちゃけ400円で売るだけでも良いんじゃないの??と疑問に感じた人もいるでしょう。

はい、正解です。

上記の場合、わざわざサブスクにする必要もなくない?という話ですね。良い薬剤が400円で買えますよ。で良いんです。

では、なぜサブスクなのか?

答えは、休眠比率が儲けどころだからです。

ジムとかだと分かりやすいのですが、毎月月額費を払いながらほとんど行ってない。って経験があると思いますが、サブスクの儲けどころはココです。

今回の場合で言えば、100本まで発注できるのに、80本しか発注しない。とかが発生したら良い。ってことです。

これ、起きると思いますか??

個人的には”ほぼ起きない”と思っています。美容室側が利益コントロールしやすい部分って薬剤だったりする訳で、ここをざっくりと管理する人はいないでしょう。

なので、練習用とか転売用とかでとりあえず100本は発注すると思いますので、休眠会員による儲けは期待できない。って訳ですね。

結論、出来るかもしれないがメリットは薄い

結論ですが、やはり難しいかなーと思いますね。。出来たら面白いと思いますが、メーカーに限っては上場企業も多く資本力が分厚いところが大半です。

なので、もしトライするにしても既存メーカーのOEMとかになりますが、OEMで価格破壊を起こすなんて絶対に無理な訳です。

多分、諸先輩方が色々考えても今の世の中に存在しないのは、上記のような理由からでしょうね。

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